世界遺産
今回の地中海クルーズの出発点はイタリアのローマ。成田からの直行便の到着は出航前日の夜。乗船は翌日の午後。旅のスケジュールは、ゆっくりとローマ見物が出来るよう配慮されている。ホテルがある市街地を抜けて連れて行かれたのは、そう、あのコロッセオだ。コロッセオ(Colosseo)はイタリア語。英語ではコロシアム(Coloseum)。私たち日本人にはコロシアムの方が分かり易い。でもここはイタリア。やっぱりコロッセオだろう。
市街地の街並みは整然としたたたずまいを見せ、街路の両側には「地中海松」が。恐らく日本人が名付けたものだろう。木の肌は日本の赤松にそっくり。でも形も仕立て方も全く違う。15㍍前後もあろう、その松は枝を下からだんだん切り落とし、てっぺん部分が丸く傘のようになっているのだ。幹は直径が50~60㎝はある。何百年の年輪を刻んでいるのだろう。その幹の太さからも十分に伺える。
コロッセオはローマ帝国が全盛を極めた時代のものだから、何百年などというスケールで言い表せるものではない。まだ午前9時前。そこにはもう観光客がいっぱい。白人もいれば,黒人も、私たちのような黄色人もいる。一年前にアドリア・エーゲ海クルーズで旅したギリシャのアテネのように、ローマは世界中の国から毎日、観光客を集めるのだ。まさに世界の観光地なのである。
今、日本では富士山の世界文化遺産指定に向けて山梨・静岡両県がやっきりきに。6月にはユネスコの諮問機関・イコモスが、その調査結果を答申する。富士山は日本のシンボル。地元山梨・静岡両県にとどまらず、世界遺産への正否は政府だって無関心ではいられまい。やきもきしながらユネスコの出方を見守っているはずだ。「三保の松原(静岡)を指定の候補地から除外したら…」。イコモスは調査過程で、そんな注文もして来た。
それに比べれば,ローマのコロッセオを中心とした遺跡群は文化的にも歴史的にもケタはずれ。指定を乞わなくてもユネスコは、一も二もなく指定したに違いない。貴重な世界の文化遺産や自然遺産を保護、後世に伝えることに狙いがあるからだ。コロッセオの近くには文字通り1,000人が一度に入浴したという古代の「千人風呂」も。日本にも「千人風呂」という言葉があるが、「大きい」の代名詞に過ぎない。「万(よろず)」と同じだ。
付近はまさに遺跡群。それどころか、その発掘は道半ばといった感じだ。ギリシャのアテネもそうだが、見るからにのんびりしたもの。日本なら世の中がひっくり返るほどの大騒ぎをし、埋蔵文化財法を盾に発掘作業を優先するだろう。ローマやアテネでは、手さえ掛ければ貴重な文化財がこれからも山ほど発掘されるに違いない。予算が追いつかないのか。それが証拠に発掘途中の所もあっちこっちに。
コロッセオは5万人もの観客を収容出来たというから半端ではない。それどころか闘技場の中には,現在のドーム球場にも似た日除けやエレベーターにも似た施設など、さまざまな工夫が施されていたというから凄い。権力の偉業を今に見せつけられた想いでもあった。
古代ローマの闘技場からは、皇帝ネロの声や5万人の歓声と興奮が今にも伝わって来そう。世界遺産とはまさしくこれだ。(次回へ続く)
※再掲載=「クルーズ船の旅」シリーズ」
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