命の重さ
長寿院HPより
千葉県成田市にある曹洞宗「長寿院」の住職・篠原鋭一さんの話は面白かった。120分、2時間の講演が短くさえ感ずるから不思議。1995年から自殺志願者を救済する活動を始め、現在、NPO法人「自殺防止ネットワーク風」の理事長。宮沢賢治の「雨ニモマケズ」ではないが、相談者がいれば、西にも東にも全国どこへでも飛んで行く。何人もの自殺志願者を救って来た。
篠原 鋭一師
篠原さんのライフワークのキーワードは「命の重さ」。それはそのまま関東人権擁護委員連合会委員研修会での講演テーマにもなった。話の中には数字も飛び出してくる。「一人の生命が誕生する背景には父と母、二人の親がいる。その父と母には、また、それぞれ二人の親が。それを十代遡ると(血筋に関わる)親の数は1,024人にもなるのだそうだ。さらに二十代まで遡ると1,048,576人にも膨れ上がるという。そんなことを聞かされると「人類、みな兄弟」に思えてくる。
日本人の平均寿命は大まかに言えば80歳。「その80年のうち27年は眠っている。食事をしている時間は10年。また5年はトイレをしている。それを差し引いた人生は38年」。確実に言えることは人生の3分の1は眠っている。残る3分の2のうち物心がつかなかったり、自我が確立しない子供の時期、また認知症などに侵されかねない晩年を差し引いたら、≪正常≫な活動をしている時間はもっと少なくなる。病に伏せることだってある。
88歳を米寿と言い、99歳を白寿、100歳を紀寿と言う。「では108歳は何と言う?」。「茶寿」と言うのだそうだ。数字の話は4と9にも及んだ。「この文明の世の中、病院に行って笑ってしまうのは、病室群の中で4号室と9号室が省かれていること。4を≪死≫と、9を≪苦≫と重ね合わせる愚かな迷信だ。CTやMRIなど最新鋭の科学機器が導入されている医療現場でバカげたことがまかり通っている」
「42歳を≪死に≫と語呂合わせして忌み嫌い、厄年とする。本当は厄年ではなく、役歳。人生の経験を積み、立派にさまざまな役を担える歳ということだ。老人の老も同じで、経験豊かな人、いわば尊敬の言葉」「人に迷惑をかけない人間はいない。迷惑をかけたり、かけらりたりするのが人間」「人の命は作るものではなく、授かるもの。作ったものなら壊したり、壊されたりもする。人生とはそんな単純なものではない」とも。
一泊二日の研修会だから、講演会ばかりではない。約130人の参加者が分科会に分かれての討議や1都10県の事務局長が一堂に会しての情報交換の場や、委員会別の代表者会議も。夜は研修会場に近い専修大学構内のホールで意見交換会という名の懇親会が。
宿泊ホテルは「グランドパレス」。三々五々、仲間との二次会のお酒も手伝って、ほろ酔い気分で横たわったホテルのベッドで、ひと頃までこのホテルが会場になったプロ野球のドラフト会議に思いをはせたり、やはり同ホテルが舞台となった金大中事件を思い起こした。後に韓国の大統領になる野党党首が忽然と姿を消したミステリアスな事件だ。人権などかけらもない、その舞台裏。日本は憲法によって人権は保障されているのだが…。
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