本音と建前

恩賜林


 「私だったらこの広大な山林原野を今、国・政府が困っている基地に貸しますね。もちろん、条件付。基地の誘致で、過疎化する麓の地域を再生するきっかけを作るんです。沖縄の普天間基地移設問題で今、政治が揺れています。反対運動が前面に出ていますが、そこには必ず地元住民の本音と建前があるはず。世論として表に出ているのは建前と、もっともらしいマスコミや文化人といわれる人達の声。本音は基地がなくなっては困る人たちも多いし、徳之島(鹿児島)のように本当は基地を持って来たい人達もいるんですよ・・・」


恩賜林2

 
 ここは山梨県と埼玉県の県境にまたがる奥秩父山塊の山梨県側の一角。こんな話をしたのはこの一帯の山林を保護する「金峰前山恩賜県有財産保護組合」の元組合長。年恰好は80歳前後。同組合はこの一帯の山麓にある山梨市と甲府市の一部地域で構成されている、れっきとした特別地方自治体である。先頃、今年度第一回の組合議会が招集され、この日は組合執行部と議会合同の現地視察が行なわれたのだ。



恩賜林4

 
 視察に加わったのは今年度、新たに選出された議員と私のような監査委員など組合役員に任命された人達の、いわば新人研修。執行部と議会側、合わせて約20人が揃いの法被姿で参加。1,400haにおよぶ持ち山をいくつかのポイントから一日がかりで視察した。「私だったらこの山林原野を・・・・基地に貸しますね」と、本音とも冗談ともつかない口っぷりで話した元組合長は、この日の案内役。広大な山の隅々まで熟知しているようで、つづら折れの凸凹道を車で走り、その要所要所で歴史的な経緯も含めて説明した。




 通称「恩賜林組合」。都会にお住まいの方なら聞いたこともなければ、縁もゆかりもないだろうが、明治の時代、天皇から御下賜された県有地の保護団体。山の植林や下刈りなど、その保護、保全と管理をしているのである。山梨県は県土の約75%が山林原野。その多くが、この恩賜林、つまり県有地だから、その総面積は概ね見当がつくだろう。山梨県には64の恩賜林組合があって、それぞれのテリトリーで保護・管理の活動をしているのだ。


恩賜林3


 その中で最も大きなのが富士吉田市ほか2カ村(山中湖村、忍野村)恩賜林組合。ここは特異な組合で、管理区域内に自衛隊の「北富士演習場」を抱えている。日米の地位協定に基づき米軍の演習にも使わせている。いわゆる基地を抱えているのである。今は平静を保っているものの、かつては基地を巡る賛否が県政を揺るがし、「県政の分水嶺」とも言われた。その一方では莫大なお金が恩賜林組合や地元市村に落ちているのだ。事実、「防音」の名で小中学校の校舎は整備され、さまざまの公共施設や周辺道路も立派になった。




 基地がない世の中の方がいいに決まっている。しかし、国や地域が抱える現実を無視しているばかりにもいくまい。「私なら・・・」。恩賜林組合元組合長の冗談とも本音ともつかない言葉の裏には、いくばくかのリスクを背負っても最大公約数の「地方、地域の利益」を考えなければならない「現実」がある。「平和ボケ」したり、便利な生活を享受出来る都会にお住まいの方なら、この本音は分かるまい。どの道どこかに設けなければならない基地の誘致で、財政や雇用、関連ビジネスの創出を考えようとする本当の気持ちなのだ。




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新聞・週刊誌と選良

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 日本の政治は誰が動かしているの? 決まっているじゃあないか。新聞やテレビと週刊誌、それに評論家先生だよ。もちろん、これ、ジョーク。シンクタンクでもある霞が関の官僚を«事務局»とした時の政権であり、広い意味で与野党を問わない政治家先生たちに決まっている。私たち国民は選挙で、その政治家を選び、国の舵取りを委ねているのである。だから、政治家を別名「選良」とお呼びしているのだ。




 でも、茶の間でアホ面してテレビの予算委員会(国会中継)を見ているオジサンは、柄にもなく首を傾げたくなることがいっぱい。本来、是々非々でなければいけない審議が一から十まで与野党の対決構図丸出し。よしんば、時の政権を監視する立場にあるのが野党だから、それはそれでいい。しかし、政党・政派にこだわらない良識の府・参院は別のはず。




 合点がいかないのは、攻める側にある野党の質問。目立つその切り口は「○○新聞の報道によると…」と、今朝出がけに見て来た、とは言わないまでも、新聞報道が質問のネタ。自らや政党として、確たる調査に裏打ちされた追及とは、到底思えない。

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 答弁に立つ大臣も後ろから官僚が手渡すメモを棒読み。質問者に割り振られた持ち時間いっぱいに、バカバカしいとさえ思える質疑が続くのである。与野党を問わず、政治家先生には「国政調査権」という伝家の宝刀があるはず。「借り物」ではなく自前ではダメなの?




 予算委員会だから、時の政権のあるべき姿勢や、民主主義のあるべき姿に至るまで包括的にただすのは当然。でも、「新聞の報道」を頼りにするからセンセーショナルに終始して、自ずと大局とかけ離れる。ひねくれ者にはマスコミの注目を意識?しているようにも見えるのだ。新聞報道は、政治家先生の質問のためでもなければ、予算委員会のためでもないんだよね。予算委員会と言いながら予算の中身の議論はお目にかからない。




 私たちテレビを見ている人間には分からない所でのし烈な取材競争の産物なのだ。それを自らの質問のネタにし、まるで鬼の首でも取ったかのようにしているから滑稽だ。そんな見方でテレビを見れば、政治音痴のオジサンも予算委員会が面白い。これホント。失言という名の「言葉狩り」。こちらは野党と新聞のお家芸だ。




 面白いのは政治家先生のスキャンダル追及。不倫疑惑がその一例。ここでも「週刊誌の報道によると…」だ。何故か、この種の«火付け役»は決まって週刊誌。専売特許だ。でも不思議なことに新聞は政治家先生が予算委員会などで取り上げると、申し合わせたように一斉に報道し始めるのである。週刊誌へのリンクがあるかどうかは別に、新聞は«口火»は切らない。これ、不思議。でも週刊誌が蒔いた種は政治家先生の質問と、新聞の«追っかけ報道»で、どんどん燃え上がるのだ。週刊誌側は内心、ほくそ笑んでいるに違いない。




 巧みなのはテレビのワイドショー。新聞や週刊誌の記事をネタに1時間、2時間の番組を作ってしまう。自社の取材など全くなく、あえて言うなら新聞や週刊誌の記事を整理したパネルづくりくらい。そこへ評論家先生をお呼びして論評していただくパターンだ。そのコメンテーターの人選は意見、考えが分れるように仕組んで、いわゆる両論併記。ポピュリズムを意識したり?露骨な«アク»もあるから、また面白い。




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しつこい男

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 普段、のんびりしているようで、私は≪しつこい男≫かも知れない。また大都市と地方の地域間格差について書き始めてしまった。勤めをリタイアして、もう10数年。田舎の実家に居を移して、自然との共生を旨にして気分的にものんびりすると、柄にも似合わない、つまらぬことを考えるようになるのだろうか。




 100万人人口を目指し、ひと頃、90万人に手が届く所まで行った山梨県人口は、いつの間にかUターン。あれよ、あれよという間に82万人台に。恐らく80万人を割り込むのも時間の問題だろう。県は「人口問題担当を置いて対策を」と、農水省から女性官僚を招聘して副知事に据えた。その副知事も2年で、後任のやはり女性農水官僚と交代。口の悪い甲州雀たちは「あれって、知事のパフォーマンスさ。そうでなければ農水省(人事)の押し付けだよ」と、ヒソヒソ。




 「山梨の人口は東京の世田谷区と同じくらい」。そんなことを言われた時期もあった。ところがどうしてどうして。東京23区どころか、全国の大所の市よりも小さな県になってしまった。まだ幾つか≪お仲間≫の県があるので、全国のワーストではないが、それに等しい。出生率の低下は全国的な傾向。地方では、これに在県人口、特に若者たちの流出が人口減に拍車を掛けているのだ。




 この傾向、統計的に見ても地方の自治体は大なり、小なり皆同じ。地方はどんどん疲弊し、その一方で大都市は膨らみ、構造的な欠陥や矛盾を露呈する。刹那的な?《切り取り主義報道》のマスコミが取り上げる保育所・幼稚園問題どころか、交通や住宅環境、万一の場合の防災や避難対策、公園など安らぎ空間の設置、拡大など課題を山積みにする。




 何故、地方分散を本気で考えないのか。地方はガラガラに開いている。「そんなことが簡単に出来るなら、とっくにやっているよ」と、おっしゃるだろうが、このまま放置し、手をこまねいていたら…。確かに政府は「地方創生」などという耳障りのいい政策を打ち出した。でも、あれって、どうなったの?




 地方からの若者人口の流失は保育園や小学校の閉鎖、統廃合にとどまらず、当然のことながら、中学校や高校の統廃合問題に波及。一方で人口の高齢化が進むので、農家を中心とした後継者不足は深刻となって、現に耕作放棄地は各地に増える一方だ。会社をリタイアして10年以上も経つオジサンが地方では≪若い≫方の部類なのである。




 そんな田舎のオジサンに天下、国家が分かる訳がないが、これくらいは分かる。「地方への社会資本の投下を計画的にやらないと、やがて地方は沈没する」。ICT(情報通信技術)は、ますます進化して行くはず。矛盾を抱える大都市でなくても、政治や行政、経済だって地方で十分機能する時代が来ているような気がする。どうだろう。




 40年近く前になるが、わが国最大の政治疑獄と言われたロッキード事件で失脚した田中角栄首相。彼が在任中に打ち出した「日本列島改造論」が恨めしい。今は悪者?のステージに立たされている石原慎太郎の著書「天才」が書いている通りのような気がする。




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言葉狩り

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 子供の頃、学校の歴史教科で習った中に「刀狩り」というのがあった。ご存知、有名なのは豊臣秀吉が試みた《政策》の一つ。一揆や政権への謀反を抑えるためのものと教わった。良くも悪くも、そこには大義名分があった。いま国会では「共謀罪」を巡る与野党の論争が盛んに行なわれている。背景にはテロの頻発など世界全体の社会情勢や人々の意識の変化など、複雑な人間模様があるにせよ、この二つには何かしら共通点があるようにも見える。論争は大いにおやりいただきたい。




 ただ、いただけないのは、国会の先生方、特に野党の皆さん方や、マスコミの皆さん方が繰り広げる「言葉狩り」。法律案や政策を巡る論争ならいざ知らず、《言葉尻》を捉えてのやり取りである。いわゆる≪失言≫と言うヤツだ。野党は《ここぞ》とばかり噛みつき、マスコミもマスコミで、これをまともに取り上げる。「オレは大臣の《首》を取ったとか、取らないとかと嘯いた記者もいたとかいないとか。デマに違いないが、そのデマが本当だったら情けない。




 確かに政治家、特に政権を担う大臣など主要ポストの人たちの発言は重い。その発言が一貫しておかしいものであるのならいざ知らず、「言葉尻」、つまり全体の一部分だけを切り取っての追及は、私たち庶民から見れば《イチャモン》に過ぎない。茶の間でアホ面して見ているオジサンですら滑稽に見えるのである。その《失言》が元で、予算委員会などの審議が空転、結果的には国民の税金を浪費するのである。




 「みみっちいこと言うな」と、お叱りを受けるかも知れないが、少なくとも、あの立派な議員バッジをお付けになった《選良》のおやりになることではない。そんなことで《点数稼ぎ》をしている訳ではないだろうが、仮にそうだとしたら、健全な野党は実現しないし、政権の交代が可能な二大政党など夢のまた夢。田舎に住むオジサンだって、そのくらいの想像はつく。




 セクハラ、パワハラ、マタハラ、エイジハラ…。いわゆる「ハラスメント」というヤツ。「言葉尻」とは違うが、嫌な世の中になったものだ、とつくづく思う。なんと、この「ハラスメント」は32種類もあるのだそうだ。その判断基準は、相手方が不快に思うかどうかだと言う。32もの「ハラスメント」を全部言える人がいるかどうかは疑問だが、嫌な世の中になったことだけは確か。うっかり、口もきけないし、ましてや冗談も言えない。




 確かに人を傷つけたり、不快感をもたらしてはいけないことぐらいの心得は、社会人としては当たり前。しかし、冗談を飲み込む寛容さだって大事だろう。第一、言動の節々にいちいち気を使っていたら疲れる。「あっけらかあ~ん」と生きることも処世術? 歳のせいかも知れないし、田舎の大自然の中で暮らすようになったせいかも知れない。お陰かどうか知らないが、女房との夫婦げんかも、めっきり少なくなった。




 一方で言論の自由とか表現の自由と言う。マスコミは報道の自由を声高に言う。話題の多い米国のトランプさんは、そのマスコミと真正面から対立しているとか。さて、さて…。




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台風と人災

  武田信玄1


 どこの県にも、みんなが認める「英雄」がいる。作為とか無作為にかかわらず、歴史が作り上げたのは間違いないのだが、その存在が大きければ大きいほど、人々に与えるインパクトも大きい。今風で言う「観光大使」の役割をも果たしている。有名芸能人やアスリートのそれとは、桁違いのインパクトがあるのだ。




 わが山梨県では文句なしに戦国の武将「武田信玄」。阪神、宝塚を築き、わが国のインフラ整備に大きな影響を与えた小林一三、彼の影響も受けて鉄道王ともいわれた根津嘉一郎、地下鉄の創始者・早川徳次、軽井沢の基礎を築いた雨宮啓次郎…。根津の後継は誰しもが知る東京スカイツリーを作った。そんなわが国の経済界を代表する人たちでさえ、武田信玄の前には、まさに脱帽。信玄は今から500年も前の人物。甲斐の国を治め、政権取りを目指しての上洛途中、志半ばにして病死してしまうのだが、今、86万人口になり下がった弱小県・山梨の人間たちは「世が世なれば…」と、心の底では少なからず、そう思っている。下剋上の言葉通り、群雄割拠した戦国の時代、どこの«国»の武将たちも同じだろう。


 
根津かいちろう
根津嘉一郎


 そんな英雄・戦国の武将たちが、国を治める政治哲学の基本に据えていたのは、人を治め、水を治め、山を治めることであった。ICT化が急速に進み、情報化社会と言われる21世紀にあっても為政者が持つべき政治哲学は変わっていないはずだ。その哲学を軽んじた結果が人々の争いや自然災害を生んでいる、と言ったら言い過ぎか。山の噴火や地震は別として、水害や、山崩れ、土砂崩れは、まぎれもなく人災だ。山を治め、水を治める努力を怠った証だ。国家100年の計より、政治家たちは選挙、つまり票集めに即効性のある施策に走り、地道に進めて行かなければならないはずの治水対策や治山対策を後回しにする。




 どこかの県では「脱ダム宣言」などという、いかにも予算の使い方の有効性をキャッチフレーズに掲げて東京から乗り込んで当選した«落下傘知事»もいた。結局は県民に愛想をつかされ、知事の座を追われるのだが…。為政者が税金である予算執行の優先順位を考えるのは当たり前。同じ公共事業でも音楽ホールや文化ホールなど、いわゆる「箱物」と、ダムなどの治水対策や山崩れや土砂崩れを防止する治山対策は、根本的に違う。

ダム2



 大衆迎合、と言ったら叱られそうだが、国家100年の計ではなく、目先の«人気取り施策»に狂奔していたら、必ず、そのツケは回ってくる。こちらは人間の命や財産を一瞬の間に奪うのだ。私が住むこの地域では子供の頃、台風シーズンになると年中行事のように川(笛吹川=1級河川)が氾濫。洪水となって田畑を流した。今のように重機もない時代だから、百姓は家族総出で大小の石や無数の流木を毎日、毎日片付けた。堤防の決壊ばかりでなく、橋も流れた。いま時ならば、特別災害地域に指定される規模である。




 やがて上流にダムが出来た。洪水はぴたりと止んだ。ダムの水は、傾斜地の灌漑用水となって、サクランボなどの産地化をも促した。下流域の飲料水の安定確保は言うまでもない。今年はなんと台風が多いことか。既に16個を超え日本列島の各地に甚大な被害をもたらしている。水は上から下へ流れる。洪水などの犠牲は下流域の都市部にも無縁ではない。




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おきてがみ
プロフィール

やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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