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自衛官も官僚

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 上司が外部で何かをするとなるとその時間の長短を問わず、何人もの部下が事前に打ち合わせや下見に奔走する。そんな場面に出っくわして、ちょっぴり首を傾げたことがある。自衛隊での話だが、自らも40年もの間やって来たり、見て来た民間の会社では考えられないことだ。民間なら当事者が打ち合わせから内容の組み立てや詰め、本番まで大抵のことなら1人でやってしまう。そんなに大勢の人を動員することなどあり得ないのだ。かつて県庁などでも、これに似たケースをみたことがあった。役人の手法なのか。それとも物事に慎重でなければならない自衛官だからか。でも、何か引っかかるものが・・・。





 山梨ロータリークラブは毎週の例会で会員が卓話と称して交代でミニ講演をする。時にはゲストを招いての卓話もある。何年か前のことだが、自衛隊の幹部をお招きした。47歳の1等陸佐。旧陸軍でいえば大佐である。防衛大出のキャリアだ。


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 卓話の話のきっかけは、いとも簡単な花見の席だった。山梨市に自衛隊協力会という組織があって、4月の初め、甲府の護国神社で役員間の懇親のための宴をはった。儀礼でやって来た、この幹部氏は初めの挨拶をしたあと席を回りながらお酌をし、歓談をした。話がはずむうちに、雑談がヒントになって卓話の話はあっという間にまとまった。




 当然、打ち合わせはしなくてはならない。日時を決め、その幹部氏を尋ねた。事務室の前でその旨を伝えていると、後ろから「この間はどうも・・」。幹部氏が親しい仲間のように話しかけて来た。すかさず広報室長と名乗る長身の男性がやって来て、応接間らしい部屋に私を案内した。「打ち合わせは私がさせていただきます」というのである。「直接話をすれば早いのに・・・」と思ったが、こちらはお願いする立場。そうもいかない。


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 その広報室長は見るからに幹部氏より年上だった。1等海尉だという。「私はもう定年間近か。自分ははキャリアではなく、タタキアゲなんです」。キャリアとノンキャリの違いを説明したが、内心、複雑なものを滲ませた。「1等海尉」。昔で言えば大尉である。海上自衛隊だからか、白い制服が長身によく似合う。


 「私は海ばかりにいました。だから、甲府に来てちょっと調子が狂ってしまいます」とニッコリ笑った。そこには早く海に帰りたい、というこの男の思いが伝わってきた。陸に上げられたカッパといったところだろうか。


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 20日ほど経った本番間近の日に1本の電話がかかった。


 「下見に行きたいのですが・・・」


 広報室長ではなく、その部下を名乗る自衛官であった。「ご苦労様ですねえ」と言ったら、ごく当たり前のように「会場は存じているんですが、その部屋の雰囲気が分からないものですから」と答えた。平日なので甲府からだと40分ぐらいの距離だが、恐らく下見は1人ではなかったはずだ。当日の卓話には3人の部下も同行して来た。同行というより2人は40分前に来て上司の卓話に備えていた。残る1人は運転手兼連絡要員である。今度は大臣にもなった≪事業仕分け人≫の、あの怖いオバサンだったら許してくれないだろうネ。




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等級の使い分け

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陸上自衛隊HPより引用:自衛隊記念日観閲式


 自衛隊の、ある地方組織の幹部執務室。応接ソファーに席を勧めてくれた部屋の主は、濃緑色の制服(陸上)姿。肩には3つの星と銀線2本の階級章が。1等陸佐である。胸には赤や青、黄色とカラフルな功労賞を付けている。いかにも幹部自衛官らしい。銀線2本は佐官の証。因みに1本は尉官、3本は将官だ。自衛官には「将」~「2士」まで16の階級がある。




 1等、2等、3等。この等級、何故か珍しいものに出会ったような気がした。おしなべて等級は世の中からどんどん消えている。例えば、列車の「1等車」、「2等車」は、姿を消して久しい。列車が蒸気機関車から電化した頃を境に多分、なくなっていた。「1級酒」、「2級酒」と格付けを区別していたお酒も後を追った。私たちが若い頃には「合成酒」というヘンな酒も。果物共撰のランク付けも「秀」とか「優」に。数字は使っていない。




 お酒は「1級酒」の上に「特級酒」というのもあった。必ずしも言い換えとは言えないまでも今は「大吟醸」、「吟醸」などという言葉を登場させて«並み»のお酒とランクを分けてもいる。付加価値を付けて料金を違えていることは言うまでもない。


酒


 列車やお酒と並べるのは、いささか憚りもするが、春、秋の叙勲にも1等から5等までの分類が。例えば「勲〇等瑞宝章」といった具合だ。これも数字に代えて「文字言葉」に置き換えた。ただ、私たち市井の人間には、その「格付け」が分かりにくい。その点、数字はズバリだから言を待たない。




 この等級外しは、大人の世界にとどまらず、子供の世界にも波及しているのだ。小学校の運動会でも、例えば、100m競争やリレー競技は「1等」、「2等」を付けずに「優勝」、「準優勝」に。かつては、ゴールインした順に先生や児童など競技の管理担当者が駆け寄って「1等」、「2等」の旗をかざしたりもした。




 こうした等級外しの根底・背景には、いずれも「差別」イメージ解消の意図があるのだろう。差別の解消はいいことだし、言い換えれば、差別があっていいはずがない。でも、差別解消の名のもとに、形ばかりの理屈や教上主義的な考えが優先している、と言ったら言い過ぎか。1等、2等をなくした列車だって「自由席」、「指定席」、「グリーン席」に置き換えたに過ぎない。航空機だって「エコノミー」、「ビジネスクラス」、「ファーストクラス」がある。総じて、数字によるランク付けがなくなっただけで、仕組みは変わっていないのである。




 面白いことに自衛隊には、1,2,3のランク付けが生きていて、«世の中の流れ»に逆らっているようにも見えるが、誰も不思議とも思わず、«教条派»だって注文も付けない。陸、海、空を問わず自衛隊の階級制度は、根本的には旧軍隊と全く変わっていない。つまり旧軍隊の「大」、「中」、「小」を「1」、「2」、「3」に置き換えただけだ。例えば「大佐」を「1佐」、「中佐」を「2佐」、「少佐」を「3佐」に。尉官も全く同じ。


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 専守防衛、シビリアンコントロールを旨とする日本。先の大戦の反省から旧軍隊を全面否定しているのだから、階級などの呼び名も同じにしておくことは理屈に合致しないのだろう。ここだけは世の中の流れとは逆の1,2,3が生きている。一面で皮肉な現象だ。




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音痴人間と自衛隊コンサート

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 海上自衛隊横須賀音楽隊のコンサートを聞かせていただいた。山梨市自衛隊協力会の招聘で実現したもので、山梨市民会館の舞台スペースの関係からかオーケストラの編成は、ざっと40人。実は自衛隊山梨地方協力本部の支援で、このところ毎年、実施している。音楽隊は、横須賀に限らず、第一方面隊のそれもあれば、さまざま。時季によってクリスマスコンサートと銘打つ時もある。




 自衛隊山梨地方協力本部の協力・支援が欠かせないのだが、普通のコンサートとは、ちょっと違って主催者はむろん、市長や自衛隊側の挨拶で幕を開けるのだ。「私はシャイですから…」と前置きしながらも自衛隊山梨地方協力本部長(1等陸佐)は、地元・山梨出身の若き自衛官を紹介、さりげなく自衛隊をアピールすることも忘れない。

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 もちろん、オーケストラは、みんな海上自衛隊の制服(礼服)姿。なぜか、ステージが和やかな中にも引きしまった雰囲気を醸し出すから不思議だ。プログラムは2部構成。1部は「ダンス・セレブレーション」、「詩的間奏曲」、「この道」、「Stand Alone」、「伝説のアイルランド」の5曲。




 15分の幕間いを挟んで第2部へ。「Miracle Shot」、「宇宙戦艦ヤマト・ハイライト」、「歌劇『ラ・ボエーム』より ムゼッタのワルツ~私が街を歩けば」、「Get It On」、「オネステイ」、「レッツ・ダンス」、「スイングしなけりゃ意味がない」と続く。会場を埋めた聴衆は、みんな拍手喝さい。割れんばかりの拍手を送るのである。幕が閉じる前のアンコールの拍手も鳴りやまなかった。




 何年か前になるが、毎年、東京・武道館で開かれる自衛隊音楽祭を何度か見せて(聴かせて)いただいた。あの武道館のホールいっぱいに繰り広げるコンサートは圧巻。一口に言って感動、感激した。全国5方面自衛隊・選りすぐりの音楽隊、それも陸、海、空の全てが一堂に集結してのコンサートだから、聴衆を魅了しないはずがない。

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 吹奏楽や管弦楽、和太鼓…。マーチングバンドによる一糸乱れぬ分列行進演奏もある。アメリカ海兵隊の賛助出演も。約3時間コンサートはあっという間に時間が過ぎる。こんなことを綴っているオジサンは、実は根っからの音痴人間。不思議なことに、いつしか自らの音痴人間を忘れてしまうのだ。腹に響くような豪快な和太鼓の演奏には圧倒されもした。




 白状してしまえば、オジサンの音痴ぶりは半端ではない。困ったことに音符さえ読めないのだ。五線譜の「ド、レ、ミ…」は分かる。でも、肝心の音を正確に出すことが出来ないのである。だから、お恥ずかしいことに、どんな易しい曲の譜面を見せられてもチンプンカンプン。曲がりなりにも歌を覚えるとすれば、耳からの慣れでしかない。




 付き合いのチケット購入や女房のお供でコンサートには度々、足を運んできたものの、眠ってしまうことも珍しくはなかった。毎日を忙しく過ごしていた現役時代と、リタイア後の今では生活環境が違うと言ってしまえば、それまでだが、この自衛隊コンサートや音楽祭は、何故か音痴人間を心ゆくまで魅了してくれるのである。




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自衛隊と救援活動

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 4月から5月にかけて各種団体にとっては、新年度の定時総会の季節。私が所属、役員の末席を汚させていただいている山梨市自衛隊協力会も大型連休の狭間を利用して総会を開いた。むろん、前年度の収支決算や新年度の事業・予算計画の審議が中心だ。地元市長や市議会議長、自衛隊山梨県地方協力本部の幹部ら何人かの来賓も姿を見せる。




 会の主催者である会長は、冒頭の挨拶で、被災者にとって世に言う大型連休どころではない熊本大震災に触れ、「私の個人的な愚痴としてお聞きを頂きたい」と前置きしながら、こんなことを言った。




 「苦難を強いられている被災者のみなさんに心を寄せ、熊本を中心とした地域の一日も早い復旧、復興を願わずにいられません。その災害現場で、自衛隊は大量動員して、行方不明者の捜索や給水、道路補強などインフラの復旧に頑張っています。そのご苦労に感謝することは、むろんですが、マスコミに、その下向きなご苦労ぶりが、それほど取り上げられないことが残念です。地元の警察や消防などの取り組みとは、およそ違います」




 もちろん、自衛隊の救援、救済活動がマスコミで取り上げられていないわけではない。この会長さんが言いたかったのは、そんなことではなく、我が国に於ける自衛隊の立ち位置、言い換えれば、受け止め方の複雑さだろう。マスコミ報道に現れる陰に陽にのスタンスに疑問を呈したのではないか。


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 総会が開かれた翌日5月3日は憲法記念日。日本国憲法が制定されて69年。折しも安倍政権は、安保関連法を成立させ、これを巡る国民世論は、かしましい。反対派は「戦争法」と決めつけ、プラカードを掲げてデモ行進も。これに対して、政府は、国民の生命、財産を守るための必要措置という。こんな論議や対立は、私達は日常のマスコミ報道を通じて知る他はない。




 換言すれば、新聞やテレビを中心としたマスコミの報道いかんによって私達、市井の人間は、右にも左にも、どっちだって行ってしまうのである。こんな断定的な言い方をしたら叱られる。「多くは」と、言った方がいい。兎に角、マスコミの報道は、国民の意思決定に少なからず影響を及ぼし、行動をも促していく。怖い存在だ。




 例えば、大型連休中、テレビや新聞が行楽のスポットや賑わいを紹介すれば、それを見た人達は少なからずアクションを起こすのだ。反対にマイナス志向の表現をされたら人の足を止める。それが証拠に熊本大震災は、九州全域の行楽客の足を止めているという。その影響は、観光業に携わる人達に留まらず、あらゆる分野の経済活動に及んでいるだろう。




 「日本人は」と言ったら、また叱られるかも知れないので「私なんか」と置き換えるが、学者とか「専門家」と言われる人達の意見に影響されやすい。常套手段のように新聞やテレビは、そうした方々を登場させる。そこに意図的なものがあったら…。学者や専門家と言われる人達の意見、考え方だってマチマチなのだ。自衛隊を中心に置いた安保関連法のマスコミ報道の有り様に会長さんは、言外に疑問を呈したのかも知れない。




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船上の出稼ぎ

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 ハワイ諸島めぐりのクルージングがきっかけで、船に乗るのが癖になったのか、昨年は海上自衛隊の体験航海に応募、横須賀や清水に飛んで、護衛艦に乗った。水平線に向かってすべるように進む船での航行はいかにもダイナミックで、気持ちがいい。体験航海だから操舵室や船橋(ブリッジ)にも入れてくれる。「面舵いっぱーい」。海上らしいスマートな白の制服に身を包んだ自衛官が双眼鏡をのぞきながら前方を確認し、操舵室に運行指示を出している。肩と胸には階級章がついていて、それぞれの立場が一目で分かるようになっている。


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 面舵とは右旋回、これに対して取り舵は左旋回のことを言う。「いっぱーい」は30度のことをいうのだそうだ。つまり、船は左右30度の旋回が限度ということか。護衛艦は昔の駆逐艦。自衛隊は「駆逐」という言葉を避けているのだろうか。戦艦も客船も多くはタグボートを使って接岸したり、離岸する。しかし最近ではこのタグボートを使わすにすむ機能を備えた船が増えているのだそうだ。



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 護衛艦と客船は目的が異なるから、もちろん見た目も中身も違う。性能は別にして、双方ともレーダーを積載、船橋や操舵室もほぼ同じだろう。当然のことながら根本的に違うのはミサイルなどの搭載。外観の色も違う。客船が極めてカラフルなのに対して護衛艦は相手の視界から見えにくいメタリック色だ。呼称は異なるが、客船でもキャプテン(艦長)以下、幹部は肩、または胸に階級章を付けていて、担当別のクルーの指揮を執っている。


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 例えばレストラン。クルーは幾つかのレストランを日替わりで担当しているようで、あっちこっちで同じ顔ぶれに出っくわして顔馴染みになったりもした。そのクルーばかりでなく、全艦の乗務員に言えることだが、白人より東南アジア人が多いように見えた。主にタイ、マレーシア、フィリピン人のようで、中には黒人もいた。


 日本で言うバイキング方式の大衆レストランはともかく、テーブルに高級ワインやシャンペンを並べ、個々にメニューを渡し、前菜からメーンデッシュ、デザートまでオーダーを取るレストランで、もたもたする私たちに「ジャパニーズ?」と声をかけてきた。「イエス」とこたえると「おげんきですか?」「こんにちは」と、愛想よく片言の日本語で返してくる。グアムの出身だというその男はそのクルーのチーフで、数年前、東京のホテルで接客の研修を受けたという。「研修ではなく、一度は日本に行きたい」とも。


 東南アジア系のクルーといえば、ハワイの行き帰りの飛行機の中でも同じような現象を見た。日航機だったが、かつてはスチュワーデスといった客室乗務員のほとんどがタイ人だった。この人たちをリードする日本人のアテンダントに内緒で聞いてみたら、日航では10年ぐらい前からタイ人女性を採用しているのだそうで、さらにフリピン女性の採用を検討しているという。東南アジア系の採用は何れも人件費削減策に他ならない。ことの良し悪しは別に日本を除く東南アジア人の≪出稼ぎ≫範囲はあっちこっちに広がっている。そのみんなが、それぞれ夢を持って頑張っているのである。


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プロフィール

やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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