パソコンは利口者(再)
「おかあさん、英語の辞書、どこへやった?」
「そんな事、知らないわよ。お父さんの辞書なんでしょう。私なんか、英語の辞書なんて関係ないわよ。まったく・・・」
そんな女房との会話を聞いていた娘が
「お父さん、英語の辞書、何するの?」
女房が女房なら、娘も娘。
「バカっ、単語、調べるに決まっているじぁないか。こんな、コメント、入っているんだけど、分からない単語があるんだよ。お前分かるか」
夕食が済んで母親とお菓子をむしゃむしゃ食べながら、なにやら話していた娘が、晩酌を済ましてパソコンに向かっていた私の後ろに来て
「ああ、それのこと。お父さん、この英文で分からないことがあったら、パソコンに翻訳機能 があるんだから、それ、使えばいいじゃない。いちいち辞書なんか引かなくたっていいんですよ。パソコンんて、お利口さんなんだから・・・」
「へえ~、そんなこと出来るのか?」
「お父さん、何にも分かっていないんだね」
「バカっ、お父さんに分かるわけねえじゃねえか」と開き直ったら、茶の間にいた女房が
「お父さん、分からなかったら素直に娘に教わればいいじゃない。すぐ、バカ、バカと言うんだから・・・。まったく・・・」
女房は事ある度に娘の弁護をする。その後につくのは「まったく・・・」である。それはともかく、娘がいくつかのキーを叩いたら5~6行の英文コメントはあっという間に和文に翻訳された。「おじさん、そんな事、当たり前だよ」と、このブログをお読みいただくお若い方々に笑われるかも知れないが、私にとっては「目から鱗」であった。
その翻訳文は、私たちが学生の頃やってきた、ぎこちない訳し方だが、そこそこの日本語になっている。若者達が、といったら叱られるから、娘達と置き換えるが、辞書を引く習慣が失われていく現実がよく分かる。国語の辞書であれ、英語の辞書であれ、そういう自分だって、あの小さな文字をページで追うことが億劫になって、今では電子辞書。いわゆる字引ではなくキーを叩いているのである。
娘が言うようにパソコンと言うヤツは本当に利口者だ。視覚でなんとなく覚えていれば、変換キーで難しい漢字でも、そこに導いてくれるし、お目当ての字が見つからなければ手書きで入力すれば、その字を探してくれる。表計算だってやってくれるから、無し無しの頭を使わなくてもいい。それも絶対に間違えないのだ。英語だって同じだ。
ただ、こんなに融通の利かないヤツもない。例えば「つ」と「っ」、「ず」と「づ」、これを間違えたら絶対に許してくれない。巷にいそうな人間の利口者とよく似ている。
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