裸になった柿

柿3_convert_20121201143702 



 「お父さん、みんな採らないともったいないじゃないの」
 高い脚立の上に上って柿もぎをしている私を下から見上げていた女房が注意を促すように言った。


 「おまんは何にも知らんのだな。こうして木にいくつかの柿を残すのは、≪木守柿≫と言ってなあ・・・」



 柿の木の実をすべてを採らない理由(わけ)を説明してやったら「へえ~、そんなことあるんだ」と、この時ばかりは妙に従順な顔つきでうなずいた。よく考えてみれば、私のような田舎育ちの人間と違って、甲府の町に育った人間にそんな事が分かりっこない。脚立の上から独り言のように「木守柿」について話してやった。


柿1



 「木守柿」「きまもりがき」とも「こもりがき」「こまもりがき」「きもりがき」とも読む。木になった柿をみんな採ってしまわずに、いくつか残しておく実のことを言うのである。だんだん寒くなって食べ物がなくなる小鳥のために餌として残してやれ、と子供の頃、近所の年寄りから教わったものだ。このほか、来年の豊作祈願の意味合いもあるとも言う。この風習は野鳥など自然への人間の優しいいたわりの心であり、素朴な祈りなのだ。




 「桃栗3年、柿8年、梅はスイスイ18年・・・」と言うが、柿は梅などと共にすぐには実を付けない。我が家の柿の木はもう何十年も経つ古木で、今年もたくさんの実を付けた。毎年の事だが、東京や埼玉に住む弟達や親しい知人に送ってやる。沢山ならせすぎると、どうしても小ぶりになってしまう。




 今年もすでに何度か吹いた木枯らしで、柿の木はすっかり葉っぱを落とし、脚立の上には橙色に膨らんだ柿をぶら下げている。木枯らしと共にやって来る霜を受けると、甘味を増して、いっそう美味しくなる。形の大小は見栄えだけの問題で、味にはそれほど関係ないのである。この柿は「富有」という品種だ。


柿



 にはそのまま食べられる甘柿枯露柿などに加工しなければならない渋柿がある。それぞれ、さまざまな品種があるが、我が家の甘柿は、この富有柿と御所柿ぐらい。かつては次郎柿とか江戸一柿などの品種もあったが、今はない。一方、渋柿もさまざまな品種がある。甲州百目、蜂屋、富士、平角無、西条・・・・。このうち、我が家にあるのは最も人気の甲州百目。今、女房が近所の人に教わりながら枯露柿を作っている最中だ。




 甘柿と渋柿の関係をご存知だろうか。甘柿は渋柿の突然変異だと言われている。わが国特産の品種である。ただ、この渋柿も熟すとだんだん渋が抜けて甘くなる。特に形も大きい甲州百目の≪ずくし≫はうまい。一部は枯露柿にせずに保存しておいて冬中、この≪ずくし≫として食べる。酔い覚ましには絶品だ。





 女房ではないが若い頃、この柿で「へえ~」と思ったことがある。山梨県の八ヶ岳山麓に小淵沢という町がある。標高が7~800mはあるだろう。ここでは「富有」も「次郎」も甘柿はみんな渋柿。甘くならないのである。標高と柿の甘い、渋いの関係をご存知?





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サツマイモと焼酎

サツマイモ3


 「へえー、サツマイモの生産量日本一は千葉県か」
千葉の方がお書きになったブログを拝見しながら、新しい知識を頂いたような気がした。お恥ずかしい話だが、サツマイモというから、てっきり薩摩、つまり、その産地は鹿児島県だと思っていた。





 落花生の生産量が日本一ということは知っている。たまに行く外国旅行の帰りに成田空港の上空からの千葉を見おろす時、あっちこっちに目立つゴルフコースの間に間に広々と広がる田園や畑。その時期により、あれが落花生畑か、と勝手に思ったりすることがあるが、サツマイモ畑と思ったことは一度もない。落花生は粘土質より砂地の方がいいという。なんとなくのイメージだが、千葉には落花生がよく似合う。




 産地うんぬんはともかく、サツマイモは私にとって、というより私達の世代にとって、さまざまな思い出がある。戦後間もない子どもの頃、秋からこの時期のおやつといえば、このサツマイモ。時には弁当がサツマイモという子もいた。冬中はこのサツマイモを薄く切って干した≪切っ干し≫が子どもながらにうまかった。麦飯が当たり前で、白い米が珍しかった時代である。


干しいも


 時代は一変。今は観光土産になった≪おやき≫などと共にサツマイモも石焼芋として売り出したりすればちょっとした嗜好品。そこには生活の貧しさのような、いわゆる暗い影は微塵もない。もう30年ぐらい前になるが、東京支社勤務の東チョン時代に、宿舎のマンションへの帰り道、あの「石焼き芋~」の呼び声に、子どもの頃のあの味をオーバーラップして「おやじ、ひとつくれ」・・・。うまかった。

焼き芋


 そんな思い出を引きずったわけでもないが、今年はサトイモなどと共にサツマイモも作ってみた。収穫を一日延ばしにしていたら、それまでは青々としていた葉っぱの芋のツルは霜にやられて、見る影もなくベタベタ。もうこれ以上延ばすわけには行かないと、掘ってみたら、そこそこに芋は着いているのだが、いずれも小さい。女房は言う。



 「お父さん、これじゃあ、買って食べたほうが安いわねえ」

サツマイモ2


 「バカ言え」とは言ってみたものの、その通りだとも思った。このサツマイモ、ゴールデンウイーク真っ只中の5月3日、JAの即売所で70本一束700円の「太白」「金時」の苗二束を買って来て差したものだ。芋が大きくならなかった原因は自分でもおおよそ分かっている。ツルが繁茂する夏の時期、ツル返しを丹念にしなかったからだ。サツマイモは極めて逞しい野菜で、ツルのあっちこっちに根を張りながらグングン延びるので、ツル返しをしないと精力が分散、肝心の芋が大きくならないのである。


サツマイモ1



 そんな芋でも、自分が作ったものは愛着がある。額に汗しての芋掘り。その汗もちょっと休むとサッと冷える。畑にいても酒が恋しくなる。私は元来、日本酒党だが、サツマイモといえば焼酎。若い頃、記者クラブで一緒だった仲間に鹿児島出身の男がいて、里帰りする度に鹿児島の芋焼酎を持って来てくれた。西郷さんのような顔をしたこの友と一升瓶を脇に夜明かし。もちろん、今のように水割りではなかった。




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高原の下草刈

 一面に黄色く色づくクヌギやミズナラ、その間に間に真っ赤に燃えるナナカマドやウルシ。秩父多摩甲斐国立公園の一角にある乙女高原から見渡す紅葉は見事だった。杉などの常緑樹がその紅葉をいっそう引き立たせていた。甲武信岳、奥千丈岳、鶏冠山・・・。三角点に立って後ろを振り向けば、五合目から上を雪化粧した富士山が前衛の山を従え、稜線を引いて雄大にそびえる。空は限りなく青かった。


乙女高原  


 この日の乙女高原行きは紅葉狩りなんかではない。高原の下草刈のためだ。標高1,700mの乙女高原は全国でも有数と言っていい野草の宝庫。春にはサクラスミレやツツジなどが一斉に花開き、夏を迎えるとキンバイソウをはじめ、100種類を超す花々が高原を彩る。まさに広大なお花畑だ。秋には控えめながらも、あっちこっちに、あの紫のリンドウが・・・。いずれの季節のお花畑にも周囲の白樺かよく似合う。


リンドウ


キンバイソウ


 下草刈はこうした高原の野草を守り、後世に伝えよう、と「乙女高原ファンクラブ」の呼び掛けで始まったものだ。ファンクラブのメンバーは同高原にやって来て見事なお花畑や自然に惚れ込んだ文字通りファンが集まって作ったもので、地元山梨はもちろん、東京や千葉、神奈川、埼玉、茨城など関東近県に広がる。週末、ドライブがてら家族連れでやって来るファンも多い。


 

 「どんな草原も放って置けば必ず森になる」




 数年前、山梨ロータリークラブの例会に招かれてゲスト卓話をした乙女高原ファンクラブの代表世話人・上原彰さんはこんなことを言った。森になるということは、言うまでもなく、日本で一番大きなスミレの花といわれるサクラスミレなどこの高原の貴重な野草が絶滅することを意味する。



スミレ


 毎年、11月23日(勤労感謝の日)の下草刈りと5月中旬の遊歩道作りは欠かさない。今年も200人近いボランティアが集まった。多い年には300人近い人が集まる時もある。みんな手弁当で、刈払い機と呼ばれる草刈機などを持ってやって来る。錦織り成す山々、と言っても高原はもう完全に冬。吐く息は白く、冷たい風が頬を刺す。


草刈2


 午前9時。赤いトタン、丸太造りのロッジ前庭での開会式の後、200人近いボランテアは一斉に高原に散って作業開始。一面に生い茂ったカヤを刈り、あっちこっちで大きくなりつつあるブッシュを刈り取るのである。山梨ロータリークラブからは会長、副会長以下8人が参加した。


草刈
 

 一帯は、かつてはスキー場だった所。その面積は760haにも及ぶという。全国的に高原のお花畑は冬のスキー場の跡に多い。長野県の車山高原スキー場のニッコウキスゲもその一つ。放って置くとブッシュが育ってスキー場の体を成さなくなるから、雪が降る前に下草を刈るのである。原理はみな同じだ。




 大勢の力とはすごいものだ。作業開始から3時間。広大な高原は綺麗になった。スロープになって広がる斜面を眺めながら、土曜日の午後、カバンを放り投げ、手作りのスキー板を担いでバスに乗り、麓から3時間も歩いてこのスキー場に来た子どもの頃を目に浮かべた。ついこの間のような気がするが、60年ぐらい前のことだ。この高原は毎夏、ユネスコの国際子どもキャンプでお世話になる。思い入れの深い所でもある。




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芋茎と木枯らし

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 これが木枯らしというのだろうか。今日の甲府盆地は朝から冷たい風が吹いた。一番霜に遭ったのか、トウノイモのツル(茎)もひと頃の元気をなくした。毛糸の帽子を冠って畑に出たが、冷たい風が頬を刺す。庭先の御所柿も、その冷たい風に吹かれて、葉っぱをすっかり落とし、裸になった木に黄色い実だけをぶら下げている。


 「夕陽の丘のふもとゆく バスの車掌の襟ぼくろ 別れた人に生き写し・・・」



 ご存知の方ご存知、昭和30年代の後半、石原裕次郎と朝丘ルリ子が唄った「夕陽の丘」の歌い出しである。その3番はこんな歌詞だ。


落ち葉 秋 紅葉_convert_20121206193103



 「真菰の葦は風に揺れ 落ち葉くるくる水に舞う この世の秋の哀れさを しみじみ胸にバスは行く」



 この歌の舞台は、どこかのひなびた湖の畔(ほとり)だろう。私が住む農村地帯のスチュエーションとは違うが、季節はちょうど今頃。落ち葉が風に舞う光景は全く同じだ。一枚、二枚とどんどん落ちていく柿の葉はカラコロと音を立てて風に舞うのである。


落ち葉



 今日の風が春一番ならぬ木枯らし一番かどうかは分からないが、季節は本格的な 冬へとまっしぐらに進んでいることは間違いない。我が家も冬支度へやることはいっぱいだ。地区のグランドゴルフ大会など、出掛けることが多く、枯露柿作りの柿もぎもやりかけ。トウノイモやサトイモ、サツマイモも掘らなければならない。特に、トウノイモは霜に当てたら肝心のツルが駄目になってしまう。


 
サトイモ
サトイモ


 トウノイモとサトイモは掘り出してみればその違いが分かるが、外観ではほとんど区別がつかない。答えをお教えしよう。簡単な見分け方は、ツル、つまり、大きな葉っぱを一つだけつけた茎が赤いのがトウノイモ青いもがサトイモである。芋はサトイモがたくさんの小芋をつけるのに対して、トウノイモは親芋だけが大きく、小芋は少ない。トウノイモの親芋はもちろん食べられるが、どちらかと言うと大味だ。


芋の弦2
トウノイモ


 この二つは作り手のそもそもの狙いが違うのである。言うまでもなく、サトイモは芋を食べることが主眼。これに対して、トウノイモはむしろ、ツルの方を食べることに主眼を置いているのである。同じようなツルだが、サトイモのツルは食べない。




 トウノイモのツルはどうして食べるの?とお思いの方もお出でだろうが、あなたも食べたことがある筈だ。巻き寿司の芯に使うあれだ。と言っても、最近はカンピョウが多く、滅多にお目にかからない。味はピカイチだが、カンピョウのように量産が出来ないからだろう。




 芋茎(ずいき)ともいう。肥後芋茎が有名だ。「随喜の涙」という言葉があるが、これとは関係ない。しかし、意味深に結びつきそうな言葉だ。いずれにしてもここで詳しく説明するわけにもいくまい。八百屋さんではなく薬局で売っている商品だ。



 刈り取ったトウノイモのツルは皮を剥いて天日干しにし、保存するが、寿司の芯ばかりでなく煮物にしてもいい。酒のつまみには絶品だ。明日はそのツル剥きをする。





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枯露柿作り

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 甲府盆地もどんどん冷え込んできた。初冬の風物詩でもある枯露柿作りが始まった。初夏のサクランボから始まって、桃、葡萄と息つく間もなく、忙しくしていた果樹農家は10月中旬からちょっと一服、この冷え込みを待って、枯露柿作りを始めるのである。枯露柿作りは気温の冷え込みが、その成否の第一のポイント。なぜかって? 暖かいと皮を剥いたばかりの生柿がカビてしまうからだ。




 峡東地方と呼ばれるこの地方の中でも甲州市の松里地区を中心とした一帯は、全国的にも有名な枯露柿の産地だ。毎年、この時期になると新聞やテレビで枯露柿作りの様子が紹介されるから、ご存知の方もいらっしゃるだろう。農家の軒先には特別に設けられた棚に、剥いたばかりの柿が簾のように、いっぱい吊るされる。圧巻ともいえる黄色い柿のカーテンは、まさに、この地方の秋の風物詩である。


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 この地域が古くから枯露柿の産地として君臨しているのにはそれなりの訳がある。立地から来る気象条件であることは間違いない。東側に御坂山塊、北側にそれから連なる秩父山塊、西側にその延長線上にある岩手山や八幡山がある。そのど真ん中を一級河川の笛吹川が流れている。




 袋のようになった山と、その中央を流れる川が枯露柿作りに適した条件を生み出しているのだ。つまり、川と山がこの時期、剥いたばかりの生柿を乾燥させるのにうってつけの気流を作ってくれるのだという。ただ、その気流も暖冬には勝てない。数年前、この暖冬で枯露柿農家は大きな被害を受けた。剥いて間もない生柿がカビてしまったのだ。いつまでも冷え込まない気象に業を煮やした農家は電動の扇風機で風を送るなど躍起の策を取ったのだが焼け石に水。気象には勝てなかった。


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 我が家のある岩手地区は枯露柿の一大ブランドを持つ松里地区と笛吹川を挟んで西側で、いわば目と鼻の先。松里ブランドにはかなわないだろうが、同じ気象条件にあって立派な枯露柿の産地だ。11月の声とともに農家は柿剥きにおおわらわ。柿はもいだ後、3~4日寝かせてから剥くのがコツ。二個ずつ簾のように吊るす前に硫黄で薫淨する。殺菌効果とともに仕上がりの色をよくするためだ。煮え湯に10秒ぐらい浸けてもいい。その方法はともかく、今、剥いている柿はクリスマス、お正月には贈答品として市場に出回るのである。


干し柿



 枯露柿用の柿は甲州百目、大和、蜂屋などだが、この地方の主流は何といっても甲州百目。我が家でも女房が柿剥きを始めた。もちろん、出荷などという大それた事が出来るはずがないから、お楽しみと親しい人に差し上げる程度のものである。今年は2回ほど消毒をしたせいもあって、10本足らずだが、甲州百目の木に200個ぐらいの大きな実を付けた。



 「どうせなら、もっと吊るせし」



 慣れない手つきの女房と二人を見た近所の人が「硫黄薫淨して来た」という100個近くの甲州百目を持って来てくれた。我が家の≪柿の簾≫も昨年、一昨年より賑やかになりそうだ。簾のように吊るす竹竿も甲州市の知人がわざわざ運んでくれた。ありがたい。





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落花生の収穫

 「お父さん落ちないでくださいよ」
8段ある脚立でも高い所は手が届かない百日紅の木によじ登って、枝を切り落としていたら、下から女房が心配そうに声をかけてきた。




 百日紅は幹の形状がすべすべしているからか、「さるすべり」とも言う。パソコンで「さるすべり」と打って、変換キーを叩くと「百日紅」と出て来る。「百日紅」を「さるすべり」と読ませるのだ。



 とにかく、女房が言うように「さるすべり」の木から落ちたのでは洒落にもならない。「バカ、このくらいの事、大丈夫さ」と、言ってはみたものの内心は、やっぱり怖い。このくらいのことは、若いときなら平気だっただろうに・・・。足腰とバランス感覚は確実に弱くなっている。やはり歳はウソを言わない。



 沢山の枝を切り落としてみると、なにか寒々しく、冬を実感する。やはり葉を落とした近くの梅の大木も、だらしなく伸びた徒長枝を切り落としたいのだが、こちらは高すぎて駄目。あきらめて野菜畑の落花生を掘ることにした。こちらも既に葉っぱをガラガラに枯らし、かつての勢いは見る影もない。


落花生2


 今年の落花生の収穫にはちょっとした思い入れがある。だいぶ前になるが、このブログで落花生について書いた時、北海道の「nocs」さんからこんなコメントを頂いたからだ。


 「(前略)収穫の季節ですね。収穫の写真(中略)、特に落花生がどのように実っているのか見た事がないので、興味津々です」


 「nocs」さんお待たせしました。落花生の写真をお届けします。写真があまり上手ではありませんので、ちょっと分かりにくいかも知れませんが、落花生は、その実を根に付けるのではありません。以前にも書きましたように、根ではなく、花から伸びたツルの先に付くのです。


落花生1  


 「落花生」とは、うまい字を充てたものです。その字の通り落花生は「落ちた花に生まれる」のです。春先に種を蒔き、青々と葉が茂る6~7月を過ぎて7月下旬から8月、黄色い花をいっぱい付けます。ここからがまさに感動的。いくつもの黄色い花は一本のツルを従えて徐々に下に下り、やがて土に潜るのです。その花が殻の中に、あのピーナッツといわれる二つの種を宿すわけです。落ちた先に盛り土がなければ空中ブランコです。



 因みに春先、種を蒔くときには殻のまま蒔いてはいけません。二つずつ入っている殻の中から実を取り出して3粒ぐらいづつ、およそ30cm間隔で蒔きます。来年の事などちょっと気の早い話しをしましたが、収穫した落花生は土をよく洗い落とした後、天日干ししてから保存します。食べ方はフライパンで煎ってもいいし、茹でてもいいと思います。


落花生3



 カラカラに枯れた葉っぱは私の場合、やはり葉を枯らしたウドの上に載せて薄く土を掛けておきます。あの柔らかいウドを作るには籾殻がいいのですが、米作農家が減った今では籾殻が手に入りません。「nocs」さん、お分かりでしょうか。


落花生4


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山茶花とおふくろ

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 「サザンカ サザンカ 咲いた道 焚き火だ 焚き火だ 落ち葉焚き・・・」
そう。唱歌「落ち葉焚きのうた」の一節だ。こんな歌もある。



 「くもりガラスを 手で拭いて あなた明日が 見えますか 愛しても 愛しても ああ他人の妻 赤く咲いても 冬の花」



 ご存知、大川栄策の「さざんかの宿」である。



 「落ち葉焚きのうた」は子供から大人までが、なにか心を洗われるような歌であり、一方の「さざんかの宿」は、まさしく大人の歌だ。そして、この二つの歌ほど初冬の情景を見事に詠った歌はないように思う。


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 ここ数日、甲府盆地の冷え込みは激しく、最低気温は一桁になった。最高気温だって14度前後。御坂山塊の向こう、富士山麓地方は最低、最高ともに、これより3度から5度低い。今日のように、どんよりとした曇りの日には日中、家の中にいても素足では足が冷たい。掛け布団の下には厚手の毛布が必要になった。




 甲府盆地は初霜に次いで初氷も観測。秋を一足飛びに飛び越えて季節はもう冬。ついこの間のような気がするが、庭の植え込みで真っ赤な花を付けていた百日紅も今はすっかり葉を落とし、黄色い実を膨らませた柿の木は、一枚、二枚と葉を落として丸裸。庭は女房が毎朝掃くのだが、落ち葉でいっぱい。ブツブツ言いながら熊手でかき集めている。



 歌はウソではない。山茶花の花もちゃんと咲き始めた。


山茶花1



 我が家の山茶花は、庭の植え込みと野菜畑の向こうの道沿いに植えてある。おふくろが近所の人を頼んで生垣用に植えたもので、40本は楽にある。親父を亡くした後だから、もう、かれこれ25年近く経つのかもしれない。仕事仕事で実家にも寄り付かずに甲府で過ごしていた息子を尻目に、気丈にも独りで家を守っていた、在りし日のおふくろの姿が目に浮かぶ。




 そんなバカ息子も勤めをリタイアしたからには、もちろん、畑仕事も植木の剪定もする。伸び放題になっていた山茶花は1,6m位の処で頭を切り落とし、前後を刈り込んで、生垣としての体裁を整えた。今年もいっぱい花を付けた。大川栄策は「さざんかの宿」の一番で『赤い花』と唄っているが、ピンクがかった赤もあれば純白の花もある。




 おふくろの知恵なのか、手伝ってくれた近所の人の知恵なのかは分からないが、それが交互に植えてあるから、紅白のコントラストがいい。山茶花の生垣沿いの道は、わずか3尺か4尺の細い道。子供の頃、近所のお年寄りに聞いた話だと、その昔は村の街道的な存在を担った、いわゆる古(いにしえの)道である。


山茶花3



 山茶花は、椿とよく似ているが、山茶花が一枚ずつ花びらを落とすのに対して、椿は花全体を首からころりと落とす。そんなことから椿は病気見舞いの花にはそぐわないのだそうだ。山茶花ならいい。この山茶花を入院中のおふくろに持って行ってやろう。喜ぶだろう。しかし、痴呆が始まっているおふくろには、自分の手で植えたことすら忘れているかも知れない。そんなおふくろを見るのが痛々しく、哀れでならなかった。でも、そんなことを考えていた時の方がいい。いなくなったら、それも叶わない。




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麻雀ダコとペンダコ

 「お父さん、これは何ですか。麻雀ダコでしょう」
 「そんな事よく分かるな」
 「大体分かりますよ。毎週のように明け方まで麻雀やるんですもの」





 少しばかりの仕事で疲れた肩と腕をもんでもらっていた時の女房との会話である。そう、私の右手の中指には、第一間接と第二間接の二箇所に大きな麻雀ダコがある。それほど力を入れて牌を握るわけでもないが、その二箇所の腹に牌を引っ掛けてしまうから、どうしてもタコが出るのである。

手


 「これじゃあ、お父さんがどこで死んでいても、麻雀好きの人とすぐ分かるわね」
 「おい、おい、そんな縁起でもないこと言うなよ」




 女房に言われるからではないが、大きくなると、ちょっぴり邪魔になるような気がするので、爪切りで削り取るのである。




 その右手にはもう一つのタコがある。ペンダコだ。このタコはみんなお分かりになるだろう。右手の中指と人差し指の第一間接横に出るのである。しかし、こちらは放っていても小さくなるばかりだ。タコが出るほど文字を書いたのは遙か昔のことで、今は字を書かないからタコなんか増殖しっこない。

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 麻雀ダコとペンダコ。この二つが生まれる背景は大きく様変わりした。ひと頃、お世話になった甲府の麻雀荘は、一つ、また一つと姿を消している。麻雀人口がどんどん減っているからだ。若者達は見向きもしないし、お酒を飲み歩き、酔い覚ましを口実にしては麻雀荘に上がりこんでいたバカなサラリーマンも少なくなってきた。


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 「たまには来て下さいよ」。甲府にいたサラリーマン現役時代によくお世話になった麻雀荘のマスターは久しぶりに出会った私に、かつてのよき時代が恨めしそうに今の姿を話してくれた。まさに閑古鳥だそうだ。古くは学生時代。今は懐かしい神田や早稲田の学生街の麻雀荘もバタバタ姿を消しているのだそうだ。講義の合間?によくもぐり込んだあの雀荘も・・・。


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 もう一つのタコ、ペンダコだが、これこそ、今やしゃれにもならない過去の遺物だ。なぜかって?パソコンがこれほど普及してしまった今、いわゆるペンを使って大量の文字を書く人間なんていっこない。文字は書くものではなくなって、パソコンで叩きだすものになってしまったのである。一刻を争ってニュースを送らなければならない新聞記者はもちろん、出版社の担当者が次の間で待っている作家だって同じだろう。字がへたっくそな人間にはこんな都合がいいものはない。




 今年も10月31日には来年の年賀はがきが売り出された。あと半月足らずで、その数の大小は別にして、皆さんのお宅にも年賀状が届く。注意して御覧なさい。そのほとんどが印刷文字の活字で埋まっているはずだ。手書きの文字は珍しくなって、それが逆に新鮮味を感じたりして。いつの間にかそんな様変わりをしているのである。




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トイレと新聞

 「また、そんな所で新聞を読んでぇー。いい加減にしてくださいよ」
私の一日は、女房から叱られることから始まる。私が朝一番で見る新聞はトイレの中と決まっている。「なんてお行儀の悪い」。皆さん方もお笑いになるだろう。場所が場所だから女房が嫌がるのも無理はない。私だって、そんなことがいい事でないことぐらい十分に分かっている。


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 しかし、これが止められないのである。元々は、出勤前の慌しさの中での時間稼ぎの意味があった。朝のトイレと新聞に一通り目を通す作業を一辺にやってしまおうというものだ。寝坊なサラリーマンがお出でになるとしたら、その辺の気持ちは分かって頂けるだろう。朝の時間は一分だって惜しい。学校に通う子ども達だって同じだ。私の場合、当時、新聞社に勤めていたから、新聞に目も通さずに出勤とはいかなかった。





 実は、これをやってみると、堪(こた)えられないのである。朝の慌しさの中でもやけに落ち着くのだ。甲府に住んでいる時分だが、新聞を読みながら「この空間をもっと居心地のいい所に出来ないものか」と思いを巡らせたこともある。勤めを辞め、山梨市の田舎に戻るのを機会に実家のリフォームを決意した時、大工さんに注文を付けたいくつかの項目のうちの一つが、このトイレだ。




 機能もさることながら、ゆったりしたスペースをとることだった。ただこの注文がトイレの側面の裏側に設けたクローゼットにしわ寄せして、使いにくいものになってしまったのだが、それはそれでしょうがない。クローゼットの奥行きが半分になった分、トイレが広くなった訳で、新聞を開いても差し障りがないし、第一圧迫感がないから心地いい。


トイレ



 「新聞~」と、トイレの中から声を掛けると、女房はいつものようにブツブツ言いながら新聞受けから持ってくるのである。そんな自分が後ろめたくもあるが、今日もそれを繰り返している。こんなことをしているのは私だけだと思ったら、他にもいた。いつもマージャン遊びでお世話になる仲間の家のトイレをお借りしたら、週刊誌などの雑誌と一緒に新聞が小さな台の上に重ねてあった。




 ちょっと前のことになるが、ある心理学者が書いた本を読んでいたら、人間が心理的に最も落ち着く空間としてトイレを挙げていた。その時「俺も普通の人間だよなあー」と、妙にうなずいたものだ。トイレは自分が入っていれば絶対に人がはいってくることはない。テレビの音など外部の雑音も入ってこない。自分だけの空間なのだ。「お父さんのポーズは考える人、だね」。嫌な顔をしながら新聞を持ってくる女房が言うように、考え事をするにもうってつけである。





 我が家のような田舎家の場合、およそ個室などとは縁遠い。ふすまや帯戸一枚で仕切られた部屋がいくつも並んでいるだけ。娘達が嫌がるのも無理はない。居間やキッチン、それに書斎、寝室をオープン形式にして結構使い易くリフォームしたのだが、個室はない。老後も考え、トイレの位置やバスも近場にまとめた。女房と二人だから個室のようなものだ。




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飛行機雲

 今日は天気がいい。久しぶりに秋の青空が戻ってきた。畑仕事の手を休め、額の汗を首に掛けた手拭で拭いながら空を眺めると、一筋の飛行機雲が。その後からも、また一機。フランスやドイツなどヨーロッパに向かうのだろう。高度は、恐らく10,000mから12,000m。ゆっくりに見えるが、時速では800㌔以上で飛んでいるのである。


飛行機雲


 「高度や速度まで、よく分かるかって?」。外国旅行をする時、座席の正面の大型スクリーンに映し出される安定飛行の高度や速度は、いつもそのくらいだからだ。高度や速度はともかく、真っ直ぐに東の空から西の空へと伸びる飛行機雲がまだ消えないうちに、次の飛行機雲が追っかけてくる。



 山梨の上空は外国、特にヨーロッパ航路の通り道。成田空港から飛び立って、しばらくすると、スチュワーデス、いや今は客室乗務員とか客室アテンダントと言うのだそうだが「左側をご覧ください。富士山が・・・」と、機内アナウンスをする。そのあたりが今の飛行機雲のあたりなのだ。


富士山と雲



 我が家から見上げると、南側の上空の時もあれば、北側もある。大まかに、その上空を飛んでいることになる。陽が西の山に沈んで、夜空に変わると、飛行機雲は回転灯に変わる。チカチカと光る赤い光の玉がゆっくりと東の空から西の空へと消えていく。目の錯覚だろうか、スピードは昼間の飛行機雲より遅いような気がする。


飛行機


 夜8時、9時を過ぎると、その間隔はグーンと広くなる。昼間の1分、2分間隔の飛行機雲と打って変わって、まばらになり、やがて星空だけになる。それぞれの便の到着時間との関係もあるのだろうが、その大きな理由は空港周辺住民との関係、つまり、騒音問題に起因している。成田空港の出国ロビーもこの頃になると閑散とし始める。




 昭和52年か、53年だったと思う。成田空港が開港する直前に、そこを見せて頂いた時、係官が控えめながらも、その辺の事情を説明していたものだ。事実、この空港を造る時の周辺住民の反対運動はものすごかった。騒音に対する地元住民の反対運動にとどまらず、国家プロジェクトに対する左翼系闘士の反対運動も加わって、いわゆる成田闘争が長く繰り広げられたのである。左翼系闘士はその後分散、一部は山梨県の北冨士演習場・梨が原で今も活動している。




 ちょっと肩苦しくなった。飛行機雲に戻る。先ほど「一筋の」と書いたが、遠くからだから一本に見えるが、実は飛行機雲は二本。当たり前だが、ジェット機はジェット噴射で飛ぶ。そのジェット噴射で、周りの水分が気化して、あの飛行機雲が出来るのだ。お恥ずかしいが、この原理は、先頃、航空自衛隊浜松基地で、ブルーインパルスのアクロバット飛行を見せて頂いた時のアナウンスで知った。


ブルーインパルス


 大空をキャンパスにブルーインパルスが描くアクロバットの曲線ジェット口の脇に取り付けたノズルから色のついたオイルを流すと、それがジェット噴射で気化して、あのカラフルな飛行機雲になるのだそうだ。「そんな事、みんな知っているって?」。そうだよね。





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萎むオーケストラ

晩酌を済まし、ほろ酔い気分で、こうしてパソコンを叩いていても足が冷たくなってくる。あれほどうるさく、と言ったらスズムシやコーロギに叱られるかも知れないが、秋の虫たちは先ごろまでのオーケストラ編成をどんどん縮小している。季節の変わり目をちゃんと知っているのだ。庭の植え込みと言うより自然界を舞台に人間達を楽しませてきたオーケストラは、やせ細る一方だ。


虫2


 なんとなく弱まった日差しの中で鳴いていた蜩(ひぐらし)。夜の帳が下りて、暗闇の舞台が開くと、蜩(ひぐらし)からバトンタッチされた秋の虫たちは一斉にオーケストラの演奏を始めた。ついこの間のような気がする。庭の植え込みばかりか、その周りのぶどう園や野菜畑からも競うようにオーケストラに加わってくるのだ。その迫力といったらすごい。こんな所で引き合いに出したら失礼かも知れないが、つい先日、文化勲章を受章した、世界の小澤征爾氏だってその指揮は取れまい。



 本来のオーケストラがどのくらいの人数で編成するのかは分からないが、こちらは無数と言っていい。奏者はスズムシもいればコーロギやキリギリスも。その音色は穏やかで、ストレス多い人間達を優しく包んでくれるのだ。勝手に眠ってしまう人間達を、ものともせずに朝が来るまで演奏を続けるのである。


葉


 このオーケストラも季節の変わり目には勝てない。一匹、二匹と、その奏者は日ごとに急速な勢いで減り、もはや部隊は風前の灯だ。わずかに頑張っている奏者もやがてダウンするのだろう。虫たちは人間達に、冬が近いことを教えているのである。自然界のオーケストラはカラオケへと変わる。



虫

 オンチ人間でありながら、ひと頃、よくコンサートを聴きに行った。聴きに行ったというより、ただ、行ったといった方がいい。そこで心地よくなるのか眠ってしまうのである。「眠るくらいなら行かなければいいのに」。その通りだ。詳しい訳は別として、仕事がらみだった。お恥ずかしい話だが、拍手の音でハッとして目を覚ますと、まだ上手がいた。隣にいた上司でもある先輩は大いびき。とっさに袖を引っ張った。その照れくさそうな顔。若い頃だが、今でも覚えている。



 人の事はともかく、そんな無様な自分の事をある時、お目にかかった音楽家に白状したら、その音楽家いわく「音楽というものは身体で聴くもの。心地よくなって眠くなるのは自然。子守唄がそうでしょう。むしろ音楽がわかっている証拠ですよ」。およそ、クラッシックなど分からないオンチ人間を上手に慰めてくれたのである。



自衛隊音楽祭


 そんなオンチ人間が感動したコンサートがある。東京の日本武道館で開かれた自衛隊の音楽祭だ。吹奏楽や鼓笛を中心にしたマーチングバンドの演奏が主体だが、迫力満点の太鼓演奏も加わってプログラムは多彩。あの広い武道館のほとんどを使ってのコンサートだから聴く者、見る者を圧倒する。今年も11月に開かれる。虫たちのコンサートも終わったことだし、今度は女房も連れて、もう一度聴きに行ってみたいと思っている。




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花クイズ

畑仕事の合間に野良着のポケットに入れておいたデジカメで撮ってみました。今(10月30日)我が家の庭などに咲いている花(一部は実)のスナップです。古くからあるものの花もありますが、多くは花好きの女房が思いつき?で買って来た一年生のもの。綺麗な花であることは間違いありませんが、ほとんど分かりません。分かるのは3と6、8、15、16、20、22くらいのものです。


 コメント欄で教えていただければ幸いです。

おっと、この中にある薔薇、菊などはお分かりでしょうから、その種類をお教えください。
全問正解者には○○を、と言いたいのですが、私にも分からないのですから、どうにもなりません。
お答えの内容は、後日、このブログで。ご容赦ください。
ここに掲載したのは22枚の写真ですが、全問がお分かりの方は、物知りの方だと思います。
仕事の息抜き、遊び気分でチャレンジしてみてください。回答をお待ちしています。


1   【1】
 

2   【2】


   3 【3】


4   【4】


5   【5】


6   【6】


7    【7】


8-1   8 【8】


9   【9】


10   【10】


11  【11】


12   【12】


13   【13】


14   【14】


15   【15】


16   【16】


17   【17】


18   【18】


19   【19】


20   【20】


21   【21】


22   【22】


 


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校歌の郷愁

校歌


 「天地の正気 甲南に 籠りて聖き 富士が根を 高き理想と 仰ぐとき 吾等が胸に 希望あり」
 母校日川高校の校歌の一番である。左手を腰に、こぶしを握り締めた右手を斜め上下に振りながら老いも若きも歌うのである。新制高校の卒業生ばかりではなく、80代、90代の旧制中学卒業の大先輩もいる。ざっと500人はいるだろう。会食テーブルのまにまに広い体育館を埋めた同窓生達の歌声は母校の構内に大きくこだました。


同窓会


 年に一度11月3日を定例日として開く同窓会のひとこまである。ひとこまというより、集いのフィナーレを飾る最後のクライマックスと言った方がいい。ステージで指揮を執るのは往年の応援団。同窓会は45~6歳の年代がひとまわり下の学年卒業生を補佐役に当番制で幹事役を務める仕組みをとっていて、応援の指揮もその世代の応援団が担当するのである。


日川高校


 10人ほどのリーダー役はいずれも学ランに破れ帽子姿45~6歳ともなるとお腹が出っ張ったメタボ?もいるから、ちょっぴり窮屈そう。それでも汗だくで指揮を執る。それに合わせて歌う同窓生達は何十年も前の旧制中学時代や高校時代にタイムスリップ、それぞれのよき時代とオーバーラップさせるのである。その顔はみんな純真に見える。同窓会の開幕行事である「校旗入場」のバックで流れる校歌とは、また違った興奮がある。



 この日を前後して、学年によっては、それぞれの同級会やゴルフ会を開いているところもある。そこでもみんな校歌を歌い、またの再会を約束しながら別れるのだ。「こうしてみんなで校歌を歌うと、俺は妙に心が洗われるような気持ちになるんだよ」という仲間がいた。私も全く同じだ。


質実剛健


 同校は数年後に創立120周年を迎える。その校歌は校章とともに創立以来変わっていない。そのわけは多分こうだ。まず校歌。四番まである歌詞の中に校名、つまり「日川中学」「日川」がどこにも入っていない。こういう校歌は全国的にも稀だという。新制高校にそぐわない字句が歌詞に入れてあった多くの学校は、旧制中学から新制高校に変る時、校歌を変えざるを得なかったのである。



 校章の場合も同じ。同校は、山梨県で最も古い歴史を持つ甲府中学の「ニ中」として生まれたことから「中学」の「中」の文字を縦横に絡ませてデザインした、いわゆる金平糖が校章だから、これも変える必要がなかった。

校章


 結果的だが、この二つがもたらしている効果は大きい。旧制中学の卒業生も、新制高校の卒業生も同じ土俵に立てるばかりでなく、母校に対して共通の認識がもてるということである。それは勢い、母校愛のようなものを持続させたり、ひいては同窓生の結束にも繋がる効果を生んでいる。もちろん、母校なんてどこ吹く風、といった同窓生だっているし、いて当たり前。ただ、そんな同窓生バカがいたっていい。少なくとも、同窓会の常任理事を仰せつかっている私はそう思っている。




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遺影の人と肺炎

仏壇

 「血圧が低いのもいけんだよ」。初七日の席で、隣り合わせた友は、精進落としの料理やお酒を口に運びながら、低血圧の私をたしなめるように言った。「そんなことはねえら。少なくとも高血圧じゃあないからいいじゃん」。こんなたわいもない会話を目の前の祭壇で、今は遺影の人となった同級生のご主人はニッコリ笑いながら聞いていた。

 

 70歳だった。高血圧症だったが、普段は元気で、家業の不動産会社を営んでいた。一ヵ月ほど前、酒席で突然倒れ、脳外科に担ぎ込まれた。高血圧が原因の脳溢血だった。家族の話によれば、幸い一命は取りとめたものの10日ほどして肺炎を併発した。これがいけなかった。慌てた家族は呼吸器科がある総合病院に転院させて治療を受けたが、結果的に、時遅しだった。



 この人は、不動産会社を営む傍ら、町の自治会長も務め、一方では、甲府盆地に春を告げる祭りとしても有名な甲府の「大神宮祭」の音頭とりとして活躍していた。大神宮祭は、「大神さん」の名で親しまれ、毎年、2月3日の節分祭には近郷近在の善男善女で賑わう山梨県内の一大祭りである。私も年男として豆まきに招かれたことがあるが、この人は、いつも裏方の先頭に立って祭りを支えていた。頭の下がる思いをしたものだ。


お寺

 初七日の席で、お酌に来てくれた、この人のお兄さんの話によれば、9人兄弟の末っ子だった。「戦死した総領は別として残る兄弟はみんな健在だった。一番おしまいのあいつが先に逝っちまって」と、目に涙を浮かべていた。そのお兄さんはこんなことも言った。



 「血圧の薬というものは、飲み始めたら、きちっと飲まなければいけない。しかし、あいつは、仕事の忙しさもあったかも知れないが、飲んだり、飲まなかったりしていた。それがいけなかったのだろう」



 このお兄さんは故人と7つ違いというから、今77歳。たまたまだが、スポーツジムのプールでご一緒させて頂いている方だ。私は行ったり、行かなかったりの不良生だが、この人は毎日のように通って、1時間はたっぷり水中ウオークをしている。健康にはいつも注意しているようで、同じご兄弟でもタイプが違う。



木魚


 ともかく、高血圧が引き金の脳溢血、それが災いしての肺炎の併発。最終的に肺炎が遺影の人の命を奪ってしまった。肺炎とは怖いものだ。体力が衰える病人やお年寄りの場合、さもない風邪が肺炎に結びつき、その一命を左右しかねないケースは珍しくない



 周りの人がみんなで注意してあげなければいけないから、ここでは私の母のケースを挙げてみる。ちょうど90歳を過ぎたばかりの10月初めだった。地区の小学校の体育館で開かれた敬老会に連れて行った。広い体育館だから、ただででも寒々しいイメージはするが、健常者なら寒さを感ずる時期ではない。



 ところが病院を外出許可で出てきた母には敏感に響いた。病院に戻ったその夜から発熱、肺炎を起こしたのである。一命は取り留めたものの、それから2ヵ月あまりの間、生死をさまよった。風邪を甘く見てはいけない。まかり間違うと命取りになる。




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おきてがみ
プロフィール

やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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