俺は粗大ゴミ

ゴミ置き場


 もう年末が近いのか。地域防災無線から流れる「粗大ゴミ回収のお知らせ」のアナウンスを聞いて、そんなことを思った。私達の地域の場合、粗大ゴミは通常のごみ収集とは別に、年に数回、日時を指定して回収している。年末が中心だ。有料(テレビや冷蔵庫などの電化製品)と無料があって、業者を巻き込んだ大掛かりな回収である。




 この地区は旧村の岩手村(昭和の合併で山梨市に)という所で、今の世帯数は500戸ほどのこじんまりした地域である。回収の指定場所は、この時期は休眠状態に入っているJAの果実共選所前の広場だ。年末にはちょっと早いようだが、市内を一巡するには今から始めないと間に合わないのだろう。



 「粗大ゴミの回収だそうよ。お父さんも行くんでしょう」



 アナウンスを聞いていた女房がかる口を叩いた。



 「おい、おい、俺は粗大ゴミかよ」



 「冗談よ、冗談。お父さんが粗大ゴミであるわけないでしょう」



 女房はちょっと言い過ぎたと思ったのか、ニヤニヤしながら慌てて打ち消した。でも、よく考えてみれば今の俺は女房にとって粗大ゴミみたいなものかも知れない。風が吹いても嵐が来ても毎朝、決まった時間に出勤し、月末にはきちんと給料を運んできた数年前までと違って、今は、毎日が日曜日。時に、やぶせったい存在に違いない。


family.jpg



 三度の食事だって作らなければならないし、箸の上げ下ろしまでとは言わないまでも、いなければ聞かなくてもいい小言だって聴かなければならない。ナスやキユウリ、白菜や大根、サツマイモやサトイモ、そんなものを作る百姓の真似事だって、ほとんど女房も一緒。今はこまごました家事を考えれば一日の仕事量は女房の方が多いのかも知れない。





 人間とは、夫婦とは面白いものだ。毎日、朝から晩まで忙しく仕事をしていた頃は、少なくとも≪粗大ゴミ≫などという言葉を口にしなかった。そこには無意識のうちにも給料という名の生活費を稼いで来てくれる≪一家の主(あるじ)≫としての受け止め方があったのだろう。「のどもと過ぎれば・・・」。先人はうまいことを言ったものだ。給料の運び屋を辞めて5年も経つと、女房たちはいつの間にかその≪ありがたさ≫を忘れてしまう。
妻

 「お前は今、誰のおかげで飯を食っていると思っているんだ」
時々、女房の言葉の節々が妙に引っかかって、冗談とも本気ともつかない、こんなことを言うことがある。世の女房族のみなさんには案外分からないかも知れないが、男には「沽券(こけん)」というものがあるのだ。

夫

 サラリーマン時代からそうだが、私は、家事は一切、女房に任せている。その代わり給料は全部女房に渡して来た。それをどう使おうと口を挟まないことにしている。今は銀行振り込みになったが、給料袋の時代もずっと丸投げした。先日の「振り込め詐欺」についてのブログ記事で、私は被害者にならない事を前提に人ごとのように書いたのはそのためだ。お金と言うお金は全て女房任せ。騙されても振り込みようがないのだ。





.ブログランキングに参加中です。  
 ↓クリック いただけると励みになります。

人気ブログランキング【ブログの殿堂】

ありがとうございました!


スポンサーサイト

芋茎と木枯らし

落ち葉 秋 紅葉2_convert_20121206192653


 これが木枯らしというのだろうか。今日の甲府盆地は朝から冷たい風が吹いた。一番霜に遭ったのか、トウノイモのツル(茎)もひと頃の元気をなくした。毛糸の帽子を冠って畑に出たが、冷たい風が頬を刺す。庭先の御所柿も、その冷たい風に吹かれて、葉っぱをすっかり落とし、裸になった木に黄色い実だけをぶら下げている。


 「夕陽の丘のふもとゆく バスの車掌の襟ぼくろ 別れた人に生き写し・・・」



 ご存知の方ご存知、昭和30年代の後半、石原裕次郎と朝丘ルリ子が唄った「夕陽の丘」の歌い出しである。その3番はこんな歌詞だ。


落ち葉 秋 紅葉_convert_20121206193103



 「真菰の葦は風に揺れ 落ち葉くるくる水に舞う この世の秋の哀れさを しみじみ胸にバスは行く」



 この歌の舞台は、どこかのひなびた湖の畔(ほとり)だろう。私が住む農村地帯のスチュエーションとは違うが、季節はちょうど今頃。落ち葉が風に舞う光景は全く同じだ。一枚、二枚とどんどん落ちていく柿の葉はカラコロと音を立てて風に舞うのである。


落ち葉



 今日の風が春一番ならぬ木枯らし一番かどうかは分からないが、季節は本格的な 冬へとまっしぐらに進んでいることは間違いない。我が家も冬支度へやることはいっぱいだ。地区のグランドゴルフ大会など、出掛けることが多く、枯露柿作りの柿もぎもやりかけ。トウノイモやサトイモ、サツマイモも掘らなければならない。特に、トウノイモは霜に当てたら肝心のツルが駄目になってしまう。


 
サトイモ
サトイモ


 トウノイモとサトイモは掘り出してみればその違いが分かるが、外観ではほとんど区別がつかない。答えをお教えしよう。簡単な見分け方は、ツル、つまり、大きな葉っぱを一つだけつけた茎が赤いのがトウノイモ青いもがサトイモである。芋はサトイモがたくさんの小芋をつけるのに対して、トウノイモは親芋だけが大きく、小芋は少ない。トウノイモの親芋はもちろん食べられるが、どちらかと言うと大味だ。


芋の弦2
トウノイモ


 この二つは作り手のそもそもの狙いが違うのである。言うまでもなく、サトイモは芋を食べることが主眼。これに対して、トウノイモはむしろ、ツルの方を食べることに主眼を置いているのである。同じようなツルだが、サトイモのツルは食べない。




 トウノイモのツルはどうして食べるの?とお思いの方もお出でだろうが、あなたも食べたことがある筈だ。巻き寿司の芯に使うあれだ。と言っても、最近はカンピョウが多く、滅多にお目にかからない。味はピカイチだが、カンピョウのように量産が出来ないからだろう。




 芋茎(ずいき)ともいう。肥後芋茎が有名だ。「随喜の涙」という言葉があるが、これとは関係ない。しかし、意味深に結びつきそうな言葉だ。いずれにしてもここで詳しく説明するわけにもいくまい。八百屋さんではなく薬局で売っている商品だ。



 刈り取ったトウノイモのツルは皮を剥いて天日干しにし、保存するが、寿司の芯ばかりでなく煮物にしてもいい。酒のつまみには絶品だ。明日はそのツル剥きをする。





.ブログランキングに参加中です。  
 ↓クリック いただけると励みになります。

人気ブログランキング【ブログの殿堂】

ありがとうございました!


振り込め詐欺にご用心

ATM2


 「お母さん、振り込め詐欺になんか引っかかるなよな」


 「私なんか、どんな電話がかかってきたって、騙されるようなへまはしませんよ」


 「バカ言え、そういうヤツがすぐ引っかかるんだよ。娘やおふくろでもヤツらに仕掛けられたら一発さ」



 地域防災無線で今日も繰り返される振り込め詐欺の被害情報と注意を呼びかけるアナウンスに、女房と交わした会話である。女房は最後にはこうだ。



 「お父さん、大丈夫、大丈夫。うちには何百万ものお金をポンと振り込むほどのお金、ないもん」


 これには一本とられた。バカな夫婦のこんなやり取りはともかく、≪振り込め詐欺に注意≫のアナウンスはこのところ毎日である。




 「山梨市役所と日下部警察署から振り込め詐欺に注意のお知らせをいたします。昨日、山梨市内の70歳代の女性が振り込め詐欺の被害に遭いました。山梨市の職員を名乗る男から電話があり 『 後ほど社会保険庁からも連絡があると思うが、お宅は社会保険料の未払いがある。連絡があり次第お金を振り込んでください 』 と言われ、この女性はATMから振り込んでしまいました。市役所はこのような電話はいたしません。もしこんな電話があっても絶対に振込みをせず、市役所か警察にご連絡、ご相談ください」



ATM4



 防災無線については前にもこのブログで書いたが、こうした注意情報は各地に設けられた地域基地局から市内全域に一斉に流れる仕組みである。振り込め詐欺の手口は、保険料の未払いや子ども、孫の交通事故を装ったものなどさまざま。市役所や県庁、警察などを言葉の上で巧みに絡ませて騙すもので、ターゲットはお年寄りや主婦。1万数千世帯ぐらいの山梨市内で毎日、誰かどうか被害になっている勘定だ。





 犯人は東京なのか大阪なのか分からないが、日本のどこかで電話を使って大量の仕掛けをしているのだろう。私はこうした騙しの電話に出っくわしたことはないが、言葉は極めて巧みなのだろう。皆がみんな「私は絶対、引っかからない」と言いながら、巧みな言葉に騙されてしまうのである。



ATM3


 被害の連続にたまりかねたのか今日はこんなアナウンスも流された。


 「市老人クラブ連合会は明後日、地区公民館で、悪徳商法予防講習会を開きます。お年寄りや主婦の皆さんのご出席を・・・」



 市役所や警察が老人クラブとタイアップして地域ごとに振り込め詐欺予防の出前講座を計画したのだ。毎日のように出る被害から類推すれば、ものすごい数の騙し電話がかかっていることは容易に想像できる。



 「私だけは絶対騙されない」。そんなあなただって引っかかるかも。普段、亭主の言葉なんかに敏感に反応しない女房も、娘のことでも引き合いに出されれば・・・。石川五右衛門ではないが「世に盗人の種は尽きまじ」とはよく言ったものだ。悪いヤツは今日もどこかで暗躍している。





.ブログランキングに参加中です。  
 ↓クリック いただけると励みになります。

人気ブログランキング【ブログの殿堂】

ありがとうございました!


高原の草刈り

乙女高原_convert_20111207154512


 一面に黄色く色づくクヌギやミズナラ、その間に間に真っ赤に燃えるナナカマドやウルシ。秩父多摩甲斐国立公園の一角にある乙女高原から見渡す紅葉は見事だった。杉などの常緑樹がその紅葉をいっそう引き立たせていた。甲武信岳、奥千丈岳、鶏冠山・・・。三角点に立って後ろを振り向けば、五合目から上を雪化粧した富士山が前衛の山を従え、稜線を引いて雄大にそびえる。空は限りなく青かった。




 この日の乙女高原行きは紅葉狩りなんかではない。高原の下草刈のためだ。標高1,700mの乙女高原は全国でも有数と言っていい野草の宝庫。春にはサクラスミレやツツジなどが一斉に花開き、夏を迎えるとキンバイソウをはじめ、100種類を超す花々が高原を彩る。まさに広大なお花畑だ。秋には控えめながらも、あっちこっちに、あの紫のリンドウが・・・。いずれの季節のお花畑にも周囲の白樺かよく似合う。



リンドウ


キンバイソウ


 下草刈はこうした高原の野草を守り、後世に伝えよう、と「乙女高原ファンクラブ」の呼び掛けで始まったものだ。ファンクラブのメンバーは同高原にやって来て見事なお花畑や自然に惚れ込んだ文字通りファンが集まって作ったもので、地元山梨はもちろん、東京や千葉、神奈川、埼玉、茨城など関東近県に広がる。週末、ドライブがてら家族連れでやって来るファンも多い。



 「どんな草原も放って置けば必ず森になる」




 数年前、山梨ロータリークラブの例会に招かれてゲスト卓話をした乙女高原ファンクラブの代表世話人・上原彰さんはこんなことを言った。森になるということは、言うまでもなく、日本で一番大きなスミレの花といわれるサクラスミレなどこの高原の貴重な野草が絶滅することを意味する。


スミレ



 毎年、11月23日(勤労感謝の日)の下草刈りと5月中旬の遊歩道作りは欠かさない。今年も200人を超すボランティアが集まった。多い年には300人近い人が集まる時もある。みんな手弁当で、刈払い機と呼ばれる草刈機や鎌などを持ってやって来る。錦織り成す山々、と言っても高原はもう完全に冬。吐く息は白く、冷たい風が頬を刺す。



草刈2
 

 午前9時。赤いトタン、丸太造りのロッジ前庭での開会式の後、200人を超すボランテアは一斉に高原に散って作業開始。一面に生い茂ったカヤを刈り、あっちこっちで大きくなりつつあるブッシュを刈り取るのである。山梨ロータリークラブからは会長、副会長以下11人が参加した。


草刈


 一帯は、かつてはスキー場だった所。その面積は760haにも及ぶという。全国的に高原のお花畑は冬のスキー場の跡に多い。長野県の車山高原スキー場のニッコウキスゲもその一つ。放って置くとブッシュが育ってスキー場の体を成さなくなるから、雪が降る前に下草を刈るのである。原理はみな同じだ。





 大勢の力とはすごいものだ。作業開始から3時間。広大な高原は綺麗になった。スロープになって広がる斜面を眺めながら、土曜日の午後、カバンを放り投げ、手作りのスキー板を担いでバスに乗り、麓から3時間も歩いてこのスキー場に来た子どもの頃を目に浮かべた。ついこの間のような気がするが、50年以上も前だ。この高原は毎夏、ユネスコの国際子どもキャンプでお世話になる。思い入れの深い所でもある。




.ブログランキングに参加中です。  
 ↓クリック いただけると励みになります。

人気ブログランキング【ブログの殿堂】

ありがとうございました!


履き違えた?動物愛護

猪親子

 私のブログ「招かれざる客・猪」に大阪の「たーぼのはは」さんからこんなコメントを頂いた。



 「関西でも芦屋を中心にイノシシの被害は年々ひどくなっています。私も(付き添って行った)子供会のハイキング中にイノシシに遭遇したことがあります。みんな子どもを守るために 『目を合わせてはいけません』 と言っていましたが、なんと、そのイノシシに餌を投げてやるおばちゃんたちが大勢いたのには驚きました。しかも 『かわいい』 と言うのです。もしこちらに突進してきたらどうしようか、と気が気ではありませんでした。(中略)餌を与えてはいけません。(後略)」



イノシシ1


 岐阜の風小僧さんからはこんなコメントも。




 「私が住む岐阜ではイノシシと猿です。(中略)山裾に高圧線を張るのですが、相手の方が・・・(中略)自己防衛のため、いろいろの策を練るのですが、敵もさるもの。 『山に食いもんがねえから下りてくるんさ』 『あっちもこっちも白菜なんか全部駄目にされればな』 。そんな会話がたびたびです」



猿の親子



 招からざる客であるイノシシの出没と、それがもたらす被害は私達の地域だけではなさそうだ。イノシシばかりではない。鹿。彼らが人間にもたらす被害は全国では甚大だろう。農作物への被害ばかりではなく、人命を脅かすケースだって出ている。その背景には野生動物に対する人間の安易な見方や振る舞い、日本人の履き違えた動物愛護思想がありそう。




 行楽のドライブ中、峠の道などでサルの群れなどに出っくわすことがある。たいていの家族連れは「あっ、猿がいる」とばかり車を停めて、次にとる行動は餌を与えることだ。バナナ、みかん、りんご。親も子どもも大喜び。猿だって喜んでいるに違いない。猿も、いったん、この味を覚えたらたまるまい。山の中で、少しばかりの餌を探し回ることなんかあほらしくなるだろう。



サル    寝てるサル


 「一方で、動物愛護を美徳のように言いながら、こんなあほらしいことをしているのは日本人だけ」と厳しい指摘をする人もいる。もう数年前だが、アメリカのグランドキャニオンに行った時のことだ。その国定公園で見かけた看板にはこんな事が書かれていた。しかも日本語でだ。



 「野生動物に絶対餌を与えないでください」




 
アメリカ人ガイドは、これを次のように説明してくれた。



 「野生の動物が自ら餌を取ることを忘れたらやがては死ぬことしかないのです。野生動物に与えられた宿命は生存競争。人間の一時の思いつきの愛情で餌を与えたら、結果的にはその動物を殺すことになるのです。日本人はそのことを知っていないのでは・・・」



 
ひと頃の教条的ともいえる動物愛護思想はちょっと影を潜めたものの≪自分勝手≫で動物をかわいがっている人たちはいっぱい?その一方で被害に泣く日本人もいっぱい。



.ブログランキングに参加中です。  
 ↓クリック いただけると励みになります。

人気ブログランキング【ブログの殿堂】

ありがとうございました!


招かれざる客・猪

「今日、畑に行ったら豪いヤツに行き会っちまったよ」
 「何に行き会ったでえ」
  猪だよ。猪。でっけえヤツだった。俺の顔を見たら逃げて行っちまったけどねえ」

猪1  えぇ汗


 回覧板を持って来ながら、ひとっ話していった近所の親爺さんとの茶飲み話である。たわいもなくと言うか、事も無げに、この親爺さんは言うが、実際は農家とって猪の出没頭痛の種なのだ。




 周りのぶどう園はだんだん葉っぱを落とし、春先から秋の収穫期まで忙しい日々を送っていた果樹農家もこの時期はちょっと一服する時期だ。肥料掛けを終えて、剪定作業に入るまではしばらく間がある。野や山の木々も紅葉を深める一方で、早いものは葉っぱを落とし始める。猪だって餌を求めなければならないので、山ばかりにいるわけにもいかない。山路や里に向かって降りてくるのだ。


猪2


 猪に出っくわしたと言う親父さんの家は、岩手山から延びる三角州のような大きな丘陵のすぐ下にある。私の家からは2~300mの距離だ。親爺さんが猪に出っくわしたのはそこから100m足らずの所。この一帯は、かつては、麦やモロコシ、サツマイモ、さらには養蚕用の桑畑だった。




 ところが米麦や養蚕が衰退して、果樹へと転換、今はサクランボの産地化が急ピッチで進んでいる。サクランボは主にハウス栽培で、小高い山路は一面と言っていいほどハウスの白いビニールで覆われている。もちろんその間に間に野菜畑や柿畑が点在する。

猪親子


 親爺さんによれば、猪に出っくわすのは今回ばかりではなく、たびたびだ。秩父山塊からこの地域の山にかけて猪が急激に増えたのはこの10年ぐらいの間だそうで、その理由を聞いて「へえー」と、驚いた。猪の天敵は狐。猪と言ってもあのでっかいヤツではなく、子どもの「うりぼう」。狐はこの小さいうりぼうを隙きあらばと狙い、食べてしまうから猪の数は自然に抑えられた。

うりぼう  

 ところが、最近、この一帯の狐が急激に減っているのだそうだ。減っている原因は定かではないが、狐の間に病気が流行?したためだという。親爺さんはこうも言う。


キツネ



 「最近、野良に行っても狐にほとんどと言っていいほど出会わなくなった。時々出会うのは野垂れ死にしている狐ばかりだよ。そのはっきりした原因は分からないが、何らかの病気であることは間違いない。伝染病かも知れない。とにかく猪はだんだん増えていて、畑ばかりでなく、家の軒先まで来たことがある」


house.jpg   イノシシ    きつね   狐



 猪は作物を荒らすばかりでなく、畑のあっちこっちをほじくり返す。ミミズなどを食べるためだという。こんなことを書くと「やまびこさんは、そんな山の中に住んでいるの?」とお思いの方がおいででしょうが、どこにでもあるのどかな農村地帯である。もう何年も前になるが、甲府市の中心街に猪が出没、デパートに飛び込んで大騒ぎしたことがある。これは猟師の追い方が悪く、山とは逆の里に追い出してしまったのだそうだ。




.ブログランキングに参加中です。  
 ↓クリック いただけると励みになります。

人気ブログランキング【ブログの殿堂】

ありがとうございました!


枯露柿作り

枯露柿2_convert_20121205093516


 甲府盆地もどんどん冷え込んできた。初冬の風物詩でもある枯露柿作りが始まった。初夏のサクランボから始まって、桃、葡萄と息つく間もなく、忙しくしていた果樹農家は10月中旬からちょっと一服、この冷え込みを待って、枯露柿作りを始めるのである。枯露柿作りは気温の冷え込みが、その成否の第一のポイント。なぜかって? 暖かいと皮を剥いたばかりの生柿がカビてしまうからだ。




 峡東地方と呼ばれるこの地方の中でも甲州市の松里地区を中心とした一帯は、全国的にも有名な枯露柿の産地だ。毎年、この時期になると新聞やテレビで枯露柿作りの様子が紹介されるから、ご存知の方もいらっしゃるだろう。農家の軒先には特別に設けられた棚に、剥いたばかりの柿が簾のように、いっぱい吊るされる。圧巻ともいえる黄色い柿のカーテンは、まさに、この地方の秋の風物詩である。


枯露柿1_convert_20121205093622



 この地域が古くから枯露柿の産地として君臨しているのにはそれなりの訳がある。立地から来る気象条件であることは間違いない。東側に御坂山塊、北側にそれから連なる秩父山塊、西側にその延長線上にある岩手山や八幡山がある。そのど真ん中を一級河川の笛吹川が流れている。




 袋のようになった山と、その中央を流れる川が枯露柿作りに適した条件を生み出しているのだ。つまり、川と山がこの時期、剥いたばかりの生柿を乾燥させるのにうってつけの気流を作ってくれるのだという。ただ、その気流も暖冬には勝てない。数年前、この暖冬で枯露柿農家は大きな被害を受けた。剥いて間もない生柿がカビてしまったのだ。いつまでも冷え込まない気象に業を煮やした農家は電動の扇風機で風を送るなど躍起の策を取ったのだが焼け石に水。気象には勝てなかった。


枯露柿3_convert_20121205093857



 我が家のある岩手地区は枯露柿の一大ブランドを持つ松里地区と笛吹川を挟んで西側で、いわば目と鼻の先。松里ブランドにはかなわないだろうが、同じ気象条件にあって立派な枯露柿の産地だ。11月の声とともに農家は柿剥きにおおわらわ。柿はもいだ後、3~4日寝かせてから剥くのがコツ。二個ずつ簾のように吊るす前に硫黄で薫淨する。殺菌効果とともに仕上がりの色をよくするためだ。煮え湯に10秒ぐらい浸けてもいい。その方法はともかく、今、剥いている柿はクリスマス、お正月には贈答品として市場に出回るのである。


干し柿



 枯露柿用の柿は甲州百目、大和、蜂屋などだが、この地方の主流は何といっても甲州百目。我が家でも女房が柿剥きを始めた。もちろん、出荷などという大それた事が出来るはずがないから、お楽しみと親しい人に差し上げる程度のものである。今年は2回ほど消毒をしたせいもあって、10本足らずだが、甲州百目の木に200個ぐらいの大きな実を付けた。



 「どうせなら、もっと吊るせし」



 慣れない手つきの女房と二人を見た近所の人が「硫黄薫淨して来た」という100個近くの甲州百目を持って来てくれた。我が家の≪柿の簾≫も昨年、一昨年より賑やかになりそうだ。簾のように吊るす竹竿も甲州市の知人がわざわざ運んでくれた。ありがたい。




.ブログランキングに参加中です。  
 ↓クリック いただけると励みになります。

人気ブログランキング【ブログの殿堂】

ありがとうございました!


落花生の収穫

 「お父さん落ちないでくださいよ」
8段ある脚立でも高い所は手が届かない百日紅の木によじ登って、枝を切り落としていたら、下から女房が心配そうに声をかけてきた。




 百日紅は幹の形状がすべすべしているからか、「さるすべり」とも言う。パソコンで「さるすべり」と打って、変換キーを叩くと「百日紅」と出て来る。「百日紅」を「さるすべり」と読ませるのだ。



 とにかく、女房が言うように「さるすべり」の木から落ちたのでは洒落にもならない。「バカ、このくらいの事、大丈夫さ」と、言ってはみたものの内心は、やっぱり怖い。このくらいのことは、若いときなら平気だっただろうに・・・。足腰とバランス感覚は確実に弱くなっている。やはり歳はウソを言わない。



 沢山の枝を切り落としてみると、なにか寒々しく、冬を実感する。やはり葉を落とした近くの梅の大木も、だらしなく伸びた徒長枝を切り落としたいのだが、こちらは高すぎて駄目。あきらめて野菜畑の落花生を掘ることにした。こちらも既に葉っぱをガラガラに枯らし、かつての勢いは見る影もない。


落花生2


 今年の落花生の収穫にはちょっとした思い入れがある。だいぶ前になるが、このブログで落花生について書いた時、北海道の「nocs」さんからこんなコメントを頂いたからだ。


 「(前略)収穫の季節ですね。収穫の写真(中略)、特に落花生がどのように実っているのか見た事がないので、興味津々です」


 「nocs」さんお待たせしました。落花生の写真をお届けします。写真があまり上手ではありませんので、ちょっと分かりにくいかも知れませんが、落花生は、その実を根に付けるのではありません。以前にも書きましたように、根ではなく、花から伸びたツルの先に付くのです。


落花生1  


 「落花生」とは、うまい字を充てたものです。その字の通り落花生は「落ちた花に生まれる」のです。春先に種を蒔き、青々と葉が茂る6~7月を過ぎて7月下旬から8月、黄色い花をいっぱい付けます。ここからがまさに感動的。いくつもの黄色い花は一本のツルを従えて徐々に下に下り、やがて土に潜るのです。その花が殻の中に、あのピーナッツといわれる二つの種を宿すわけです。落ちた先に盛り土がなければ空中ブランコです。



 因みに春先、種を蒔くときには殻のまま蒔いてはいけません。二つずつ入っている殻の中から実を取り出して3粒ぐらいづつ、およそ30cm間隔で蒔きます。来年の事などちょっと気の早い話しをしましたが、収穫した落花生は土をよく洗い落とした後、天日干ししてから保存します。食べ方はフライパンで煎ってもいいし、茹でてもいいと思います。


落花生3



 カラカラに枯れた葉っぱは私の場合、やはり葉を枯らしたウドの上に載せて薄く土を掛けておきます。あの柔らかいウドを作るには籾殻がいいのですが、米作農家が減った今では籾殻が手に入りません。「nocs」さん、お分かりでしょうか。


落花生4


.ブログランキングに参加中です。  
 ↓クリック いただけると励みになります。

人気ブログランキング【ブログの殿堂】

ありがとうございました!


法被と消防協力隊

 法被。さて、皆さん方は、この二文字の言葉から一体何を連想されるでしょうか。祭り商店街の大売出し各種のイベントさまざまな啓発活動消防団交通安全協会、防犯協会。伝統的な木遣り保存会の見事なあの節回しを思い浮かべる人もいるだろう。なんとなく古風なイメージを持った着物のような気もするが、今も、あっちこっちで生きている。もちろん、その性格によって、全体の色やデザインは異なる。でも、形そのものは少しも代わっていないのである。


法被1   法被2


 我が家にも一着の法被がある。作ったばかりの真新しい法被だ。胸から両側の縦に「岩手分団」「紺屋区消防協力隊」の文字が黒地に白で染め抜かれている。背中には県名「山梨」をあしらった、おなじみの消防団の法被である。違うのは一方の胸から下に染め抜かれた「・・・消防協力隊」の文字だけだ。



 「消防協力隊」はその名の通り消防団への協力部隊である。この4月に発足した。その背景や理由はおおよそお分かりになるだろう。私達の地区の消防団も、ずっと昔から若い人たちの手によって引き継がれてきた。ひとたび火事が起きれば消火の先頭に立ち、地域防災の旗手としての役割を果たしてきた。


消防1


 しかし、その消防団がやせ細る一方。この地域ばかりではなく、世に言う少子化現象を反映、それを担う若者達が減少しているからだ。それに、農業後継者であるはずの若者達の農業離れが拍車をかけた。



 「このままでは万一の場合、地域を守ることは出来ない」



 誰からともなく、そんな声が上がった。そこで登場したのがこの消防協力隊である。いわゆる自主防災組織。消防団OBはもちろん、日中、地元にいることが可能な75歳までの人たち35人余りで編成した。区長代理でもある私が隊長役でもある本部長を仰せつかった。

消防3


 各組長らで本部を構成する一方、機械、水利、交通、筒口ホースの各係りを設けた。本部は部隊の司令塔、機械係はポンプ車、筒口ホース係は最先端での消火作業を担当する。交通係は万一の場合の交通整理だ。水利の確保も含めて日ごろの備えが必要。このため、消防ポンプ車の整備を担当する班も作った。全体を6つの班に分け、ポンプ車の点検整備はもちろん、班ごとに月代わりでポンプ操法の訓練もしている。全員がポンプ車を操れなければ万一の場合、役に立たない。備えあれば憂い無しである。

消防2


 消防ポンプ車の操法訓練は午後6時半からと決めている。夏の時期ならともかく、冬の時期だと真っ暗だ。仕事を終えた時間ということもあるが、実戦に備えるためにはむしろ夜の方がいい。もちろん、指導役は消防団。みんな真剣だ。



 自治体消防はどの地域にもある。しかし、それだけに任せているわけにもいくまい。都市とか農村を問わず、それなりの自主防災組織は欠かせない。特に、農村の場合、消防団への依存度は大きい。その消防団が少子化のあおりを食っている今、全国どの地域でも人事ではないはずである。ただ、実戦の法被は着ないにこしたことはない。





.ブログランキングに参加中です。  
 ↓クリック いただけると励みになります。

人気ブログランキング【ブログの殿堂】

ありがとうございました!


麻雀ダコとペンダコ

 「お父さん、これは何ですか。麻雀ダコでしょう」
 「そんな事よく分かるな」
 「大体分かりますよ。毎週のように明け方まで麻雀やるんですもの」





 少しばかりの仕事で疲れた肩と腕をもんでもらっていた時の女房との会話である。そう、私の右手の中指には、第一間接と第二間接の二箇所に大きな麻雀ダコがある。それほど力を入れて牌を握るわけでもないが、その二箇所の腹に牌を引っ掛けてしまうから、どうしてもタコが出るのである。

手


 「これじゃあ、お父さんがどこで死んでいても、麻雀好きの人とすぐ分かるわね」
 「おい、おい、そんな縁起でもないこと言うなよ」




 女房に言われるからではないが、大きくなると、ちょっぴり邪魔になるような気がするので、爪切りで削り取るのである。




 その右手にはもう一つのタコがある。ペンダコだ。このタコはみんなお分かりになるだろう。右手の中指と人差し指の第一間接横に出るのである。しかし、こちらは放っていても小さくなるばかりだ。タコが出るほど文字を書いたのは遙か昔のことで、今は字を書かないからタコなんか増殖しっこない。

手2

 麻雀ダコとペンダコ。この二つが生まれる背景は大きく様変わりした。ひと頃、お世話になった甲府の麻雀荘は、一つ、また一つと姿を消している。麻雀人口がどんどん減っているからだ。若者達は見向きもしないし、お酒を飲み歩き、酔い覚ましを口実にしては麻雀荘に上がりこんでいたバカなサラリーマンも少なくなってきた。


ton.gifman3.gifsha.gifpei.gifman5red.gifhaku.gifhatu.giftyun.gifpin5red.gifsou4.gif


pin1.gifman3.gifpin3.gifpin4.gifpin5.gifpin6.gifpin7.gifpin8.gifpin9.gifura.gif


 「たまには来て下さいよ」。甲府にいたサラリーマン現役時代によくお世話になった麻雀荘のマスターは久しぶりに出会った私に、かつてのよき時代が恨めしそうに今の姿を話してくれた。まさに閑古鳥だそうだ。古くは学生時代。今は懐かしい神田や早稲田の学生街の麻雀荘もバタバタ姿を消しているのだそうだ。講義の合間?によくもぐり込んだあの雀荘も・・・。


 man1.gifman2.gifman3.gifman4.gifman5.gifman6.gifman7.gifman8.gifman9.gif


sou1.gifsou2.gifsou3.gifsou4.gifsou5.gifsou6.gifsou7.gifsou8.gifsou9.gif



 もう一つのタコ、ペンダコだが、これこそ、今やしゃれにもならない過去の遺物だ。なぜかって?パソコンがこれほど普及してしまった今、いわゆるペンを使って大量の文字を書く人間なんていっこない。文字は書くものではなくなって、パソコンで叩きだすものになってしまったのである。一刻を争ってニュースを送らなければならない新聞記者はもちろん、出版社の担当者が次の間で待っている作家だって同じだろう。字がへたっくそな人間にはこんな都合がいいものはない。




 今年も10月31日には来年の年賀はがきが売り出された。あと半月足らずで、その数の大小は別にして、皆さんのお宅にも年賀状が届く。注意して御覧なさい。そのほとんどが印刷文字の活字で埋まっているはずだ。手書きの文字は珍しくなって、それが逆に新鮮味を感じたりして。いつの間にかそんな様変わりをしているのである。




.ブログランキングに参加中です。  
 ↓クリック いただけると励みになります。

人気ブログランキング【ブログの殿堂】

ありがとうございました!


トイレと新聞

 「また、そんな所で新聞を読んでぇー。いい加減にしてくださいよ」
私の一日は、女房から叱られることから始まる。私が朝一番で見る新聞はトイレの中と決まっている。「なんてお行儀の悪い」。皆さん方もお笑いになるだろう。場所が場所だから女房が嫌がるのも無理はない。私だって、そんなことがいい事でないことぐらい十分に分かっている。


トイレ2



 しかし、これが止められないのである。元々は、出勤前の慌しさの中での時間稼ぎの意味があった。朝のトイレと新聞に一通り目を通す作業を一辺にやってしまおうというものだ。寝坊なサラリーマンがお出でになるとしたら、その辺の気持ちは分かって頂けるだろう。朝の時間は一分だって惜しい。学校に通う子ども達だって同じだ。私の場合、当時、新聞社に勤めていたから、新聞に目も通さずに出勤とはいかなかった。





 実は、これをやってみると、堪(こた)えられないのである。朝の慌しさの中でもやけに落ち着くのだ。甲府に住んでいる時分だが、新聞を読みながら「この空間をもっと居心地のいい所に出来ないものか」と思いを巡らせたこともある。勤めを辞め、山梨市の田舎に戻るのを機会に実家のリフォームを決意した時、大工さんに注文を付けたいくつかの項目のうちの一つが、このトイレだ。




 機能もさることながら、ゆったりしたスペースをとることだった。ただこの注文がトイレの側面の裏側に設けたクローゼットにしわ寄せして、使いにくいものになってしまったのだが、それはそれでしょうがない。クローゼットの奥行きが半分になった分、トイレが広くなった訳で、新聞を開いても差し障りがないし、第一圧迫感がないから心地いい。


トイレ



 「新聞~」と、トイレの中から声を掛けると、女房はいつものようにブツブツ言いながら新聞受けから持ってくるのである。そんな自分が後ろめたくもあるが、今日もそれを繰り返している。こんなことをしているのは私だけだと思ったら、他にもいた。いつもマージャン遊びでお世話になる仲間の家のトイレをお借りしたら、週刊誌などの雑誌と一緒に新聞が小さな台の上に重ねてあった。




 ちょっと前のことになるが、ある心理学者が書いた本を読んでいたら、人間が心理的に最も落ち着く空間としてトイレを挙げていた。その時「俺も普通の人間だよなあー」と、妙にうなずいたものだ。トイレは自分が入っていれば絶対に人がはいってくることはない。テレビの音など外部の雑音も入ってこない。自分だけの空間なのだ。「お父さんのポーズは考える人、だね」。嫌な顔をしながら新聞を持ってくる女房が言うように、考え事をするにもうってつけである。





 我が家のような田舎家の場合、およそ個室などとは縁遠い。ふすまや帯戸一枚で仕切られた部屋がいくつも並んでいるだけ。娘達が嫌がるのも無理はない。居間やキッチン、それに書斎、寝室をオープン形式にして結構使い易くリフォームしたのだが、個室はない。老後も考え、トイレの位置やバスも近場にまとめた。女房と二人だから個室のようなものだ。




.ブログランキングに参加中です。  
 ↓クリック いただけると励みになります。

人気ブログランキング【ブログの殿堂】

ありがとうございました!


飛行機雲

 今日は天気がいい。久しぶりに秋の青空が戻ってきた。畑仕事の手を休め、額の汗を首に掛けた手拭で拭いながら空を眺めると、一筋の飛行機雲が。その後からも、また一機。フランスやドイツなどヨーロッパに向かうのだろう。高度は、恐らく10,000mから12,000m。ゆっくりに見えるが、時速では800㌔以上で飛んでいるのである。


飛行機雲


 「高度や速度まで、よく分かるかって?」。外国旅行をする時、座席の正面の大型スクリーンに映し出される安定飛行の高度や速度は、いつもそのくらいだからだ。高度や速度はともかく、真っ直ぐに東の空から西の空へと伸びる飛行機雲がまだ消えないうちに、次の飛行機雲が追っかけてくる。



 山梨の上空は外国、特にヨーロッパ航路の通り道。成田空港から飛び立って、しばらくすると、スチュワーデス、いや今は客室乗務員とか客室アテンダントと言うのだそうだが「左側をご覧ください。富士山が・・・」と、機内アナウンスをする。そのあたりが今の飛行機雲のあたりなのだ。


富士山と雲



 我が家から見上げると、南側の上空の時もあれば、北側もある。大まかに、その上空を飛んでいることになる。陽が西の山に沈んで、夜空に変わると、飛行機雲は回転灯に変わる。チカチカと光る赤い光の玉がゆっくりと東の空から西の空へと消えていく。目の錯覚だろうか、スピードは昼間の飛行機雲より遅いような気がする。


飛行機


 夜8時、9時を過ぎると、その間隔はグーンと広くなる。昼間の1分、2分間隔の飛行機雲と打って変わって、まばらになり、やがて星空だけになる。それぞれの便の到着時間との関係もあるのだろうが、その大きな理由は空港周辺住民との関係、つまり、騒音問題に起因している。成田空港の出国ロビーもこの頃になると閑散とし始める。




 昭和52年か、53年だったと思う。成田空港が開港する直前に、そこを見せて頂いた時、係官が控えめながらも、その辺の事情を説明していたものだ。事実、この空港を造る時の周辺住民の反対運動はものすごかった。騒音に対する地元住民の反対運動にとどまらず、国家プロジェクトに対する左翼系闘士の反対運動も加わって、いわゆる成田闘争が長く繰り広げられたのである。左翼系闘士はその後分散、一部は山梨県の北冨士演習場・梨が原で今も活動している。




 ちょっと肩苦しくなった。飛行機雲に戻る。先ほど「一筋の」と書いたが、遠くからだから一本に見えるが、実は飛行機雲は二本。当たり前だが、ジェット機はジェット噴射で飛ぶ。そのジェット噴射で、周りの水分が気化して、あの飛行機雲が出来るのだ。お恥ずかしいが、この原理は、先頃、航空自衛隊浜松基地で、ブルーインパルスのアクロバット飛行を見せて頂いた時のアナウンスで知った。


ブルーインパルス


 大空をキャンパスにブルーインパルスが描くアクロバットの曲線ジェット口の脇に取り付けたノズルから色のついたオイルを流すと、それがジェット噴射で気化して、あのカラフルな飛行機雲になるのだそうだ。「そんな事、みんな知っているって?」。そうだよね。





.ブログランキングに参加中です。  
 ↓クリック いただけると励みになります。

人気ブログランキング【ブログの殿堂】

ありがとうございました!


テレビのハチ追い

ハチ1


 懐かしい。子どもの頃を思い出した。友から鹿児島旅行の土産として頂いた美味しい焼酎を飲みながらテレビを見ていたら、蜂追いの名人が画面で大活躍していた。秋の花の蜜を吸う蜂の胴体に薄紙の目印を付ける名人。飛び立つ蜂を双眼鏡で追い、無線電話でリレーする仲間達。蜂の巣を見つけた名人達のグループは、薬剤をジェット噴射、蜂が催眠している間に土の中から巣を掘り出すのである。



 「今もやっているんだ」。その手法は私達と、と言うより、ここでは俺達と言った方がいいが、同じだ。ただ、違うのは双眼鏡もなければ、まして携帯無線も、ケイタイもなかった。最後の詰めともいえる、一斉に交戦して来る蜂の大群を抑止するスプレーだって同じだ。さらに、目印の薄い紙っ片を蜂の胴体に付ける知恵までは廻らず、に付けてそれを運ばせたのである。


ハチ★小  ハチ★極小   ハチ★極小  ハチ★極小  ハチ★極小  ハチ★極小  ハチ★極小


 この目印蜂追いの最大のポイントである。肝心の蜂を見失ったら、目的の巣に辿り着けないからだ。そこは今も昔も同じ。違うのは、携帯無線も携帯電話もなかったから蜂を追うのは独り。何人かの仲間をあちこちに配置しておくチームワークプレーの知恵が廻らなかったのである。これだけは携帯無線などの化学兵器が無かった時代でも出来たはず。後の祭りだ。空を飛ぶ蜂だけを見て走る。今だったらこんな危ない事は絶対出来ない。



 最後の詰めがまた違う。蜂の巣を取り出すということは、とりもなおさず、蜂の城をのっとるという事にほかならない。そこには最もえらい女王蜂を守る二重三重の警備兵や外敵を迎え撃つ特攻兵もいるのだ。昔は蜂よけの防護服やマスクなんかなかったから、この場面は緊張の瞬間だった。



ハチ★大



 警備兵や特攻部隊に気づかれないうちに催眠剤を穴の中に差し込むのである。その催眠剤も、化学薬品のスプレーなんかではなく、歯ブラシや学校で使う筆箱下敷きであった。勉強で使う筆箱や下敷きを燃やしてしまうのだから、その学業成績は何をかいわんや、言わずと知れたことである。



 テレビを見ていて、おやっと思ったのは蜂の呼び名だ。蜂の種類であるヘボ(ジバチ)とスズメバチが一緒である。画面に映っているのは明らかにスズメバチ。スズメバチは黒い横縞があって、肌は黄色く、ヘボより二まわりも三まわりも大きい。ヘボは形が小さいばかりか、肌は黒く、白の横縞があるのだ。



 ディレクターのご苦労がよく分かる。蜂追いの名人から細部にわたって取材をし、さまざまの角度から番組作りの検討を重ねたはずだ。しかし、わんぱく小僧を体験した人間との差は、歴然と現れるものだ。都会で生まれ、都会で育った人間がいかに、しっかり勉強し、取材したとしても、時として十分に理解しきっていないことはあって当たり前。



 体験に勝るものなし、と言う。その裏返しで、私達が少しばかりの知識で勝手なことを言っているとしたらゾッとする。人間、良いも悪いも多くの体験をするに越したことはない。ただ、人様に迷惑をかけないことだけは鉄則だ。



.ブログランキングに参加中です。  
 ↓クリック いただけると励みになります。

人気ブログランキング【ブログの殿堂】

ありがとうございました!


夫婦喧嘩は犬も食わぬ

 パンダのランランではないが、うちの女房にはヒゲではなく、「トントン」「ブータン」という愛称がある。どうして「トントン」「ブータン」なのかを文字で書くと角が立つのでやめることにするが、その女房を呼ぶ時、この「トントン」などのほか「お母さん」と呼んだりする。


子豚


 これに対する返事で、女房の心中の雲行きが分かるから面白い。不機嫌なときはこうだ。


 「わたしゃあ、あなたのお母さんじゃないわよ」



 もっと雲行きが悪くなると「あなた」が「あんた」に変わるのである。おっしゃる通りで、俺のお母さんではない。お袋が元気な頃、私が女房を「お母さん」と呼ぶものだから、調子が狂ったのか目をパチクリしたものだ。「あんた、とはなんだ」と、ちょっと声を強めたら、言い過ぎと思ったのか口をつぐんだ。




 私の場合、大抵の事なら、怒らない。ただ、言い訳だけは嫌いだ。ちょっとした女房の言い訳がきっかけで口論、これがエスカレートして、いわゆる夫婦喧嘩になるのである。例えばこうだ。



 「こんな天気の日に、何も洗濯なんかしなくてもいいじゃないか」



 「しょうがないじゃない。雨ばかり降っているんだもの」



 「少しは後先、考えてやれよ」


 「考えてるわよ」


 「言い訳するな。少しは考えてやれ、と言っているんだ。バカめ」


 「バカとは何よ」


 「バカだからバカと言っているんだ」



 我が家の夫婦喧嘩はざっとこんな具合で、この場合、私が洗濯など、天気のいい時にやればいいのに、と、注意したのがきっかけ。たわいもない事から、ちょっとした口論となり、それがエスカレートするのである。「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」とはよく言ったものだ。



洗濯物



 その後を見ていれば分かるが、女房はかなりカッカとしている。しかし私の方は少しもカッカしていないのである。私の何気ない注意を≪売られた喧嘩≫と勘違い?したまでのこと。「考えてやれよ」と言われたときに「そうだよねえ」と言えば、そこで口論にも喧嘩にもならなかったはずである。



 私は結婚式の挨拶で時々こんなことを言うことがある。「夫婦だからこそ喧嘩する。どんどんすればいい。ただ喧嘩は売るもので、買うものではない。買わなければ本当の喧嘩には絶対にならない」と。八つ当たりして猫を蹴飛ばす、なんて話もあるものねえ。




 話のきっかけが何であったかは忘れたが、長野に行った時、道の駅の温泉で出会った大工の棟梁と名乗る親爺さんがうまいことを言ったのを思い出した。



 「女はとかく、目先だけでものを考え、後先考えずに直感でものを言う。だから怖いんだよなあー。そこへ行くと、男はそんなバカなことはしねえ」




.ブログランキングに参加中です。  
 ↓クリック いただけると励みになります。

人気ブログランキング【ブログの殿堂】

ありがとうございました!


ランキング参加中です!
人気ブログランキング【ブログの殿堂】
おきてがみ
プロフィール

やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

最新記事
カテゴリ
最新コメント
FC2カウンター
ブログ成分解析
ブログランキングならblogram
検索フォーム
月別アーカイブ
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

全国からアクセスありがとう!

ジオターゲティング
最新トラックバック
アルバム
リンク
忍者ツール
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
FC2ブログジャンキー

「アクセス数が全然伸びない…」そんな悩みをブログジャンキーが解決します!