子供たちとキジ撃ち
富士山のお山じまいが済んで、季節的には今年の夏山シーズンが終わった。お山じまいの後、山梨県側の富士山の麓、富士吉田市では「吉田の火祭り」が盛大に繰り広げられ、行く夏を惜しんだ。「吉田の火祭り」は日本3奇祭の一つで、山梨県内はもちろん、全国から大勢の老若男女が集まる。
中高年を中心にしたハイキングや登山ブームを反映して、今年も富士登山者はかなりの数にのぼったはずだ。ただ7月1日のお山開き以降のお天気の乱れが登山者の足を止めたことも確かだろう。いつもの年なら山梨市の我が家からも毎夜のように見えた登山者のライトの帯が、今年はあまり見えなかった。ただ、ここは甲府盆地。御坂山塊を挟んで、向こう側の富士山麓地方とはお天気が違うし、富士山の上の天気も違う。
「頭を雲の 上に出し 四方のお山を 見渡して 雷様を 下に聞く・・・」
ご存知、唱歌「富士山」だ。この歌の通り、雨雲は3,000m前後の所に生まれるのだから、3,776mの富士山頂は下界が雨でも、晴れている時が多いのだ。私も三度ほど登ったことがあるが、苦労をして辿り着いた山頂で拝すご来光は、筆舌に尽くしがたい感動だ。
「アルプス1万尺 小槍の上で アルペン踊りを さあ踊りましょう・・・」
アメリカ民謡「アルプスい1万尺」は山男達の間でよく歌われる。この歌にはさまざまの替え歌があって、その時々の場面に合わせて唄われる。その内容は極真面目だったり、ちょっと砕けたり、果ては男達の酒席に飛び出すようなかなり品性を欠くものも。山男達には、こんな替え歌もある。
「アルプス1万尺 小槍の上で 小キジを撃てば 穂高あたりは 霧の中・・・」
小キジ、とは小便。因みにキジ撃ちとは大便のこと。山男達の隠語なのだ。都会の方々や お若い方々の中には「わあ、汚い」と、言う人もおいでかもしれないが、山にはトイレなんかない。富士山のように夏山シーズン中、20万人もの登山者があるところは別だ。
「キジ撃ち」とは誰が名づけたか知らないが、そのスタイルからその名がついたのだろう。山のキャンプ地にロッジや公衆トイレが設けられている所はいい。それがない所でキャンプする場合、跨いで用を足す穴を掘って対処する。最後に埋めて帰るのは当然。山を移動中の用は小キジも大キジも、その辺の木陰で。山男達はそれなりの後始末のマナーを知っている。
さて、今の子供たち。私たちが毎年、実施している国際子供キャンプの参加者の中にはロッジの和式トイレすら使えない児も。小学中、高学年の男の子が泣き出すのである。考えてみれば洋式、それも自動のトイレが普及、生まれながらにそれしか知らない子供たちもいるのだ。学校もそれへの対応をしているという。火を遣ってご飯を炊くこと、包丁での料理もさることながら、野外活動の大切さを思い知らされる瞬間である。人間、温室のような環境でばかりで過ごせるとは限らない。何事にも通ずることだろうが、体験したり、知っていて損することはない。さて子供を過保護にしかねない世のお母さんたちは、これをいかがお考えになりますかな。
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