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料理への反応

パスタ

 昼間、テレビのチャンネルを回せば、どこかで必ずといっていいほど料理番組をやっている。たわいもないといったら叱られるのだろうが、料理番組は主婦達の間で人気がある証拠だろう。うちのかみさんも真顔でテレビに向かい、そのレシピをメモにとっている。主婦の端くれだから、それはそれでいい。




 番組はタレントさんを使って出来立ての料理を食べさせて見せる。これも当然といえば当然。面白いのはここからだ。みんな「美味しい」「うまい」と表情豊かに身体全体で表現するのだ。そこはタレントさん。職業柄、演技は堂に入っている。10人が10人、100人が100人、間違っても「まずい」などと言う人はいない。中には口に入れるか入れないうちに「うまい」と、身体丸ごとを使って表現して見せるのだ。見ている方からすれば、それがいかにも白々しいのである。



ピザ



 食べ物は噛み締めたり、喉を通した後に初めてその味わいを実感するもの。タレントさんであろうが凡人であろうが、人間はみんな同じだろう。でも、それを端的に表現することは案外難しい。文字ならばさまざまな工夫で表現することが出来るからいい。しかし、言葉、しかも短時間というか瞬間的に表現することは大変だ。そこに引っ張り出されたタレントさん達の苦労が分かるような気もする。




 「うまい」「美味しい」がありふれていて≪味気ない≫と考えたのか、ひと頃、「甘い」という言葉が流行った。若い特に女性のタレントさんが「甘~い」と満面に笑みを浮かべて言って見せるのだ。見ている方、聞いている方からすれば、これが白々しいばかりか、えもいわれぬ違和感を感ずるのである。やっぱり、食べ物は「うまい」「美味しい」だろう。しかし、それを、いかにもうまそうに、美味しそうに表現するかがタレントさんや芸能人の真骨頂なのだ。おやっ、と思ったら最近、「甘~い」という言葉がピタッと影を潜めた。「甘~い」の乱発をディレクターさんから叱られたのかもしれない。


料理



 私には料理番組でこそないが、この食べ物に関係した番組で苦い経験がある。現役サラリーマンの頃、新聞社、放送局のハウス広告代理店の役員をしたことがある。山梨の大手生菓子メーカーが、ここぞと売り出した「信玄桃」という名の生菓子が、あるテレビキー局の番組に登場した。石鹸・洗剤の大手メーカーがスポンサーで、今でも続いている真っ昼間のバラエティー番組だ。テーブルに置かれたこの「信玄桃」を口にしたタレントさん、よせばいいのに「これ酢っぱ~い」とやってしまったのだ。


信玄桃


 たまたまだが、生菓子メーカーの社長も含めて新聞社、放送局の大口クライアントの社長さんをご案内して10日余りのヨーロッパ旅行から帰った日のことだった。そこは儀礼。会社には相次いでお礼の電話が。ただ一人、生菓子メーカーの社長の電話は違った。「会社に戻ったら大騒ぎ。うちの目玉商品をどうしてくれるんです」。早速、問題になった番組のビデオテープを見た。司会者の小堺一輝は何とかつくろったが、あとの祭り。キー局や、ましてやタレントさんだけのせいにしているわけにもいかない。キー局に抗議する一方で放送局の幹部を生菓子メーカーに飛ばして平身低頭したのである。因みに、そのタレントは後の番組から姿を消した。





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夫婦喧嘩

 パンダの蘭蘭ではないが、うちの女房にはヒゲではなく、「トントン」「ブータン」という愛称がある。どうして「トントン」「ブータン」なのかを文字で書くと角が立つのでやめることにするが、その女房を呼ぶ時、この「トントン」などのほか「お母さん」と呼んだりする。

子豚

 これに対する返事で、女房の心中の雲行きが分かるから面白い。不機嫌なときはこうだ。



 「わたしゃあ、あなたのお母さんじゃないわよ」




 もっと雲行きが悪くなると「あなた」が「あんた」に変わるのである。おっしゃる通りで、俺のお母さんではない。お袋が元気な頃、私が女房を「お母さん」と呼ぶものだから、調子が狂ったのか目をパチクリしたものだ。「あんた、とはなんだ」と、ちょっと声を強めたら、言い過ぎと思ったのか口をつぐんだ。




 私の場合、大抵の事なら、怒らない。ただ、言い訳だけは嫌いだ。ちょっとした女房の言い訳がきっかけで口論、これがエスカレートして、いわゆる夫婦喧嘩になるのである。例えばこうだ。



 「こんな天気の日に、何も洗濯なんかしなくてもいいじゃないか」



 「しょうがないじゃない。雨ばかり降っているんだもの」



 「少しは後先、考えてやれよ」



 「考えてるわよ」




 「言い訳するな。少しは考えてやれ、と言っているんだ。バカめ」



 「バカとは何よ」




 「バカだからバカと言っているんだ」


洗濯物


 我が家の夫婦喧嘩はざっとこんな具合で、この場合、私が洗濯など、天気のいい時にやればいいのに、と、注意したのがきっかけ。たわいもない事から、ちょっとした口論となり、それがエスカレートするのである。「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」とはよく言ったものだ。





 その後を見ていれば分かるが、女房はかなりカッカとしている。しかし私の方は少しもカッカしていないのである。私の何気ない注意を≪売られた喧嘩≫と勘違い?したまでのこと。「考えてやれよ」と言われたときに「そうだよねえ」と言えば、そこで口論にも喧嘩にもならなかったはずである。





 私は結婚式の挨拶で時々こんなことを言うことがある。「夫婦だからこそ喧嘩する。どんどんすればいい。ただ喧嘩は売るもので、買うものではない。買わなければ本当の喧嘩には絶対にならない」と。八つ当たりして猫を蹴飛ばす、なんて話もあるものねえ。




 話のきっかけが何であったかは忘れたが、長野に行った時、道の駅の温泉で出会った大工の棟梁と名乗る親爺さんがうまいことを言ったのを思い出した。



 「女はとかく、目先だけでものを考え、後先考えずに直感でものを言う。だから怖いんだよなあー。そこへ行くと、男はそんなバカなことはしねえ」




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ダイエットとビール

無尽会


 仲間に入れていただいている無尽会の一つに「20日会」と言うのがある。私が住まいする山梨市の旧村地区のオジサンたち18人の集まりだ。わずかに50代もいるが、67歳の私なんかまだ若い方の部類。ほとんどが70代で、中には80代の方も何人もいる。この辺りは果樹地帯だから葡萄や桃、サクランボなど果樹農家の主がほとんどだ。「20日会」の名の通り毎月20日に地区内にある大衆中華料理店で開く。開始時間は冬時間と夏時間があって今は夏時間の午後7時。ギリギリまで果樹園で仕事をし、風呂やシャワーで汗を流してから集まって来るのだ。ちなみに冬時間は6時。


さくらんぼ



 生ビールの大ジョッキで乾杯。それにしても暑い。7月23日は大暑。暑いわけだ。その分、一気に飲むビールが五臓六腑に沁みわたる。うまい。暑い中での仕事の後だけに、至福の時と言っていい。勢い、「もう一杯」とジョッキは進む。


ジョッキで乾杯


 山梨はここ連日、36度を超す猛暑日。「本当に暑いね」。みんなの挨拶代わりだ。どの農家も暑さ対策はしている。忙しい盛りだから、熱中症にでも罹ったら元も子もない。みんな涼しいうちに仕事をし、暑い最中の日中は家の中にいるのだ。だから朝が早い。午前4時には畑に出て、遅くも9時には午前中の仕事を終えるのだという。午後は暑さが少しでも和らぐ4時ごろから畑に。「20日会」の日は無理だが、今の時期、7時過ぎまで明るいので、それでも3時間以上仕事が出来る。暑い時間帯を避けて8時間は仕事をしている勘定なのだ。





 これが篤農家、と言わないまでも当たり前の仕事の仕方。ところがバカな私は、いつもその逆をやっているのだ。「こんな暑い時期に働いたら身体を壊しますよ」。いつも近所の人から笑われる。「なあ~に。我慢。我慢。ダイエットですよ。こうして汗を搾れば・・・」。言い訳というか、強がりを言って見せるのだが、何のことはない。朝早く起きることが出来ないだけだ。サラリーマン現役時代の癖が未だに残っていて夜型人間から足が洗えないでいる。7時も過ぎた頃、ノソノソト起き出して、朝飯を食べ、さて少しは仕事をしないと、と腰を上げた時には8時半、9時。農家もどき、大した農家ではないのでそれもいいが、普通の人たちとは全く逆。でも12時半ぐらいまで、時間だけはみんなと同じだけ仕事をすることにしている。




 「お父さん、水分を摂らないと熱中症になるんだってよ」



 かみさんが冷えたペットボトルの水に食塩を入れて持ってくる。その水がうまいこと。一気に飲み干すのだ。塩ばかりでなくレモン汁も入っているのか。かみさんの計らいもまんざらでもない。木陰のペットボトルは一服の清涼剤だ。ふと見上げたら百日紅(さるすべり)に紅い花が。植え込みからは蝉の声が。暑い夏は秋への序走路をも意味する。今年もそんな時期を迎えた。向こうの御坂山塊にはもくもくと入道雲が。大きな富士山をすっぽり隠していた。


雲  

 さて、あと一稼ぎするか。そこにはぐ~たらオヤジの魂胆がある。昼飯の前に飲むビールだ。シャワーを浴び、ぐっと飲み干す昼間のビール。夜の「20日会」の生ビールの比ではない。ただ、この一杯でダイエットは帳消しだ。


ビール


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百姓の方便

畑  



 草生栽培だとか雑草との共生、という言葉をよく聴くようになった。農家、または≪農家もどき≫の人たちの間にである。100歩譲って草生栽培はいいにしても、雑草との共生で農作物が出来る訳がない。「雑草のように強い」と人にも例えられる言葉があるように雑草は逞しい。その雑草の中で農作物が育つ訳がないからだ。どんな野菜だってその周りの雑草を取ってやらないと雑草に食われてしまうのである。




 友人に≪自然との共生≫≪エコ≫をライフワークに考えている男がいる。その考え自体は素晴らしい。しかしよく分からないのは自然との共生が≪正義≫だからジャガイモやかぼちゃ、たまねぎを撒いても、肥料もやらなければ、雑草も取らないのである。ましてや、除草剤なんかもってのほかだ。


野菜づくり



 その畑を見たことがある。畑は一面草ボウボウ。ジャガイモやかぼちゃはよく見なければ分からないほど雑草の中に見事に埋没していた。今もその方法で野菜作りをしているかどうか分からないが、その畑は山間にあって、周りの畑も草ボウボウ。いわゆる遊休農地である。仲間の畑は農業後継者がいない、その遊休農地の一角をただ同然に借りたのだそうだ。ここなら草ボウボウにしていても近所から苦情も来るわけもないし、とヘンなところで納得したものだ。




 ただ、ここで思ったのは遊びの野菜作りといったら、その友人に叱られるかも知れないが、それと、農業で飯を食っていくということは、まったく別ということである。≪自然との共生≫≪エコ≫はこの友人の哲学といっていい。その哲学と実践を引っさげて、あっちこっちで講演をしたりもする。その頃、車もごく小さなものに乗り、そのどてっぱらにはエコを訴える大きな文字を書き込んでいた。


畑2



 そこまでは良かった。その車のわきで、私と立ち話をしながら、道路わきの畑で実る桃を横目に「この桃だって無農薬で作らなきゃあいけん」と、ぶった。そこをたまたま通りかかった農家の親爺らしき男はカンカン。目をむいて、こう言った。


桃



 「てめえら、何様だと思っているんだ。消毒をしちょだって?桃にゃあ灰星病というやつがすぐ着く。俺たちが消毒をしなかった、輸送中にみんな駄目になっちまって、消費者の口にゃ入らねえんだ。第一、俺たちゃあ、これで汗水たらし、飯を食ってるんだ。何も知らねえで、勝手なこと言うんじゃねえよ」



 私はもちろん、友人も一言の反論も出来なかった。




 さて草生栽培というやつだ。桃、葡萄、サクランボなど果樹園ではいいが、野菜作りでは成り立たない。果樹園での草生栽培にしても農家の方便のような気がしてならない。果樹栽培はだんだん高度化し、その一方で手間もかかるようになった。草に追われる農家は草退治に手が回らず、いっそのことと、草との共生を考えたのではないか。草生栽培といっても時を見て、草刈をしたり、除草剤を撒いているのである。らちもない事ばかり言うと「百姓もどきが、つまらぬこと、言うんじゃあねえよ」と叱られそうだ。




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貴腐ワイン

 40年以上も前のことだ。今は故人となられたが、当時、サントリーの名物社長だった佐治敬三氏を囲んで貴腐ワインを頂いた。しこたま、と言ったら品がない。惜しげもなくといった方がいい。まだ30代も半ば。ただでもアルコールに弱い方ではなかった上、無作法や失礼をも省みず頂いてしまったのだろう。甲府市のある有名ホテルの座敷だった。


佐治敬三氏
佐治敬三氏
画像・すべてサントリーHPより


 サントリーは当時、日本で初めて貴腐ワイン作りに成功。立場柄というか仕事柄というか、発売前の試飲会にお招きを受けたのだ。貴腐ワインの原料は言うまでもなく貴腐葡萄。貴腐というのは完熟した葡萄の実にポトリティス・シネレア菌が付着、果実の水分が蒸発して糖度が高まる珍しい現象。もちろん、そこには気温や湿度など気象、気候上の複雑な条件が絡むことは言うまでもない。


ワイン樽


 この貴腐葡萄で醸したワインは専門家の間でも「ワインの帝王」と呼ばれ、それが醸しだす甘味と風味が、その希少性と共に珍重されているのだ。ポトリティス・シネレア菌がもたらす貴腐葡萄を発見、初めて貴腐ワインを世に出したのが山梨県北巨摩郡双葉町(現甲斐市)のサントリー登美の丘ワイナリーである。当時は確か、サントリー山梨ワイナリーと言った。試飲会だからサントリー関係者はともかく、一般人では最初に貴腐ワインを口にした一人であったことは間違いない。

貴腐ワイン

貴腐ワイン「登美ノーブルドール」


 さて、その貴腐葡萄なるもの。貴腐ワインを試飲しながらポトリティス・シネレア菌云々の説明を聞いていた一人がこれまた失礼にも「これって、ぶどう作りの失敗作じゃあないの?」と言った。試飲に招かれた人たちのほとんどは葡萄作りなどには縁のない人達ばかり。でも、正直言って私もそう思った。葡萄の産地に生まれ育ち、少なからず、葡萄作りに携わった経験があるからだ。ポトリティス・シネレア菌などと難しいことは分からないにしても確かに、そんな葡萄は我が家の葡萄園にも。言葉を変えれば発生した。しかし、栽培農家の間では、より高品質な葡萄作りを目指し、品種改良をする一方で、病害虫や病原菌を駆除するための消毒を徹底するようになった。この話はワイン醸造用の葡萄ではなく、生食用のことである。当然のことながらポトリティス・シネレア菌だって死滅する。


収穫   貴腐葡萄
「貴腐まじりの葡萄の収穫」      「収穫された貴腐葡萄」



 つい先頃、中国は上海や千葉の柏から来た友と一緒に訪ねたサントリー登美の丘ワイナリーで、若かりし頃を思い出しながら、貴腐ワインをかみさんにも飲ませてやりたいし、友たちにも土産に持たせたかった。希少価値だから高価であることは分かっている。ところが、そこにあった貴腐ワインのお値段は20数万円。0が一つどころか二つも違うのだ。一瞬、「お土産・・・」の「お」の字を飲み込んだ。もちろん高価といっても3万、5万のモノだってあるのだろう。しかし、そこは所詮貧乏人の性。思わず手が引っ込んだ。女房だって貧乏人の連れ合い。「お父さん、もったいないわよ」と言うに決まっている。




 貴腐ワインは高嶺の花であることは確か。でも女房ぐらいには思いっきり飲ませてやりたいと思う半面で、自分の若かりし頃と、その後も何度かお目にかかった佐治社長の温和なお顔を昨日のことのようにまぶたに浮かべ、赤面の至り、顔が熱くなった。





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遠方より友

ビアガーデン
ビールで乾杯!


 「カンペイ」「カンペイ」。何度も何度も杯を交わした。懐かしい友、心の通う友と酌み交わす酒はうまい。一人は中国の上海から、一人は千葉県のからやって来た。いずれも奥様をお連れしての来訪で、ニ泊三日、山梨市の我が家で足を休め、夜は和やかにお酒を酌み交わした。中国式の乾杯は酒席を盛り上げてくれる。





 中国からの友は51歳。若い頃、サントリー社に務め、東京や大阪で生活したことがあるというだけあって日本語も上手に話す。今は中国や香港とサントリー社の間にあってウーロン茶の商社活動をしている。一方、千葉からの友は私と同い年の67歳。上海に進出した古河電工の現地法人の社長を昨年引退したばかりの男。この春、私達夫婦の中国行きのきっかけを作ってくれた方だ。現地、上海などを案内してくれたのが一方の中国の友である。



上海
上海・周庄


 この二組の夫婦の案内で上海や蘇州を気ままに歩き、夜は四川料理や広東料理を囲んで、老酒やマオタイ酒で乾杯した。「今度は日本の山梨の我が家でやろう」。そんな約束が実現した。もう永い付き合いの千葉からの友はともかく、中国からの友はわずかな期間の出会い。でも古くからの友人のような気がする。人の心の通いとは不思議なものだ。




 サントリーは、お酒をお飲みになる方々だったら誰でも知っているお酒のメーカー。ウイスキー、ブランディー、ワイン、ビール・・・。ウイスキーは拠点工場の一つに京都の山崎が。「山崎」というブランドもある。さらに昭和40年代には山梨県の南アルプス山麓にある白州町(現北杜市)に新たな拠点を設けた。その「白州」ブランドも定着した。一方、ワインは山梨県に古くから拠点を置いている。その登美の丘ワイナリーは100年の歴史を持つ。双葉町(現甲斐市)の登美丘陵にあって「登美」「登美の丘」「登美の詩」といったブランドも。ビールはキリンやサッポロ、アサヒに比べれば後発だ。


登美の丘サントリーワイナリー
サントリー登美の丘ワイナリーHPから


 そのサントリー登美の丘ワイナリーを訪ねた。案内したというより中国の友がほんの一時期とはいえ携わったこともあるところだから、案内してもらったといった方がいいかもしれない。何年ぶりかにワイン博物館や工場見学をさせていただいたり、肉料理や魚料理を囲んでワインもしこたま戴いた。もちろん真昼間だ。昼間の酒はうまい。眼下に広がる甲府盆地、その向こうに浮かぶ富士山、右手には南アルプス。富士山の反対側には八ヶ岳が。そんなロケーションの中で戴くワインの味はまた格別。杯も進もうというものだ。


ワイナリー食事
登美の丘サントリーワイナリーレストラン「ワインテラス」にて


 広大な登美丘陵を埋め尽くすようなブドウ農場にはまだ小さく青いワイン原料用のブドウが秋の収穫に向け実を膨らます。山梨県を中心としたブドウは棚による栽培方式。しかし、ここではフランスやイタリアなど外国に見られる立ち木栽培を取り入れた農場が目立つ。広大な丘陵に広がる、その栽培様式はヨーロッパを髣髴とさせてくれる。


登美の丘

サントリー 登美の丘ワイナリーHPから


 サントリーの佐治敬三社長(故人)の懐近くにいたこともある、この≪遠方からの友≫は、ワイン博士といってもいい同ワイナリーの所長と和やかに話していた。でも、この男の専門はウーロン茶。我が家でも酒を酌み交わしながらのウーロン茶談義になると目の輝きを変える。そのウーロン茶、いつの間にか私達日本人の生活にしっかり根付いた。


烏龍茶


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数字の好き嫌い

数字


 食べ物に好き嫌いがあるように人間には数字にも好き嫌い
が。嫌いの方(ほう)は「あえて言えば」の類でしょうが、意識的に避けている数字もある。例えば、病院は「4」と「9」の部屋番号を避けているところが多いことにお気づきだろう。病院が嫌うというのではなく、そこに入院する患者さんが嫌うからだ。




 全くのこじつけだったり、縁起担ぎだったりするのだが、「4」は「死」に、また「9」は「苦」に結び付けてしまうのだ。アパートやマンションの中にもそんなところがないでもない。ただ頭の数字は、その建物のフロアー(階)を現すから、一概に避けたり、嫌ったりするわけにはいかないこともある。

マンション


 車にはナンバープレートがある。ここでも「4」と「9」は嫌われ者。日本では一般の車両ナンバーは4桁。そのうち前の2桁であれ、後ろの2桁であれ、「4」と「9」がセットになったりすると、これもやっぱり「死」「苦」で忌み嫌うのだ。これを「死ぐ」に語呂合わせしてしまうと、やっぱり穏やかではない。車は大なり小なり交通事故の危険と隣り合わせ。普段、数字のこじつけや縁起かつぎになんか無頓着な人でも周りからそんなことを言われると、気味悪く思ってしまう。




 今は車のナンバーを選べるシステムになっているので、そんなことの解消は簡単。「俺、陸運に行ってナンバーを変えてもらってきたよ」という知人もいた。車のナンバーには一番頭に〇〇と、その地域を特定する文字が入っている。いわゆる「〇〇ナンバー」といわれるものだ。山梨、静岡両県の富士山麓には「富士山ナンバー」が創設されて、珍しさも手伝ってか、ちょっとした人気。車のナンバーは車両の登録エリアを意味するものだから、この〇〇部分は、選択の余地はない。そんな中でも例えば東京の「足立ナンバー」と「品川ナンバー」を比較すると「品川」の方が人気があるのだという。「品川」の方がスマートな印象があるようだ。「足立」の方々、ごめんなさい。

富士山



 一方、好きな数字はその人によってまちまち。「7」が好きな人もいれば、「8」や「1」などさまざま。中には誕生日の数字で競馬の馬券を買う人もいる。例えば4月12日生まれの人が「4番」「12番」というように、どんなレースでもその番号を一枚は買うのだという。ただ、そこには実力がモノをいうレース上の根拠があるわけではないので、ほとんどがハズレ馬券ということに・・・。でもまかり間違えると万馬券では済まされない。




 「ラッキーセブン」とか「末広がり」というように「7」や「8」は人気者だが、やっぱり日本人がその昔から好んで使うのは「3」だろう。お正月は「三が日」、やはりおめでたの結婚式は「三々九度」。極めつけは「三大〇〇」である。日本人は何でもかんでも「三つ」にまとめたがるのだ。「三大祭」「三奇祭」「三奇矯」「三大急流」「三大夜景」・・・。日本の「三大〇〇」は山ほどある。「3」という数字はそれなりの根拠もあるのだ。拍手の「三三七拍子」はリズム上の感覚、絵画や設計でいう「黄金法」も根拠がある。見事な空間をもたらす「鼎」も3本足。カメラの三脚は当たり前。共通点は安定感だ。




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数字の不思議

 世の中で絶対にウソを言わないのが数字。半面、摩訶不思議なのが数字かもしれない。かみさんにはいつも叱られるのだが、私は勝負事が大好き人間。パチンコや競馬、競輪・・・。勝負事と名のつくものはいっぱいある。これがいつの世も廃れないのは、人間がそもそも持っている本能のようなものに起因しているのだろう。


麻雀


 曜日にもかまわず、昼でも夜でも、何人かの仲間がいれば楽しめるのがトランプであったり、花札や麻雀。この中で麻雀は4人に限定されるが、3麻と呼ばれる3人麻雀も登場している。4人の仲間集めが難しい時、小回りが利くからいい。日本人の知恵が生んだゲーム方式の改良なのだろう。パチンコや競馬、競輪などは主催者が開催したり、店を開いてくれなければ楽しむことは出来ない。

花札


 この勝負事、全てに数字が絡むのである。茶の間でも楽しめるトランプ花札。松、梅、桜、藤、菖蒲、牡丹・・・。花札は1月から12月までの1年、つまり1から12までを絵札で表している。いずれも4枚ずつあるので、ワンセットは48枚。一方、トランプはというとA(エース)から10、それにJ(ジャック)、Q(クィーン)、K(キング)。13まであって、それぞれが4枚(ダイヤ、ハート、クラブ、スペード)あるから、こちらのワンセットは52枚。




 48枚の花札と52枚のカード。この間には何の因果関係もないように見えるのだが、実はれっきとした数字上での因果関係があるのだ。花札が1年を基調にしているとしたらトランプもちゃんと1年の数で構成されているのである。「そんなバカな」とおっしゃる方がお出でかもしれないが、そうなのだ。
トランプ

 トランプの総枚数52枚に1年12ヶ月、つまり12を乗ずると364。「この数字は1年に一日足りないじゃあないか」とおっしゃるだろうが、あと1枚を忘れていませんか。そう。ジョーカーだ。このジョーカーを加えると365。つまり1年365日に。ジョウカーのないトランプはない。数字を逆さから見詰めてみると面白いものだ。




 麻雀だって同じ。麻雀の牌は萬子、索子、筒子が1から9まで4個ずつで、合わせて108。それに東、南、西、北、白、發、中の4個ずつ合わせて28。合計では136個の牌がある。ゲームはそれを4人で13個ずつ持って14枚目を順番に切り替えながら聴牌を目指し、上がりを競うのである。4人が持っている牌の合計は52。これに1年12を乗ずると364。最後は上がり牌の1個を加えなければならないから、やはり365になるのだ。上がりが成立するのは一人だけ。その時の牌の数は必ず14なのである。



地球  


 ご存知のように地球は太陽の周りを365日かけて一周する。現在の暦であるグレゴリオ暦では、これを12ヶ月に分けている。一周360度を12等分すると30度。これを根拠に基本的には一ヶ月を30日に設定したわけ。一年12ヶ月、この「12」という数字は量の単位・ダースにも当てはまる。ひと頃、熱くなった競馬。今はすっかり足を洗ったが、この競馬にも「12」が見え隠れするのだ。レース距離の1,200m、その倍数の2,400mである。もちろんマイル戦もある。


馬   馬2   馬3


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栴檀とズボラ人間

栴檀


 栴檀は双葉より芳し、という。優れた人間は幼い時から普通の人とは違う、の例えだ。実際そんな人間がいるかどうかは別として、私のような人間には無縁な言葉であることだけは間違いない。正直言って栴檀という木に出遭ったのは、そんなに昔ではない。最初は現役時代、四国は高知県で開かれた、ある会議のついでに訪ねた高知城の一角。確か明治の元勲の銅像の脇に茂っていたものだが「これが双葉より芳し、の栴檀か」と、説明プレートを見ながらつぶやいたら、案内してくれた人は、いかにも自信なさそうに「俺にもよく分からんのだよ」。


高知城
高知城の栴檀


 それからしばらく経って山梨県の南部にある市川大門町(現市川三郷町)にある造り酒屋をお訪ねした時、高知城で見た同じ木に出遭った。その造り酒屋さんが出しているお酒の銘柄は「栴檀」。「やっぱり、これが栴檀か」。妙な所で納得させられた。その栴檀の木が今、週二回、ムチウチ症(頚椎捻挫)の治療で通っているリハビリ病院の庭にもいっぱい植えられている。みんな大きな木だ。先頃まで白い小さな花をつけ、今は青い実がいっぱい。秋には黒いモクのような実になる。ただ無知な私が納得できないのが、どうみても「芳しくない」のだ。


栴檀2


 首の牽引をし、OT(作業療法)、PT(理学療法)と呼ばれるマッサージ治療を受けながら窓越しに見える、その栴檀の木を見るともなく眺めながら、いつも釈然としない思いをしている。双葉より芳しいのなら、大きくなったって芳しいはずなのに・・・。ムチウチ症の治療とはそんなもの。どっちでもいいことを考えるヒマがあるのだ。大した事はないじゃないか、と思えばそうでもない。ムチウチ症というのはそんな疾患かもしれない。




 人間にはそんな定めがあるのだろうか。たまたまだが、昨日、山梨市役所で、山梨市青少年のための市民会議が開かれた。各界の代表で組織、さらに下部組織としての地区会議を設けている。間もなくやって来る夏休みを前に子供たちの非行防止を考えようというもの。当然、ここでは「双葉より芳し」の子供たちは議論の対象にはならない。


栴檀3


 考えてみれば、この組織も不思議な組織だ。長年続いていて大なり小なり非行をして来た子供が大人になり、真面目顔で子供たちの非行防止を考え、幾つものスローガンを掲げて、それを話し合うのである。「双葉より芳し」とは違う子供たちを指導するオジサンたちの「非行対策」はみんな「来た道」。少なからず覚えがあるから対策だって簡単。ところがこのオジサンたちに分からないのがケイタイやインターネット絡みの処方箋である。




 今の子供たちがやっているのは大人たちが考えている携帯(ケイタイ)なんかではない。つまり「モシモシ」の電話ではないのだ。そこに内蔵されたソフトや機能を自由に操って、さまざまな遊びもすれば、いじめもする。インターネットにも繋がるから、どこにでも≪潜入≫していく。面白いはずだ。


 しかし行く先には子供たちを蝕む≪罠≫が仕掛けられているかもしれない。そこでオジサンたちが頭を抱えるのがその対策。これまでやってきた悪書追放運動や喫煙、夜間徘徊の戒めなんかは分かり易いからいい。でも「通ってきた道」ではないITの世界には戸惑うばかりだ。


 ところで注釈。「栴檀は双葉より・・」の栴檀はなぜか白檀のことを言うのだそうだ。そう聞けば「双葉より芳し」だけは頷ける。 でもなぜ「白檀」が「栴檀」? また分からなくなった。



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富士登山

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 あれから半世紀。と言っても私事だが、富士登山をめぐる様相やスタイルは大きく変わった。私が富士山に二度目に登ったのは昭和30年代も終わりの頃。例えば東京を起点にした登山者の富士山への“助走路”一つとっても国鉄中央線はJRに移行され、私鉄・富士急行線終着駅の河口湖駅から出ていた富士山登山バスは姿を消した。




 JR中央線には30分間隔で特急「あずさ」「かいじ」が走り、河口湖からは有料の富士山自動車道(富士スバルライン)が五合目まで伸びている。東京・新宿からの所要時間は大月までが丁度1時間。富士急行線も1時間足らず、河口湖から五合目までがバスで4~50分だから乗り継ぎ時間を入れても、新宿から3時間半、4時間もあれば雲海を見下ろす富士山五合目に立つことが出来る。東京駅―新宿間は15分。特急「あずさ」や「かいじ」も列車によって東京駅から離発着する。


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富士スバルライン



 その便利さが富士山人気と相まって登山者の増加に拍車をかけ、ここ数年、その数は、わずか2ヶ月足らずの夏山シーズン中に限ってみても25 万人を超す。この数字は山頂を目指す登山客の数。五合目にやって来ては引き返す観光客を含めると、その数は何倍にも、何十倍にも膨れあがるのだ。




 毎日、五合目の駐車場は車で溢れ、広場はまるで東京の繁華街並みの混雑を呈すのである。期間を区切ってマイカー規制もするが、観光バスだけでも駐車場が埋まる。観光バスは全国の旅行社が募集する富士山ツアー。五合目観光組は、そんなお客さんが多くを占める。中には富士登山を目的にしたツアーバスも。関西や四国、中国方面、東北などツアーの登山者は全国に及ぶ。バスは時間にして一日近くそこで待つことになるのだ。


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富士山五合目



 山ガールと呼ばれる女の子やおばさん達のグループも目立つ。「おばさん達とはなによ」。ご婦人からは、そう叱られるかも知れないが、私のような野暮天にはそう映ってしまうのだ。中にはハイヒール姿で山登りに挑む若い女性も。交通手段の進化など安易さと便利さが富士登山や観光の姿をどんどん変えている。




 でも富士山を甘く見てはいけない。3,776㍍。日本一の高さを誇る山だ。一瞬に気象も変えれば、ご機嫌を損なえば風を巻き起こし、雨も降らす。目の前の視界を遮るガスをも発生させる。夏といえども8合目から上は残雪がいっぱい。7月1日のお山開きに備えて、山梨県や地元富士吉田市は、登山道を中心に大がかりな除雪作業をした。残雪は我が家の窓越しからも見えるくらいだから、その量は半端ではないはずだ。それよりもなによりも、この富士山はユネスコの世界遺産。「日本一の山」に新たな看板を掛けた。この夏も国の内外から登山客を集めるのだろう。



富士山_convert_20110108220633



 安心、安全。当たり前だが、今の世の中ありとあらゆるもの「危険」を取り除く。登山道も下山道もきちっとコース化している。かつては「砂走り」と呼ばれる所があって下山する時は、そこを舞い降りるように下りた。登る時は今とそれほど変わらない登山道を一歩一歩、確かめるように悪戦苦闘して歩くのだが、帰りは簡単。「砂走り」の文字通り一面が細かい砂地。落差も手伝って勢いが加わるので、大げさに言えば、一歩が10㍍も進む。まさに「舞い降りる」、と言う表現がピッタリ。今になれば懐かしい。でも、ツケあはある。高山病だ。 


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梅雨と葡萄

  どうやら東北地方を除いて梅雨が明けた。それにしてもよく降った。梅雨だから、といってしまえばそれまでだが、西日本一帯では、その梅雨前線と台風も絡んで集中豪雨をもたらし、あっちこっちに被害のツメ跡を残した。山梨のこの辺りの葡萄栽培農家は、房作りや消毒作業が思うように進まず、日増しに房を大きくする葡萄棚を尻目に梅雨空を恨めしそうに見上げた。

山梨の葡萄棚
山梨の葡萄棚


 実はこの梅雨と葡萄棚は無縁ではない。フランスやイタリアなど世界各地で見られる葡萄の栽培方式は、いずれも立ち木。棚で栽培する方式は日本だけといっていい。山梨にお出でになった方々ならご存知だろう。平地といい、傾斜地の山付き地帯といい、みんなによる栽培なのだ。もちろん山梨ばかりではない。お隣の長野もそうだし、梅雨のない北海道を除いて、みんなこの方式である。先頃、中国や千葉からの友人と訪ねた山梨県甲斐市のサントリー登美の丘ワイナリーに見られる立ち木の葡萄園は全体から見れば稀なのだ。


サントリーの葡萄畑  
サントリー登美の丘ワイナリー 立ち木の葡萄畑
HPから


 その理由は紛れもなく梅雨。葡萄が房を形成、成熟へ向かおうとする6月から7月、日本列島は毎年、梅雨の洗礼を受けるのである。降った雨は当然のことながら地表から跳ね上がる。立ち木の栽培方式だと跳ね上がった雨露は葡萄に何らかの病気をもたらす。そこで先人たちは葡萄の木を棚に仕立てて、枝や葉っぱを地表から離したのだ。棚栽培の場合、面での栽培なので品質の向上ばかりでなく、商品品質の平均化も図ることが出来る。


葡萄


 ワイン原料ならまだしも生食用の場合、日本人は味ばかりでなく外見にもこだわる。だから病害虫による傷物は商品価値を確実に落とす。価格にストレートに跳ね返る訳だから、生産者が棚栽培をするのは、いわば当たり前。個々には栽培面積が狭いので、付加価値の高い生食用でないと採算が合わないのである。ワイン原料用なら品質に拘らない立ち木栽培でもいい。しかし価格が安いワイン原料用の葡萄栽培ではメシが食っていけないのだ。


ポスター

「赤玉ポートワイン」宣伝ポスター と サントリー創始者・鳥井信治郎氏



 ワインには赤と白がある。その違いは原料ばかりでなく製造工程に違いがあるのだ。白ワインは原料葡萄を破砕、皮や種を取り除いた果汁だけを発酵させる。これに対して赤は皮や種ごと圧搾して発酵させるのだ。このため皮や種に含まれるタンニンが含有されるので赤ワイン独特の、あの渋味が味わえるのである。渋味もなく、まろやかな味わいの白に対して、独特な渋味が≪コク≫を感ずる赤。それぞれの好みだが、葡萄の産地で生まれ、赤ワイン製法の密造酒で≪鍛えられた≫せいか、どちらかというと赤の方が好き。赤ワインの原料がベリーAなど赤系の葡萄であることは言うまでもない。


赤ワイン
サントリーワイナリー・HPより


 ≪通≫の人たちは料理によっても白、赤を飲み分ける。例えば、肉料理と魚料理がそれだ。繊細な味が特徴の和食にも言える。ワインに限らず、日本酒や洋酒など幅広いお酒にも言えることだろう。和食のようにシンプルな料理と脂っこい中国料理やロシア料理ではアルコールの度数とも相関関係を持つ。わが国で日本酒が古くから飲まれて来たのも、その食文化によるものである。見学させて頂いたサントリー登美の丘ワイナリーのセラー(貯蔵庫)では無数といってもいい瓶詰めされた5年、10年、20年もののワインが熟成を待っていた。子供の頃、盗み酒をした自家製の密造斗瓶とは風味も品格も異なるのだろう。


ワイン蔵     ワイン樽


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過剰包装

 それ程、外国を歩いているわけでもないが、そこで、ふと考えさせられることがある。包装の仕方の違いだ。中国やアメリカ、それにフランスやスペインなどヨーロッパの国々。どこで買い物しても、その包装や入れ物は極めてラフ。日本のように包装を過剰にする国はない。その違いは誰が見ても歴然としている。習慣や国民性の違いといってしまえば、それまでだが、やっぱり合理感覚の違いだろう。


包装紙


 わが国の場合、お土産物一つとっても包み紙入れ物に細心とも言える気配りと工夫をする。高級果物のメロンやマンゴーに到っては桐の箱にまで入れてしまうのである。高価イメージのシールやリボンなんかも当たり前。消費者側もそれが当然と思っているし、むしろ、それを求める場合だってある。一流デパートのように包み紙そのものがブランドの証だったりする。ただ、この一流デパートの包み紙は時の流れの中で、地殻変動も。山梨で言えば「岡島」、東京で言えば「三越」もその一つかもしれない。

メロン

 消費が経済成長の原動力、などと分かったようなことを言われると返す言葉もないが、よく考えてみると、間違いなく無駄。なにも立派な紙を使ったカラフルな包み紙や桐の箱を食べるわけでもなく、開いた後はただのゴミ。当然、この包装にはそれなりのコストが。この過剰包装の習慣は、日本人が長い間に身に付けさせられた「見栄」の裏返しなのか。それとも形や外見にこだわる日本人の特性なのか。


包装紙2


 そんなたわいもない事を考えていたら茶の間のテレビで「見た目の損得論」などと、これまたたわいもない番組をやっていた。晩酌をしながら何気なく見ていたバラエティー番組。何人かの人気タレントさんに囲まれた経済アナリストが真面目顔で話していた。それによると、人間、イケメンだったり、感じのいい風貌やイメージを持った人は、それと反対の人と比べると一生のうちでは、お金で換算すると4,000万円の得をするというのだ。




 番組は「実験」と称して街頭にイケメンと、そうでない男の人を二人並べて広告入りのティッシュを道行く人に配らせた。どちらの方が沢山配るか、言い換えれば道行く人たちがどちらからティッシュを受け取るかだ。隠しカメラでそれを追って見せるのだが、結果はイケメン男性に圧倒的な軍配。その差は歴然としていた。女性の場合の就職試験面接にもその差は知らず知らずに現れているのだそうだ。




 「見た目」というのは理屈では分からない不思議な力を持っている証。過剰包装はそんな日本人の心理を商いの中に捉えているのだろうが、考えてみればやっぱり無駄。ゴミの山への貨物列車だ。そんなことを考えるともなく晩酌を重ねていたら、うちのかみさん、「お父さん、これをお中元として送りたいんですけど、包み紙、これでいいかしら。これだと安っぽく見えるかしらねえ」。


ゴミの山


 ひと頃、イケメンの代表格のようにオバサマ方から人気を集め、追っかけに囲まれた、あのヨン様は・・・。どうやら日本の奥様方は包装紙ばかりでなく、マスコミにも弱い。マスコミに取り上げられなくなると、あっさりと忘れてしまうのだ。 国政、地方を問わず、選挙だって「見た目」やマスコミによって作られる「人気」というレッテルにも左右されていく。「総理大臣にふさわしい人」がいい例だ。その人を支持するのもしないのも気まぐれなのだ。



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Simple is best

 [Simple is best]。うまいことを言ったものだ。フレーズだって、まさにシンプル。この言葉は古今東西、普遍のような気がする。人間、単純であった方が何事にも分かり易い。しかし、これまた古今東西、単純に行かないのが人間であり、人間の世界かもしれない。

パソコン


 ここで言いたい「Simple is best」は、そんな小難しいことでも屁理屈でも何でもない。このブログをやっていて、つくづく思うことである。アナログ人間が遅ボケにパソコンを習い、インターネット、果てはブログにハマリ、パソコンに向かいながら痛感することなのだ。自ら記事を発信する一方で、人様の記事やメッセージを一人でも多く拝見させて頂く。このこと自体、当たり前なことだと思っている。




 ところが、目指すページがなかなか開かないのだ。「待機中」「不明なゾーン」。10秒、20秒ならまだいい。これが1分、2分となるとイライラするのだ。10分、20分、ましてや1時間、2時間を考えればわずかな時間だが、この待つ時間がなんと長いことか。「お前は気が短いんだよ」とお叱りを受けるかもしれないが、正直言ってうんざりするのである。


時計


 その時どうするか。おっしゃる通り、せっかち者だから、お目当てのページが開かれるのを待ちきれずに次ぎのステップに移ってしまうのだ。百歩譲って、それがまかり通ったとしても、その後にはツケが回って来るのである。




 それを繰り返すと結果的にパソコンがストレスを貯めてしまうのだ。アナログ人間が「ストレスを貯める」などと、分かったようなことを言うのは似合わないかもしれない。しかし経験から、それを繰り返していると必ず、パソコンはトラブルを起こすのだ。その時に、為すすべを知らないので、やることは一つ。再起動して振り出しから改めて手順を踏んでいくのだ。これがまた煩わしい。せっかち者の所以である。




 その原因をアナログ人間なりに考えた。「大きなお世話」とお叱りを受けるかもしれないが、ブログのベテラン、つまり、それへの知識と技術をお持ちの方に、トラブルの原因が多いようにお見受けした。高度なテクニックを施すものだから、コンピュータだって解析するための時間を要するのだろう。動画文字もその一つ。これは単なる私の経験則。シンプルな発信をしてくれるブログにトラブルは少ない。


1


 他山の石。同じ轍は踏むまいと思っている自分も人様にご迷惑をかけているのではないかと思うことがある。私のブログは日常生活の中で見たもの、感じたものを文字と写真で綴っているエッセイ。素人なりに文字はともかく写真の多用は、それなりの負荷を招いているのではと思ったりする。事実、次ぎへのステップに時間がかかるようになった。




 私が住む山梨市は甲府盆地の東北部。山間部とはいかないまでも、それに近い。これもアナログ人間の経験則だが、お天気の悪い時の接続はよくない。科学的な根拠を持って言っているのではないのだが、雨の日などは極めて接続がよくないのだ。総じてこの世界に知識豊かな若い方々と反対に、一般的にアナログ層のブログの方がお訪ねの接続がし易い。Simple is bestである。発信する文章は読んで頂くもの、写真は見て頂くものだ。




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葡萄の種

ブドウ


 葡萄の種は気にならないが、西瓜の種は気になる。その反対もあるだろう。それを取り巻く習慣や生まれ、育ちなど環境の違いかもしれない。知人の一人に西瓜を食べる時、ダイナミックにかぶりつき、種まで飲み込んでしまう男がいた。西瓜の産地の人だった。私なんか、あのバラバラにある種がどうにも気になり、スプーンやフォークの先で予め取り除いてから食べるのだ。そんな時、西瓜に種がなかったらいいのになあ~、と正直思う。




 そんな自分はというと、葡萄の種なら平気。何の違和感もなく飲み込んでしまうのだ。甲府盆地の東北部に位置する、この辺りは「勝沼」を中心に古くから葡萄の産地。そんな環境に生まれたせいか、子供の頃から当たり前のように葡萄の粒を種ごと飲み込んだ。汚い話をして恐縮だが、その頃、この辺りはトイレの浄化槽も、ましてや下水道も整備されていなかったので、その種はトイレの槽の底に溜まるのだ。


ブドウ畑



 トイレの糞尿は溜まると「下肥」として野菜作りの肥料に。その頃は今のような少子化の時代と違って子供の数だって4人、5人は当たり前。大勢の家族が食べる葡萄は決して少なくない。必然的にそこに溜まる葡萄の種は半端ではないのだ。下肥の水分は当然、畑に沁み込む。畝(うね)にはその半端でない葡萄の種が残るのである。人間の胃袋を通って排泄された種は、綺麗に洗われてリアルな形で再び世に出てくるのだ。




 西瓜の種にも同じことが言えるのだろうが「葡萄の種をそのまま飲み込むと盲腸(虫垂炎)になる」と言った人がいた。生理学的にも医学的にもそんなことはないはず。もしそうだったら葡萄の種を飲み込んでしまう習慣があった山梨県人は、みんな盲腸になってしまっていることになる。


ブドウ畑2



 「葡萄に種なんかあるの?」。都会の消費者、特に種なし葡萄に慣らされた若い方々は首を傾げるに違いない。ジベレリンの開発と実用化は一部の品種を除いて葡萄の種なし化を可能にした。これは今に始まったものではなく、歴史は古い。この地方では、デラウエアー種に始まったジベレリン処理は巨峰、ピオーネなどの大房系の葡萄に到るまで幅広く取り入れられ、技術的にも完全に成功。今では種なしが当たり前になった。果肉が柔らかい甲州種を除けばほとんどの品種で、この技法は成功している。




 ジベレリン処理は種を抜くという画期的な技のほか果実の促成にも役立つ。2回に分けて行なうのだが、ポイントは処理の時期ジベレリン水溶液の濃度。どちらを間違えても失敗するのだ。当初、デラウエアー種で成功したこの手法は果樹試験場などの研究機関ばかりでなく、果樹栽培農家の試行錯誤が今の完全実用化をもたらした。


ブドウ2


 核、つまり種の周りに酸味が多いのが果実の特性。現代人はなぜか酸味を嫌う。種を抜くと同時にこの酸味を少なくするのだからジベレリン処理の効果は一石二鳥。私なんか種があって、適度の酸味があった方が美味しいように思うのだが・・・。確実に種ありの方が味がいい。でも葡萄には種がない、と消費者に思い込ませてしまった今、あと戻りは出来ない。今がそのジベ処理の最盛期。小さな房には雨除けの傘、蝋紙をかけるのだ。




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おきてがみ
プロフィール

やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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