水(再)
「空気や水のよう」。私達は日常生活の中で、よくこんな言葉を使う。あって当たり前で、その大切さが分からないことの例えだ。しかし、その水が都会にお住まいの方々ばかりでなく、私のように田舎暮らしをする者ですら、時にお金を出して買う時代になっている。ブランド名はともかく、どこのご家庭の冷蔵庫にも一本や二本、水のペットボトルが入っているだろう。遊び感覚だが、富士山頂などでは「空気の缶詰」も売られている。
水代わりのお茶もそうだ。山梨では葬式の香典返しにお茶を袋で引くケースが多く、お茶なんかいっぱいあるのに、ペットボトルのそれを買って飲むのに抵抗感すらなくなった。女房に「もったいないじゃないか。あれ使えよ」と言った自分も、いつの間にか平気になった。 いつもお邪魔する仲間の家のマージャンルームには家庭用のものをちょっと小型にした冷蔵庫がポツーンと置いてあって、中には清涼飲料がいっぱい入っている。もちろん、コーヒーや各種のジュース類もあって、水やお茶ばかりではない。ペットボトルやカンは便利だ。お茶にしてもわざわざお湯を沸かさなくてもいいから気軽である。
この仲間はそのお茶やコーヒー、ジュースを自動販売機で売る清涼飲料水販売会社のオーナーである。何台もの車や大勢の従業員を使って、県下各地に設置している系列の自販機を巡回して中の飲料水の管理や集金をしているのである。パチンコ屋さんなど設置場所がいいところに当たれば、一般では考えられないような売り上げをするのだそうだ。お茶やスポーツドリンクなどと並んで水もよく売れるという。
全く別の仲間だが、いつか、こんな愚痴を言ったことがある。
「俺達が汗水たらして売る牛乳は水より安いんだよ。全く、やっていれねえよ」
この男は富士山の西山麓にある冨士豊茂という所で、牛を何頭も飼う酪農家だ。富士山のすぐ麓だから夏は涼しいが、冬ともなれば一面の銀世界。凍てつく、という言葉がぴったりの寒さの中に巻き込まれる。
草がある夏場のうちにサイロに牛達の餌になる枯れ草を確保して越冬しなければならない。牛との生活だからハエだつてブンブン。汚いだの、うるさいだのと言ってはいられない。冨士豊茂は山梨県でも最も大きい酪農基地。八ヶ岳山麓の田舎町からここに婿養子に来た男だから、まさに水は空気のようなもの。今の自分の苦労と重ね合わせるから「水が牛乳より高い」現実に割り切れないでいるのも無理はない。
県外から山梨に来たお客さんが新聞などのインタビューに応えて「水が旨いし、空気が旨い」と口を揃えるように言うのを聞くと「なんとキザな」と感じたものだ。しかし、いったん東京など都市部で暮らしてみると、そのことが逆の立場からよく分かる。
確かに旨い。キザでもなければ、お世辞でもない。たかが、甲府から山梨市の実家に戻っただけでもそれを感じるのだ。しかしその水、旨い、旨いと有頂天になってばかりではいられない。例えば、水道水。最近、滅菌用の塩素が強くなったような気がするのだ。
ブログランキングに参加中です。
↓この下の「山梨情報」をクリック いただけると励みになります。
こちらもよろしくお願いします!

ありがとうございました!
水代わりのお茶もそうだ。山梨では葬式の香典返しにお茶を袋で引くケースが多く、お茶なんかいっぱいあるのに、ペットボトルのそれを買って飲むのに抵抗感すらなくなった。女房に「もったいないじゃないか。あれ使えよ」と言った自分も、いつの間にか平気になった。 いつもお邪魔する仲間の家のマージャンルームには家庭用のものをちょっと小型にした冷蔵庫がポツーンと置いてあって、中には清涼飲料がいっぱい入っている。もちろん、コーヒーや各種のジュース類もあって、水やお茶ばかりではない。ペットボトルやカンは便利だ。お茶にしてもわざわざお湯を沸かさなくてもいいから気軽である。
この仲間はそのお茶やコーヒー、ジュースを自動販売機で売る清涼飲料水販売会社のオーナーである。何台もの車や大勢の従業員を使って、県下各地に設置している系列の自販機を巡回して中の飲料水の管理や集金をしているのである。パチンコ屋さんなど設置場所がいいところに当たれば、一般では考えられないような売り上げをするのだそうだ。お茶やスポーツドリンクなどと並んで水もよく売れるという。
全く別の仲間だが、いつか、こんな愚痴を言ったことがある。
「俺達が汗水たらして売る牛乳は水より安いんだよ。全く、やっていれねえよ」
この男は富士山の西山麓にある冨士豊茂という所で、牛を何頭も飼う酪農家だ。富士山のすぐ麓だから夏は涼しいが、冬ともなれば一面の銀世界。凍てつく、という言葉がぴったりの寒さの中に巻き込まれる。
草がある夏場のうちにサイロに牛達の餌になる枯れ草を確保して越冬しなければならない。牛との生活だからハエだつてブンブン。汚いだの、うるさいだのと言ってはいられない。冨士豊茂は山梨県でも最も大きい酪農基地。八ヶ岳山麓の田舎町からここに婿養子に来た男だから、まさに水は空気のようなもの。今の自分の苦労と重ね合わせるから「水が牛乳より高い」現実に割り切れないでいるのも無理はない。
県外から山梨に来たお客さんが新聞などのインタビューに応えて「水が旨いし、空気が旨い」と口を揃えるように言うのを聞くと「なんとキザな」と感じたものだ。しかし、いったん東京など都市部で暮らしてみると、そのことが逆の立場からよく分かる。
確かに旨い。キザでもなければ、お世辞でもない。たかが、甲府から山梨市の実家に戻っただけでもそれを感じるのだ。しかしその水、旨い、旨いと有頂天になってばかりではいられない。例えば、水道水。最近、滅菌用の塩素が強くなったような気がするのだ。
ブログランキングに参加中です。
↓この下の「山梨情報」をクリック いただけると励みになります。

こちらもよろしくお願いします!

ありがとうございました!
スポンサーサイト