水利権

川


 「川」という字は「鳥」などと共に象形文字の典型。大きな「河」と違って、山間の、のどかで、素朴な流れを髣髴とさせ、街の中や田園地帯をひっそり流れる「せぎ」や「小川」をも連想させる。「川の字に寝る」という言葉もあって、字の形がかもし出すイメージは穏やかな日常そのものだ。





 しかし、その川が知らず知らずのうちに変わってしまった。どの川も水量を減らした。そればかりならまだいい。川は汚れる一方だ。洗剤などを多く含んだ家庭雑廃水や工場廃水が川を汚す。工場廃水のたれ流しは法的規制もあって、さすがに減っているが、下水道化が遅れている地方では、どうしても家庭の雑廃水が流れ込む。





 昔は地方へ行けばいくほど、田舎へ行けばいくほど、川を大事にした。川は人々の生活の生命線だったからだ。人はそこで食卓に上る野菜を洗い、顔や食器まで洗った。だから、みんなが川を大事にした。川自体も自浄能力が強く「3尺流れればお水神様が清める」とまで言った。


川2


 無邪気な子どもが川に向かって小便でもしようものなら、大人たちは「おちんちんが曲がるぞ」といって、戒めたものである。ところが、今は子どもを戒めるはずの大人が平気で川に立小便をし、お母さん達は台所の野菜くずを川に捨てる。川をゴミ捨て場と勘違いしていると思えるような若いお母さんさえいる。





 川自体の水量も減った。無理もない。上流にダムが出来、本来下流に流れるはずの水が灌漑用水としてスプリンクラーで畑にまかれ、上水道水になった。水が減れば汚れを滞留させ、酸素を入れないから自浄作用も低下させる。それが、一方で紛争の火種すら起こそうとしている。


川3



 農業形態や生活環境の変化で人々が忘れかけていた「水利権」という≪寝た子≫を起こそうとしているのである。同じクラブでご一緒するロータリアンに、この地方一帯の水利権組合を束ねる連合会の会長さんがいる。彼は頭を抱えながら、こう言う。




 「地域の水にみんなが無関心になった。それをよいことに行政も水利権者と締結している協定を無視、行政だけの都合で水を使おうとする。例えば水道水への転用だ。水道に使ってはいけない、と言っているのではない。そのバランスを考えなければ将来必ず禍根を残す。田んぼを作ろうと思ってもそれも出来ないし、万一火事があっても川に水の流れがなければ消火作業すら間々ならなくなる。挙げ出せばきりがない。水というものは一つの目的ばかりでなく、多様性をはらんでいるのだ」



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やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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