梅雨と紫陽花

紫陽花  


 雨には紫陽花が良く似合う。雨というより梅雨と言った方がいいかもしれない。我が家の紫陽花は今が見ごろ。植え込みのあっちこっちで花を咲かせている。直径20cmを超すような大きなものもあれば、ひと回りもふた回りも小さいものも。白っぽい花がやがて青く、また紫にも変わる。紫陽花とはよく言ったものだ。その表情は、その時々、見事に変化する。梅雨の合間、夏の日差しを浴びれば、いっそう爽やかに、雨に打たれれば梅雨空の鬱陶しさをぶっ飛ばしてくれもする。


紫陽花3

 紫陽花は思ったより逞しい植物である。放って置くとどんどん枝を増やすし、大きくもなる。だから私は花が終わった後の夏以降、秋口に毎年、かなり乱暴ぐらいに傷めてやる。株が大きくなると周りの植え込みとの調和を損なうからだ。ただ、ここ1~2年の経験からすると、あまり傷めすぎると花は確実に小ぶりになる。


紫陽花2


 初春が梅なら、春爛漫は桜。そしてこの時期の梅雨とくれば花は間違いなく紫陽花だ。日本の四季の中で欠くことのできない存在である。梅や桜と間を置いて全国の紫陽花の名所がテレビや新聞で紹介され、名所はどこも見物客で賑わう。見物客は梅雨空なんて何のその。傘を差してでも足を運ぶのである。梅や桜には雨は似合わないのだが、不思議と紫陽花には雨傘がよく似合うのだ。


雨傘  


 「○○には○○がよく似合う」。どこかで聞き覚えのあるフレーズだ。そう。あの太宰治が「富嶽百景」の中で書いた「富士には月見草がよく似合う」である。その碑は山梨県の御坂峠にある天下茶屋のすぐ近くにある。御坂峠は富士五湖のひとつ・河口湖の高台にあって、正面に雄大な富士を望むことが出来る。


富士には月見草が良く似合う

 この付近には月見草の姿は見えない。太宰が富士によく似合うとした月見草がどこのものだったかは私には分からないが、ここに、その碑が建立されたのは天下茶屋が拠り所であることは間違いない。太宰は天下茶屋に2ヶ月あまり滞在、未完の小説「火の鳥」を執筆。その時の体験を基に書いたのが「富嶽百景」だ。だから、この天下茶屋には一年を通して太宰をしのぶ人達が訪れるし「桜桃忌」には大勢の太宰ファンが集まる。



 月見草は、その名の響きからロマンチックにも聞こえるが、どこの野辺にもありそうな、しがない花だ。夕方に咲き、日中は花を閉じるから人の目には付きにくい。紫陽花のように、どこにでもありそうでいて、どこにでもない花とは違う。いわゆる野辺の花である。甲府盆地のど真ん中を流れる富士川の支流・笛吹川の土手には、かつていっぱい咲いていた。しかし、いつの頃からか、その姿をほとんど見かけなくなった。


紫陽花4

 紫陽花のような逞しさや人気もない。太宰が「富士には月見草がよく似合う」と書かなかったら、とっくに人々の頭の中から忘れ去られていただろう。俳句や短歌にもしばしば登場する紫陽花。一方、太宰に取り上げられて永遠に残る月見草。この二つの花は、はっきりと明暗を分ける。紫陽花に向けてカメラのシャッターを切りながらそう思った。






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やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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