春の便り

梅の花


 「お母さん、が咲いたぞ」

居間のカーテンを開けながら、台所で朝餉の支度をしていた女房に、そう言ったら

 「そう、咲いたの・・・」


どうやら、家の女房は花より団子らしい。その口っぷりは梅の開花に、これといった関心を示すでもなく、聞く耳を持つでもなしで、まったくのうわの空。


 
梅 白


 そんな女房をよそに、私はなんとなく心弾む思いがした。花開いたのは裏庭の中梅の古木。この梅の木は私が子どもの頃から同じような太さだから、100年、いや200年は経っているのだろう。太い幹にはウロが入っている。毎年、勢いよく伸びる徒長子を丹念に切り落としてやるばかりでなく、大きくなりすぎて、剪定がしにくいので、昨年、頭を大胆に切り落とした。白い花は紅梅と違って淡白だが、春到来を告げるのに十分だ。




 我が家には、この中梅の古木のほか、表庭に豊後梅や小梅、紅梅などが何本もある。いずれも樹齢は100年以上の古木だが、威勢があって、紅梅を除いて毎年沢山の実を付ける。紅く見事な花を付けた、しだれ梅は枯れ朽ちたので、昨年、切り倒した。この時、近所の古老は、古木を切り倒す場合、酒と塩で清め、長い生命を労わることを教えてくれた。



梅 赤



 山梨の人ならだれでも知っているが、甲府の郊外に「不老園」という県内きっての梅の名所がある。水戸の偕楽園や岡山の後楽園とは比べようもないものの、その種類は豊富で、毎年この時期には多くの花見客で賑わう。恐らく、その本数は数千本にも及ぶだろう。


不老園
不老園


 日本人は花と言えば桜だが、梅もまた違った味わいがある。花をめでる、などと無粋な私には縁遠い話とは言え、ひと頃、この不老園にはよく行った。仲良しになった管理人は「これ、持って行って・・・」と、帰りがけに必ず盆栽の鉢をもたせてくれた。その時々、種類を違えてくれるのである。




 ところが、所詮は無粋者。この梅の盆栽が一年ともたないのだ。綺麗に花をつけている時には、水もやれば、手入れもする。ところが、花が散ってしまえば、その存在すら忘れてしまうのである。枯れるに決まっている。見事な枝ぶりに、これまた見事な花を付けた盆栽は、無残な姿をさらし、結局は鉢だけがたまる。そればかりか、親父が丹精込めた松やケヤキの大きな盆栽も枯らしてしまったから、庭の片隅には、この盆栽の鉢がゴロゴロしている。だから、盆栽好きの親しい仲間に差し上げている始末だ。




 ロータリークラブでご一緒させて頂いているメンバーの一人に、めっぽう盆栽好きな方がいる。旅館の経営者だが、庭先には100鉢を超す大小の盆栽が。皐月が中心で、やがて向かえる開花に備えて、形の整った枝には青々とした葉が蓄えられている。花はなくても、それは見事で、見る人を飽きさせない。

盆栽     ぼんあi 


 その一画には紅白の梅の盆栽も。もちろん、こちらはこの時期、葉っぱは付けないが、ふっくら膨らんだ蕾が一輪、二輪と花を開き始めていた。お孫さんを慈しむように盆栽を愛しむこの人の傑作なのである。まだ外は寒い。でも春は確実に、そこまで来ている。


盆栽3



.ブログランキングに参加中です。  
 ↓クリック いただけると励みになります。

人気ブログランキング【ブログの殿堂】

ありがとうございました!


スポンサーサイト

comment

管理者にだけメッセージを送る

ランキング参加中です!
人気ブログランキング【ブログの殿堂】
おきてがみ
プロフィール

やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

最新記事
カテゴリ
最新コメント
FC2カウンター
ブログ成分解析
ブログランキングならblogram
検索フォーム
月別アーカイブ
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

全国からアクセスありがとう!

ジオターゲティング
最新トラックバック
アルバム
リンク
忍者ツール
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
FC2ブログジャンキー

「アクセス数が全然伸びない…」そんな悩みをブログジャンキーが解決します!