カジノの友達

 街  

 「ヤマーダサン オゲンキデスカ」

 カリフォルニア州サンディエゴの町のど真ん中で後ろから駆け寄ってきた5~6人の若者達に声お掛けられた。白人や東南アジア系の男達に混じって黒人の女性もいる。みんな親しみを込めてニコニコ笑っている。



 「オオー、アイム ファイン サンキュー、エブリバデー ハウアユー」




 旧知の友たちに会ったような気持ちになった。。継ぎ足しの英語、英語なんてシロモノではないが、この若者達としばらく話した後、それぞれと握手して別れた。




 私の脇で、ハトが豆鉄砲でも食ったような顔で私を見詰めていた女房が言った。


 「お父さん、知り合いなの?でも、こんなアメリカの真ん中で、外人の知り合いに出会うなんて、不思議ね。こんなこと、あるのかしら」


カジノ#12860;


 「お前はバカだなあ。こんな所に俺の知り合いがいる訳ねえじゃねえか。ハワイでの日本人だったらいざ知らず、ここは白人どころか、スパニッシュの方が多いところだぞ。第一、外国人に顔馴染みなんかいるはずがねえよ。カジノだよ、カジノ


カジノ


 このブログをお読みの方々は、ここまでだったらまだお分かりにならないかもしれないが、女房は私のタネ明かしをすぐ理解した。


船


 15日間にわたった大西洋―パナマ―太平洋クルーズのフィナーレを明日に控えた5月2日の昼下がりだった。豚インフルエンザの発生で、アカプリコなどメキシコ2箇所の寄港をすっ飛ばしての、計画外の寄港地・サンディエゴだ。ざっと2,500人の乗客は、3日ぶりに船を降りて事実上、最後となった一日を思い思いに楽しんだ。


カジノ#12861;


 この日は土曜日。約1,200人の乗組員には曜日は関係ないのだが、この寄港地では昼間営業が出来ないのか、カジノのデーラー達も街の散策を楽しんでいたのだ。私の「カジノだよ、カジノ」の一言を簡単に飲み込んだ女房は



 「そうだよね。お父さん、船に乗ってから毎晩、カジノ通い。きっとカモみたいなお客さんだもの、カジノの人たちとも親しくなるはずよね」



カジノ4


 皮肉たっぷりだ。でもその通り。毎晩、毎日、ギャンブル好きの人たちで賑わう船のカジノで、英語をしゃべらない、いや、しゃべれないのは自慢じゃあないが俺一人。デーラー達にとっては≪手の掛かる存在≫に違いない。勝負に強くもなく、ただ一人の日本人だから、目立つに決まっている。名前だって覚えない方がおかしい。 


カジノ#12853;


 事実、私がカジノに行くとデーラー達はニコニコしながら一つ覚えのように「ヤマーダサン、オゲンキデスカ」と声を掛け、ある時期からゲームの要領を教えてくれたりもした。それを見ている白人や黒人、その≪中間≫のお客達もフランクで、いつしか言葉が分からなくてもお友達に。レストランやプール、ボウリング場でも声を掛け合うようになった。



プール


 カジノは、洋上ではフリーに営業するが、港に停泊中はクローズになることが多い。寄港地の国や州でカジノが禁止されている所は営業できないのだ。ギャンブルとは関係ないが、7階の廊下の両側にずらりと並ぶ免税店も、接岸中はシャッターを下ろすのである。






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やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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