役者の妙技

市原悦子


 正直、稽古に裏打ちされた役者とは凄いと思った。語り口調はむろん、声の強弱、話の間合…。いわゆる話術と計算された身のこなしである。稽古が作り上げた血肉に他ならない。千葉県人権擁護委員連合会がホストになって千葉市のオークラ千葉ホテルで開いた関東ブロック大会に講師としてやって来た女優・市原悦子さんの講演だ。




 人権擁護委員の関東ブロックは1都⒑県連(東京、千葉、茨城、埼玉、栃木、群馬、新潟、長野、山梨、神奈川、静岡)で構成されている。大会にはその代表約450人が臨んだ。市原さんは劇団「俳優座」の所属。舞台はむろん、テレビにも出演しているので、茶の間でもお馴染み。どこの局かは覚えていないが「家政婦は見た」の名演技が今でも印象に。


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 講演のテーマは「私の選んだ女優の道~朗読とトークの世界~」。市原さんは80歳を超えている。純白なドレスに身を包み、頭の左側には大きな白い造花を付けて颯爽と登壇した。1呼吸、2呼吸…。口を開かない。だから聴衆は舞台に引き付けられる。やおらに口を開いた市原さんは貧しかった戦時中の市川での生活をゆっくりと、生々しく語り始めた。




 市原さんによれば、やがて演劇に興味を抱き、俳優座へ。「人間(生き様)はみんな違っていい」という。「稽古、稽古。とにかく稽古が好きだった」。そこに市原さんの役者魂と役者としての原点や今があるのだろう。やがてトークはグリム童話の朗読に変わっていくのだが、ここでも聴衆を引き付けてやまない。«芸»とは何か、を見た思いがした。お金を貰う、と言うことの意味をも改めて知らされた。若いタレントさんの、そう言っては失礼だが、口先だけのトークとは、どこか違う。




 人権擁護委員連合会の関東ブロック大会は11都県が持ち回りで毎年開いている。代表でやって来る委員さんも同じで、人権擁護委員の年齢は、その制度の性格上も比較的高い。平均では、恐らく65歳を超えているだろう。世の中で一般的に言う高齢者の集まりかも知れない。お若い方々とは、ちょっと違うのだろうが、2時間近い講演をしっかり聞いていた。聞いていた、と言うより、聞かされてしまった、と言った方がいいかも。




 大会は一方で、理事会や委員会、総会(代議員制)も開かれるが、全体的には、その報告や講演、研究発表、意見交換会などが中心。その内容はともかく、多くの人が職域や業界、あるいは趣味のグループなど、大会とか研究会といった類の集会に参加した経験がおありだろう。失礼な言い方だが、おおよそ面白くも、それほど勉強になるものでもない。




 その内容は概ね、冒頭のセレモニーがあって基調講演や研究発表と続く。最後は懇親会(レセプション)。なぜか、法務省関係は、飲食を伴うこの懇親会を「意見交換会」という。そんなことはどっちでもいいのだが、プログラムの中心に据えられた基調講演や研究発表は、正直言って形ばかりで面白くない。元来、ズボラな私なんか時として、うつら、うつらするのがオチ。ハッと気づいて目を開け、テレくさ交じりに周りを見渡すとやっぱり…。ところが今回は違った。私も含めて居眠りしている人は誰もいなかった。勝手な言い分かも知れないが、講演とは聞かせる側の責任。面白くなかったら居眠りもする。




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やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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