蜂の一刺し

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 痛い⁉。一瞬、なんの痛みなのか分からなかった。畑の草を取り、その周りの石崖の草取りをしている最中の出来事。梅雨の合間とはいえ、暑い日の昼下がりであった。痛みの原因を理解するのに時間はかからなかった。少なくとも2~30匹はいただろう。蜂が私の顔を目掛けて襲い掛かって来た。両手でそれを振り払いながら逃げた。




 あしなが蜂に似た蜂であった。でも違う。草むしりの時に、石崖の間にあった蜂の巣をつかんでしまったのだ。巣は大きかった。突然、平穏な生活を脅かされたのだから怒るに決まっている。蜂だって、びっくりしただろうし、こちらだって分かっていれば、あえて怒らすようなことはしなかった。命がけの蜂の一刺し。痛みは半端ではなかった。


ハチ2


 都会にお住まいの方だと、こんな事象に遭遇することは、ないだろう。職場をリタイアして田舎に帰って来た人間だが、元はと言えば、百姓の倅。でも、もう何十年も蜂に刺されたことはなかった。わんぱく盛りの子供の頃は、虫刺されも含めて日常茶飯事であった。




 山梨のこの辺りは長く米麦養蚕の地帯だった。昭和30年代の中ごろを契機にブドウや桃の果樹地帯に。果樹栽培は米麦養蚕と違って病害虫の駆除が必要不可欠。今でこそ全国的に桑は姿を消したが、この桑、消毒の必要はない。病害虫には極めて強い。だからこそ蚕の餌になるのだ。餌となる桑の葉に仮に消毒をしたら…。その先は言わずもがなである。




 農家は除草剤も含めて農薬を使わなかったから、蜂やカブト虫などの昆虫もいっぱいいたし、土の中にはミミズやモグラもいた。子供たちは、その蜂の子やミミズを取っては魚釣りの餌に。それほど蜂の巣はいっぱいあった。当然、子供たちも蜂に刺されまいと注意を払い、それへの知恵も身に着けた。わんぱく小僧は、それでも刺されて痛い目に。

虫取り


 ところが農薬の犠牲になって蜂が姿を消すと、いつの間にか警戒心が人々の頭の中から失せてしまったのだ。鈍感な私なんか刺されて痛みを感じても蜂の姿を見るまでは、その«事実»が咄嗟に理解できない始末である。人の置かれた環境とか、習慣とは恐ろしい。




 因果応報。果樹地帯では、今でこそ当たり前になってしまったが、珍現象も起きている。人工授粉という作業だ。桃、スモモ、サクランボ…。自分たちが農薬で蜂を殺してしまったツケに他ならない。黙っていても蜂がやってくれていた受粉の作業を人間自らの手でやらなければならないのである。大きな刷毛を使うとはいえ、小さな花を一つ一つ受粉していくのだから大変な作業であることは都会の方々でもお分かりいただけるだろう。殺してしまったといえば、蛍や小川のフナやコイ、ドジョウも同じ。小川も死んだ。




 「花から花へ…♪」。この歌の主役はチョーチョ。蜂だって花から花へと渡り歩いて蜜を吸い、結果的に受粉をしてくれるのである。最近では蜂を貸し出す業者も現れた。«受粉お助け隊»だ。商売人は逞しい。ハウス栽培者向けに一箱10,000円前後で貸し出すのである。


ハチ1


 「蜂の一刺し」。時の宰相・田中角栄が、かのロッキード事件で受託収賄罪に問われた公判廷で証言台に立った田中の秘書の妻・榎本美恵子が発した名セリフ。蜂は一度刺したら死ぬのだそうだ。当時「流行語大賞」があったら間違いなく大賞を獲得していただろう。




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やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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