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雪を恐れた葡萄の剪定

葡萄畑1  


 「お宅では大根作っていないんでしょう。うちの畑の大根、抜いてってよ。俺、畑に行かないけど。遠慮はいらんから、たくさん持ってけし」



 私の家の葡萄園を耕作してくれている人が久しぶりに顔を見せた。葡萄栽培農家は遅い人でも10月半ばには収穫を終え、その後の追肥かけも済まして、今は一段落の時。夫婦や農家仲間で旅行に行ったりするのもこの時期だ。



 「今年も旅行に行って来たけ」



 「沖縄に行ってきたさ。女房を連れての二泊三日。沖縄は暖かいね。でも、今年は葡萄がよくなかったから、いまいち気分が乗らなかったけどね」



 「いいじゃない。お天道様との勝負だもの、来年があるさ」




 「そうだよねえ。そう考えなけりゃあ、百姓などやっちゃあいられんよねえ」


葡萄畑4


 この人に委ねている我が家の葡萄園は約0・5ヘクタール。賃借料は全くの只同然ということもあってか、仕事以外にも、時々来ては気を使ってくれるのである。もちろん、今はその時期ではないが、柿の消毒の時期には「葡萄のついでだから、俺がやってやるよ」と、「自分でも出来るよ」という私を振り切って消毒の作業をやってくれるのである。




 「今日はねえ、葡萄の剪定をボツボツやろうと思ってねえ」




 「まだ早いんじゃないの。いつもなら年が明けて1月、2月じゃない」




 「今年はヘンな予感がするんですよ。またいつかのような大雪にでも見舞われたら大変だものねえ


葡萄畑5  


 もう10年近く前になるが山梨県地方は60年ぶりという大雪に見舞われた。その時、甲府盆地、特にこの地方の葡萄農家は大きな打撃を受けた。大雪といっても積雪量は6~70cmだが、雪の重みで葡萄棚が押しつぶされたのである。あの細い葡萄棚の針金や葡萄のツルに積もった雪が棚を押しつぶし、中には壊滅状態に遭った所もある。




 農家はその教訓を痛いほど知っている。しかし、一年間の労を癒すのもこの時期。のど元過ぎれば、もあるが、農家のみんなが一服したいのもこの時期なのだ。



 「よく間に合わせるねえ。でもそれがいいさ。先手必勝だもの」




 収穫期を遠に終えた葡萄棚は木枯らしに吹かれて枯葉を落として丸裸。来春まで、いわば休眠状態に入るのである。普通なら果樹農家はこの葡萄が芽を吹いて活動を始める前の少なくとも2月頃までに剪定を終えればいいのだ。と、言ってしまえば簡単だが、その作業は寒風が吹きすさぶ中での仕事。しかも、葡萄園だから、甲州名物といわれる空っ風をよけてくれる物は何もない。低い葡萄棚の下で、上を向きっ放しでの作業である。


葡萄畑3



 追肥かけが終わりの仕事なら、この剪定作業は葡萄栽培の最初の仕事である。絶対に避けて通ることの出来ない作業なのだ。大喜びで沢山の大根を持ち帰るこの人はニコニコしながら「こんな立派な大根作るとはねえ・・・。本格的な百姓顔負け。まったく脱帽ですよ」と、お世辞も忘れなかった。




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プロフィール

やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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