勝負師の言葉

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 かつては現役の勝負師であり、今は若い勝負師の卵をを束ね、育てる立場にある相撲部屋の親方の言葉には、一つ、一つ説得力と重みがあった。そんなことを言ったら失礼だが、決して歴史を重ねた名門部屋でもない高田川部屋の親方と話していて、そう思った。高田川親方(元関脇・安芸乃島関)は、当年41歳だという。私と並べてみてはいけないが、年齢的には、親子に等しい。しかし、残念ながら私の方が«脱帽»だ。言うこと、成すこと、つまり客人への接し方、弟子たちの教育など相撲部屋の管理に関わる考え方。何よりも「なるほど」と思わされたのは、弟子たちに対する愛と鞭の使い分けだ。




 「言葉で分からなければ、ぶん殴ります。蹴とばしもしますよ」


 その一方で、努力や正攻法の結果には、負けても褒めてやる、という。仮に、私なら、弟子が負けて帰ってきたら「しっかりしろ!」と、やみくも叱ってしまうだろう。ところが、この親方は「セオリーにのっとった相撲を懸命に取ったのなら、仮に負けたとしてもいい」のだという。「きちっとした相撲を取ることを覚え、身に着ければ必ず明日がある」と、信じているのだ。「正攻法」、「セオリー」。ある将棋界の師匠からも、そんな話を聞いたことがある。


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 私達お客の世話をしたり、部屋の雑用をしているお相撲さんの顔や、振る舞いを見ていると、一人ひとりが、みんな、あどけなさが残っている。身体こそ大きいが、考えてみれば、みんな10代から20代前半の若者ばかり。そこには、一般に、その年代にありがちな「引きこもり」も、ましてや「いじめ」もない。そんなことをしたら、親方や、おかみさんは絶対に許さないだろう。親方は師匠(先生)であり、かみさんは、お母さんなのだ。




 「ワシらの相撲部屋に入って来る連中は、みんな≪やがては≫横綱を夢見ているんです。でも、この世界・勝負の世界は、そんなに甘いもんじゃない。怪我もすれば、能力の限界だってある。でも、そいつ等を支えてやるヤツがいなけりゃあいけないんです」


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 かつて、お話をさせていただいたことがある高砂部屋の尾上親方・後の高砂親方の、そんな言葉を思い起こした。角界は、いくつもの部屋に分かれた≪相撲一家≫なのかも知れない。親方は、もうとっくに故人となられたが、当時、東京・東十条に大衆向きと料亭風のちゃんこ料理屋を持っていた。




 そこで働いているのは、見るからに若いお相撲さんばかり。厨房で働くのも、料理をテーブルに運ぶのも、みんな大男の若者。可愛いお嬢さんもいなければ、職人技の板前もいない。「ちゃんこ料理」の看板が掛かっているので、なんとなく理解させられるのだが、もし看板がなかったら、誰だって違和感を感ずるに違いない。厳しい稽古に耐えながらもフンドシを外して土俵を去り、浴衣一枚になった若者たちはみんな生き生きしていた。


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 子供の虐待や子供間のいじめ。それを苦にした自殺。私は人権擁護委員を仰せつかっている。そんな事案に直接、間接を問わず、関わることがあるのだが、その解決策のヒントが角界にもありそうに思えた。(次回へ続く)


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こんばんは

蹴とばそうがぶん殴ろうが、そこに愛情がありその相手を「よりよくしてあげたい」という真心がある限り、殴られてもきっと恨みはしないし、物事は上達すると思ってます。最近何かと話題に上る「体罰」はきっとその愛情とか真心にかけているから相手を死に至らしめたり傷害を負わせたりするのでしょうね。
ただ殴ればよい蹴とばせばよいというものではなくその加減も必要ですよね。指導者と呼ばれる人に、殴られたこともなければ蹴られたことがないという人もいるのではないですかねえ??だとしたら加減なんかわからないですものね。
角界に学ぶことは多いような気がします。

そこなんですよねえ~・・・

 見張り員さんが仰る、そこなんだと私も思います。こっぴどく叱られたり、ましてやぶん殴られたことのない«優良児»が先生や、学校での各種スポーツの指導者になる。誰が考えても帰趨するところは決まっているような気がします。

 つまり、殴り方を知らないばかりか、その意味すらよく理解できずに、いわば感情が先立ってしまうケースが多いのではないかと思えてなりません。私は、聴き様だけで«暴言»と言われる叱咤、激励や体罰を、簡単に否定してしまう考え方には疑問を持っています。本当に子供たちやお弟子さんを可愛く思い、成長させようとする心があれば、むしろ、自然だとさえ思うのです。世の中には「愛のムチ」という言葉があります。
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やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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