秋の朝顔

朝顔


 「恐れ入谷の鬼子母神」

 日常会話に中でもよく使われるフレーズだ。「恐れ入った」「まいった」。そんなタイミングで使う平たい言葉である。江戸時代、ある大名家の奥女中が腰に腫れ物が出来た。そこで入谷の鬼子母神に願掛けしたら見事に治った。このことを狂歌師・太田蜀山人が「恐れ入谷の・・・」と洒落たのが江戸っ子に受け、流行ったという。江戸の中期のことだそうだ。本人は意識してはいないのだが、麻雀でヤクマンを振り込んだ時などにしばしばこの洒落が出る。そんなさもない日常の言葉としても定着したのである。


朝顔3


 東京・入谷といえば朝顔市。江戸時代から続くという、この朝顔市はちょっと知られた東京の夏の風物詩だ。風流を愛し、それを気風とした江戸庶民にとどまらず、今も近郷近在から善男善女が集まる。今年も7月6日から8日まで開かれ、大勢の人達で賑わった。時代とともに減っていく縁日の風景がそこには残っている。そんな所に行くと、あくせくとした日常がウソのよう。異次元の世界に居るような気分になるのは私だけだろうか。


朝顔4


 朝顔は俳句でも夏の季語。入谷の朝顔市もそうだし、打ち水をする庶民の軒先と朝顔はよく似合う。一首ひねり出したくもなる光景だ。ところが彼岸の中日も過ぎた今、山梨の我が家では、この朝顔が満開。満開というより次から次へと咲くのである。それも直径13cm~15cmもある大輪だ。色は水色がかった紫。深紅にも見える。


朝顔2


 毎年、親しい友達が園芸用の小さなポットに植えつけた苗を6~7本届けてくれるのだ。5月の中旬頃、女房と二人して庭先に植え付けをする。しばらくして近くの山路から採ってきた小箸竹で大きな棚を作ってやると朝顔のつるは空に向かってどんどん伸びる。その逞しさはすごい。竹の棚の頂上まで伸び、その先、行く先を失うと今度は垂れ下がるのだ。そして9月のはじめ頃から一輪、二輪と花を開き始めるのである。


蝶1    蝶2


 開花期は入谷の朝顔市からすれば2ヶ月以上も遅い。開花の時期もさることながら見事な大輪は我が家を訪れる人達の人気者。「是非、種を・・・」という。ところが、この朝顔、どこにも種らしい種を付けないのである。葡萄園の片隅で支柱に這い登るようにして咲く野生の朝顔は、前の年、自らが落とした種に逞しく花をつける。私に朝顔の苗をくれる友達も、どこからかもらってくるのだが、その仲間も「企業秘密」なのか、育成の仕方を教えてくれないという。




 朝顔とは不思議な花。桜のように満開に咲くのではなく、一輪、一輪、飛び飛びに咲く。だから風情があるのかもしれない。戦国の世、あの千利休満開の朝顔を一輪だけ残して、全てを摘み取り、見物の秀吉を迎えたという。有名な話だ。千利休はきっと一輪の朝顔に茶の心を写したかったのだろう。


庭


 とにかく次々と花開く朝顔を横目に7月から咲いていた百日紅(さるすべり)は、さすがに勢いをなくし、紅い花をどんどん落としている。我が家の秋もどんどんと深まっていく。因みに朝顔の花言葉「愛情」とか「あなたは私に絡みつく」だそうだ。




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やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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