富士の初冠雪

富士山



 今年も数日前に富士山に初雪が降った。平年と比べると6日も遅いという。富士山の初雪は里の秋の深まりを麓の人々に実感させ、その先に冬が近づいてくることを告げるのである。初雪だから≪儀礼≫みたいなもので、富士山をすっぽり包むような積雪ではない。形ばかりの薄化粧だ。富士の初雪はいつもなら麓でも観測できるのだが、今年は台風18号の接近で天候が大きく荒れ、雨と雲の中。気象台が発表してくれなければ気付かなかっただろう。台風一過、青空が戻ってきた時には初冠雪は消えていた。




富士山2



 里の秋も早い。この間まで畑の隅々や土手のあちこちで真っ赤に咲いていた彼岸花もいつの間にかその姿を消し、その上や付近一帯の葡萄棚の葉も黄色く染まり始めた。棚にはもう葡萄の房はない。果物の世界も巨峰やピオーネ、甲州など秋の葡萄から石榴や柿など晩秋の果物へとバトンタッチしていく。自然のリズムは正確で、富士の初雪と同じように、一週間、10日と狂わない。自然は正直だ。





 そういえばアッという間に日も短くなった。一日の始まり、日の出も際立って遅くなり、日没も日ごとに早くなっていく。誰が言ったか知らないが「秋の陽はつるべ落とし」とはよく言ったものだ。ひと頃なら朝は4時といえば明るくなり、農家は畑に出た。夕方も7時半過ぎまで仕事が出来た。



景色


 畑仕事など多少の仕事はあるにしてもサラリーマン時代のように拘束と覇気のある一日ではなく、いわば毎日が日曜日のような生活にしても日が短いと、なんとなく損をしたような気がしないでもない。世に言う「秋の夜長」だからといって、今では読書にふけるわけでもない。ただパソコン、インターネット遊びだけは存分にできる。ムチウチ症の首さえ痛くなければのことだ。




ススキ
 


 つい先頃までは咲いていた彼岸花。なぜかこの地域の人達は「ハッカケババア」と呼ぶ。ある程度ものを考えるようになって、どうしてだろうと考えたこともある。彼岸花はスーッと30cmぐらいに真っ直ぐ伸びたグリーンの茎の頭に紅い花を咲かせる。つまり、茎と花だけ。葉っぱをつけないのだ。


彼岸花



 「ハッカケババア」は「歯っ欠けばばあ」ではなく「葉っ欠けばばあ」からきたのではないかと自分勝手に考えてみたりもした。とにかくグリーンの茎にどぎつく紅いそれも、お世辞にもスマートとはいえない花。しかも墓地などに顔を見せて咲かせるので、なんとなく不気味でさえある。だからこの付近だけかも知らないが、どちらかというと敬遠する。畑や野から摘んで来て花瓶に飾っている光景など、この歳になっても観たことがない。



彼岸花2



 秋といえばその象徴の一つに石榴がある。これもよく観ればグロテスクな果物である。それゆえか絵にもなる。「石榴のような傷口・・・」などと、そのさまの形容の言葉にも使われたりもする。柿や栗、林檎などとともに石榴を画家達は好んでそのモチーフにする。その部分部分が持つ色合いといい、形といい、全てが絵にも字にもなり易いのだろう。富士の初冠雪を横目に里の秋も冬へとリレーする秋のゴールへ向かってまっしぐらだ。


ざくろ  


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やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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