種まきのコツ

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 そうだったのか。山間の露天風呂で聞いた老人の話に一つ一つ頷いた。種まきや、その後の手入れ、管理のコツ。片田舎と言っていい、山梨の百姓の倅に生まれながら東京での学生生活も含めて45年以上もの間、百姓の世界の外にいた。




 考えてみれば、そのブランクが簡単に埋まるはずがなく、「百姓の倅」というだけの“潜在的な自信”など通じるはずもない。「職場をリタイアしたので、親が残してくれた、だだっ広い農地で今度は百姓をやろう」。世の中そんなに甘くない。




 ほうれん草や人参など野菜の種まき。百姓の入り口だ。何のことはない、極当たり前のこと。ところがお恥ずかしいかな、この歳になるまで、そのコツを知らなかったのである。「かける土は蒔く種の三倍」。老人は言った。


芽


 「だってそうだろう。ほうれん草でも、人参でも、あの小さな種に沢山の土をかけられたら、芽を出す前に窒息してしまうよ。小さな芽が表に出れっこないさ。素人が野菜作りで失敗するのは、たいていが種まき段階だ」




 考えてみれば、その通り。百姓を困らす雑草は、自分で付けた種を地べたに落とすだけで、その翌年には何十倍も、何百倍もの芽を出す。誰も土をかけてはくれないのだ。土をかけて貰うのではなく、土に潜って芽を出すのである。そう考えると、土などあえてかけなくてもいいくらいだろう。もう一つ。ほうれん草などの場合、一晩、水につけて冷蔵庫で寝かせ、水を切った上で播種するのもコツ。石灰をまき、酸性土壌を中和するのは、言うまでもない。


雑草



 雑草に学べ、である。人間にも言えそう。暑さ、寒さを人為的に操作。「安全」の名のもとに、子供達を「小さな危険」からも遠避ける。そんな子供に冒険心など培われるはずもないし、第一、危険への免疫なんか生まれるはずもない。よしんば、親がいる内はいい。守ってくれる親がいなくなったら…。過保護は子供の内だけ。大人になったら親はいない。




 そんな子供が親になる。そこで過保護の怖さを気づけばいいのだが、育ちは育ち。そのまま“立派な”親になる。我が子の“安全”が少しでも損なわれたり、ましてや先生にゲンコツの一つも貰おうものなら、学校に飛んでいって「どうしてくれる」と文句を言う。対する先生も先生。同じような家庭教育を受けた人間だから、それに毅然とした対処が出来ない。その繰り返しが続いていくのである。


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 週末の土曜日。若いお父さんが二人の男の子を連れて露天風呂に入って来た。小学校の低学年か、幼稚園の年齢に見える二人の子供は、大はしゃぎ。露天の湯船を奔放に泳ぎ始めた。湯しぶきが上がる。最初は目を細めてニコニコしていた周りの大人達も次第に顔をしかめ始めた。
 ところが若いお父さん。無邪気に、というより乱暴に湯船で遊ぶ我が子を見てニコニコ笑っているだけ。老人は小声で言った。「今時の若いのはアレだよ。子供を叱ることを忘れちまった。困ったもんだよなあ…」。更に老人は「芽が出ないのは種が悪いんじゃない。蒔くヤツが蒔くすべを知らないから悪いのさ」とも言った。




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やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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