星のロマンとホタル族

夜空1

 寒いから外に出るのが億劫だが、冬の夜空は美しい。満天に星だ。宵の明星も見えれば、お馴染みの北斗七星も。おうし座やふたご座、こいぬ座、オリオン座も見えるのだろうが、小学校時代、ちゃんと先生の話を聞いていなかったから、分かりっこない。星座の知識があったら、夜空の見方もちょっとは違っただろう。





 私が住む山梨市のこの辺りは甲府盆地の中でも高台だから、満天の星の下と言うか、延長線上には、これまた宝石のように街の灯りがキラキラ輝いて見える。「あの辺りが友の住む石和温泉郷か・・・」。「あの山付きの光は桃の産地・一宮町千米地のあいつの家か・・・」。寒空の下で夜空と夜景を眺めるのだ。何の事はない。女房や娘が嫌がるからタバコを吸うため、仕方なく外に出て目に入る夜空なのだ。


夜景
近所の笛吹川フルーツ公園から見える夜景
「新日本三大夜景」に選ばれました
画像:笛吹川フルーツ公園HPから


 寒い。でも炬燵の中でミカンやお菓子をムシャムシャ食べながら娘とたわいもない話をしている女房には、この美しさは分かるまい。ざまあ~見ろ、と言いたいところだが、やっぱり寒い。何で、亭主の俺が・・・と、思わないでもない。でも、そんな夜空を眺めながらの一服も、まんざらでもない。負け惜しみなんかではない。




 世に言うホタル族。タバコを吸う時、事実上の締め出しを食うのは、何も今に始まったことではない。今ではグズグズ言われる前に自分で外に出る。その時期、時期、星座の位置は違うのだが、冬の夜空はひときわ美しい。空気が澄んでいるからで、夏の夜空、ましてや春の夜空とはまったく趣が異なる。一つ一つの星が氷のように、いかにも冷たく輝いているのだ。


夜空



 一等星、二等星、三等星・・・。満天の星は何事もないように悠然と、堂々と輝くのだが、そのひとつが東の空から西の空に静かに、しかも一直線に動く。もちろん、流れ星ではない。一定間隔で点滅を繰り返しながら飛ぶ飛行機の灯りである。大宇宙の中をゆったりと泳ぐ異端児の星に見えるのだ。




 その後を、またもうひとつの灯りが。その後にも・・・。大宇宙というキャンパスだから一つの空間に見えるが、その間隔は10分前後はあるのだろう。管制塔の誘導で次々と飛び立つ夜の成田空港が目に浮かぶ。山梨の上空は外国航路になっているようで、昼間は白い飛行機雲の尾を引いて同じように飛んでいくのだ。あのツンドラ地帯のシベリア上空を飛んで、ヨーロッパに行くのだろうか。夜8時を過ぎると飛行機はウソのようになくなる。



夜空2


 そんな夜空の星と飛行機を眺めながら、もう30年前になる日航機の御巣鷹山墜落事故を思い出した。 同時に頭をよぎるのが山崎豊子の小説「沈まぬ太陽」。今の日本航空を暗示さえしている。




 「見上げてごらん 夜の星を・・・♪」



 国民的なアイドル歌手・坂本九も一緒に逝った。高校時代の恩師の一人娘さんも一緒だった。もちろん、今見る定期の航路であるはずがない。東から西ではなく、イレギュラーして南から北へとフラフラ飛んで群馬県の御巣鷹山へ。お盆に入ったばかり、夏の夜の出来事だった。タバコをふかし、寒空を見上げながら坂本九の歌を寂しく口ずさんだ。


空

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やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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