山のお寺の鐘

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 「♪夕焼け小焼けで日が暮れて 山のお寺の鐘が鳴る…」


 誰でも知っている童謡「夕焼け小焼け」の一節だ。大正時代の中期に中村雨紅が作詞したものだが、大正、昭和、平成とざっと100年の年月が経っても微塵も古ぼけない。童謡とは、押しなべてそんなものかも知れない。時代が進化し、どのように変わろうとも人間の在り様、純粋な心は変わらないと言うことだろう。殺伐とした現代社会の中での救いだ。




 毎日夕方の5時になると、お隣の甲州市から、この歌のメロディーが防災無線の放送に乗って流れて来る。甲州市は私が住まいする山梨市と目と鼻の先。笛吹川(一級河川)を挟んで向かい側なので、地元の放送と同じように、よく聞こえるのだ。一方で、こちらは不定期だが、地元の山の麓にあるお寺(菩提寺)からは鐘楼の鐘の音が。いずれも心を洗われる気持になる瞬間である。




 人がそれぞれの心の持ちようで受け止める防災無線のメロディーが意味する「山のお寺の鐘」、その一方で実際の山寺の鐘楼からの鐘の音。その在り様は全く違うが、聴く人の心の内では、なぜか同じ響きを持つのだ。時を知り一日の安寧に心を休めるひと時にもなるだろう。少なくとも人間が純粋な気持ちになる瞬間であることは間違いない。


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 先ごろ菩提寺総代会の新年会に先立って本堂で営まれた新年法要の後、和尚は寺の鐘突き堂について触れた。和尚によれば、檀家の浄財で出来たこの鐘突き堂、もう30年の歳月が流れると言う。大きな釣り鐘は新潟県の高岡市で鋳造された立派なものだから、びくともしないが、橦木(しゅもく=鐘突き棒)は擦り減り、交換を余儀なくされた。


 

 この「しゅもく」と言う言葉。あまり聞きなれない用語だが、私たちの身の回りに、何処にでもある。そう。ご家庭の仏壇にも備えてある小さな鐘を叩く棒である。Tの字型であったり、Iの字型、つまり棒だったりするのだが、この「しゅもく」の「しゅ」の字は手偏の「撞」。これに対して鐘突き堂の突き棒・「しゅもく」は木偏の「橦」。漢字とは微妙な所まで区別しているのだ。仏壇の前で、そっと手を合わせ、心を込めて叩く鐘と、鐘楼で力いっぱい突く鐘。その時の人の心の在り様は全く違う。漢字はそこを見逃さなかった。




 夕暮れに山のお寺で鳴らす鐘は後者。力いっぱい突くから、その鐘の音は周囲の山々にこだまして、いやが上にも人々の心に沁みる。相乗効果をもたらすのである。




 昼間の時間が最も短いとされる冬至からあっという間に一か月以上が経った。日の出もひと頃に比べると早くなり、日没は確実に遅くなって来た。




 童謡「夕焼け小焼け」が何時の季節、何時の時季を想定して作られたものかは、私には分からないが、この時季、夕方5時半、お隣の甲州市から流れて来る「夕焼け小焼け」のメロディーは丁度、夕暮れ時。「♪…山のお寺の鐘が鳴る」の後に続く「♪おお手手つないで みな帰ろ…」の歌詞にぴったり。しかし、夕方まで外で遊ぶ子供たちはいなくなった。わんぱく小僧などという言葉は、今や死語になり、子供たちは塾に通ったり、家の中でファミコン遊び。童謡「夕焼け小焼け」は、今風に考えれば、やはり古き歌なのか…。




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Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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