冬の草と百姓もどき

梅1


 朝晩、特に朝は寒いが、その寒さも何となく和らいで来た。陽も知らず知らずのうちに長くなり、夕暮れも冬至前と比べれば、2時間近く伸びた。庭先の白梅は満開となり、遅咲きの紅梅も一輪、また一輪と花を開き始めている。一足遅い杏子やスモモも固い蕾を心なしか膨らませて、確実に春の足音が…。




 畑の草も目に見えて伸び、気になるようになった。こちらも花を付け始めるのである。放っておいたら来年に向けて≪苦労の種≫をいっぱい付けるのだ。何十倍、いや何百倍もの種を蒔き散らすことになるのだから、ここで退治するのが肝心。先手必勝である。幾分とはいえ、寒さが和らいだことを好期と捉え、畑に出始めた。まずは、その除草から。




 管理機と呼ばれる耕運機での草取り。冬の間、怠けていたせいもあって疲れるばかりか、こちらはやむを得ないが、持病の腰痛にもてテキメンに響く。出かける機会は結構多いものの、何処に行くのもみんな車。田舎が故に、欠くことの出来ないマイカーが結果的に≪足で歩く習慣≫を減らし、そのツケをこんな所で支払わなければならないのである。


雑草


 いくらマイカー生活とはいえ、腰椎手術(昨年)の後を受けた定期検診やボランティアとも言える機関の会合などで、東京に行けば、いやが上にも歩かなければならない。都会にお住いの方々ならお笑になるかも知れないが、普段、歩く習慣がない田舎者にとっては、JRや地下鉄の乗り換えだってバカに出来ないのである。連絡通路の長さには、うんざりさせられる。うんざりどころか、苦痛にすら感ずるのだ。若い時分、つまり、学生時代やサラリーマン現役2年間の在京生活では、全く感じなかったこと。




 収入にもならない畑の面積は結構広く、管理機や立鉋を使っての草取りは、あと2、3日はかかるだろう。その後には、柿や林檎の木の剪定作業も待っている。「寒い」を理由に後伸ばしにして来た。4反歩ほどの葡萄園は数年前、思いきって切ってしまったものの、一部は≪自家用≫に残してある。柿は生食用の「富有」や枯露柿用の「甲州百目」など。果樹は、この時期に剪定してやらないと収穫を大きく作用するのだ。




 剪定作業は脚立を使う。でも高い所に上るのが怖くなった。若い頃だと平気だったのに、今では、その上り下りにすら苦を感ずる。特にアルミ製の脚立は怖い。軽いので、持ち運びには楽である半面、ひっくり返えり易いのである。それが基で大怪我をした知り合いが何人もいるし、自らも怪我こそしなかったが、何度となく経験した。




 冬の草は、夏の草と違って逞しく根を張る。気温や日照時間、それに雨(水分)が少ないからに他ならない。人工の知恵で季節を問わない人間どもと違って、自然界の動植物は皆同じ。例えば冬眠するクマは秋の内に体力、特に脂肪を蓄え、身体を維持する。人間だって、ある意味では同じ。「夏痩せ」という言葉はあるが「冬痩せ」という言葉は聞かない。




 間もなく彼岸。果樹農家にとどまらず、私達百姓にとって本格的な農作業が始まる。玉ねぎの植え付けは昨年の内に終わっているが、ジャガイモの蒔き付けは、これから。予め、その床づくりを。種芋は農協を通じて用意済みである。巻き付けはお彼岸過ぎが目安だ。




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やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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