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改元と枕詞

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 オレは偏屈オヤジなのか、バカなのか…。元号が「平成」から「令和」に変わる前、日常の、ことある度に「平成最後の○○」と言った具合に«枕詞»が付いた。5月1日、「令和」に変わったら「令和になって初めての〇〇」と、また、この«枕言葉»をくっつけるのである。。元号の改定は歴史を捉える意味でも、確かに大きな出来事。でも事象のこと如くに「平成最後の…」、「令和最初の…」と、あちこちで聞く度に「なんで、こんな枕詞を繰り返すの?」と、ちょっと首を傾げてしまうのだ。でも、そんな自分も会議などで「平成最後の…」、「令和最初の…」とやっている。




 今度の元号の改定は、これまでにないパターン。従来だと、こんな枕詞を付けようがなかった。今度のように生存中の皇位継承と違って、天皇崩御によるものであった。昭和から平成への改元は混乱の中での移行。足掛け64年、60歳定年下で官民を問わず、«その時»に遭遇した人たちは«前例»を知らないのだから、今考えれば、混乱するのも無理はない。混乱と言うより、対応に困惑した、と言った方がいい。




 昭和天皇の崩御は1月。松が明けようとする時期であった。「下血」報道で、事態を何となく察しながらも、いざ、その時に遭遇すると、みんなが慌てた。各種行事の幕開けに使う花火や太鼓はむろん、正月の祝賀行事も急遽、中止。中止。あちこちで予定していたニューイヤーコンサートにも及んだ。全てが戸惑いの中での«にわか対処»であったことは間違いない。混乱が混乱に輪をかけた。




 中には今考えれば、笑い話のようなことも。ある大きなお店の宣伝担当課長。同社のロゴマークに紅い丸が大きく入っていたから頭を抱えた。「紅を反転、黒にしなければ…」と言うのだ。「消費者に誤解や反感を買ったら元も子もない」と言うのである。動かしようもないはずのロゴマークにまで神経を尖らせた。

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 枕詞とは昔の歌や文に見られる修辞法の一つで、特に和歌などで特定の語句に冠して修辞した句調を整える語句を言うのだという。日本人は古来、この枕詞が好きな国民なのかも知れない。平安、室町の時代から、和歌を詠んだ文化人たちは好んで、この枕詞を用い、後世に数々の名歌を残した。元号「令和」の元(出典)となった万葉集もその一つだろう。




 山梨市など甲府盆地の峡東と呼ばれる地域を北から南へ縦断するように流れる一級河川・笛吹川の一角に「差出」という所があって、そこには、こんな歌が刻まれた大きな歌碑がある。




 「君が代は 差出の磯に 鳴く千鳥…」


 「君が代は…」。そう言えば、こんなこんな言葉(枕詞)が付いた歌はいっぱいあって、あっちこっちで、お目にかかる。国歌もそうだ。「差出の磯」の「差出」という地名も同じで、この「差出」は「差し出たる所」という意味だから、何処にでもあるに決まっている。ギターリストでもあった山梨出身の作家・深沢七郎は小説「笛吹川」中で、かつて、この「差出の磯」にあった茶店「ギッチョンかご」に触れている。どんな枕詞もスュチュエーションを変えれば、新鮮にも映る。「令和最初の…」も、その時々の事柄さえ変われば、当面、いくらでも使えるのかも知れない。




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やまびこ

Author:やまびこ
 職場を離れた後は«農業もどき»で頑張っています。傍ら、人権擁護委員やロータリー、ユネスコなどの活動も。農業は«もどき»とはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定もします。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは、身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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