梅雨と葡萄
今年は梅雨が長い。それにしてもよく降る。梅雨だから、といってしまえばそれまでだが、西日本一帯では、その梅雨前線と台風も絡んで豪雨をもたらし、あっちこっちに被害のツメ跡を残した。山梨のこの辺りの葡萄栽培農家は、房作りや消毒作業が思うように進まず、日増しに房を大きくする葡萄棚を尻目に梅雨空を恨めしそうに見上げた。
実はこの梅雨と葡萄棚は無縁ではない。フランスやイタリアなど世界各地で見られる葡萄の栽培方式は、いずれも立ち木。棚で栽培する方式は日本だけといっていい。山梨にお出でになった方々ならご存知だろう。平地といい、傾斜地の山付き地帯といい、みんな棚による栽培なのだ。もちろん山梨ばかりではない。お隣の長野もそうだし、梅雨のない北海道を除いて、みんなこの方式である。先頃、中国や千葉からの友人と訪ねた山梨県甲斐市のサントリー登美の丘ワイナリーに見られる立ち木の葡萄園は全体から見れば稀なのだ。
その理由は紛れもなく梅雨。葡萄が房を形成、成熟へ向かおうとする6月から7月、日本列島は毎年、梅雨の洗礼を受けるのである。降った雨は当然のことながら地表から跳ね上がる。立ち木の栽培方式だと跳ね上がった雨露は葡萄に何らかの病気をもたらす。そこで先人たちは葡萄の木を棚に仕立てて、枝や葉っぱを地表から離したのだ。棚栽培の場合、面での栽培なので品質の向上ばかりでなく、商品品質の平均化も図ることが出来る。
「赤玉ポートワイン」宣伝ポスター と サントリー創始者・鳥井信治郎氏
ワインには赤と白がある。その違いは原料ばかりでなく製造工程に違いがあるのだ。白ワインは原料葡萄を破砕、皮や種を取り除いた果汁だけを発酵させる。これに対して赤は皮や種ごと圧搾して発酵させるのだ。このため皮や種に含まれるタンニンが含有されるので赤ワイン独特の、あの渋味が味わえるのである。渋味もなく、まろやかな味わいの白に対して、独特な渋味が≪コク≫を感ずる赤。それぞれの好みだが、葡萄の産地で生まれ、赤ワイン製法の密造酒で≪鍛えられた≫せいか、どちらかというと赤の方が好き。赤ワインの原料がベリーAなど赤系の葡萄であることは言うまでもない。
≪通≫の人たちは料理によっても白、赤を飲み分ける。例えば、肉料理と魚料理がそれだ。繊細な味が特徴の和食にも言える。ワインに限らず、日本酒や洋酒など幅広いお酒にも言えることだろう。和食のようにシンプルな料理と脂っこい中国料理やロシア料理ではアルコールの度数とも相関関係を持つ。わが国で日本酒が古くから飲まれて来たのも、その食文化によるものである。見学させて頂いたサントリー登美の丘ワイナリーのセラー(貯蔵庫)では無数といってもいい瓶詰めされた5年、10年、20年もののワインが熟成を待っていた。子供の頃、盗み酒をした自家製の密造斗瓶とは風味も品格も異なるのだろう。
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山梨の葡萄棚
実はこの梅雨と葡萄棚は無縁ではない。フランスやイタリアなど世界各地で見られる葡萄の栽培方式は、いずれも立ち木。棚で栽培する方式は日本だけといっていい。山梨にお出でになった方々ならご存知だろう。平地といい、傾斜地の山付き地帯といい、みんな棚による栽培なのだ。もちろん山梨ばかりではない。お隣の長野もそうだし、梅雨のない北海道を除いて、みんなこの方式である。先頃、中国や千葉からの友人と訪ねた山梨県甲斐市のサントリー登美の丘ワイナリーに見られる立ち木の葡萄園は全体から見れば稀なのだ。
サントリー登美の丘ワイナリー 立ち木の葡萄畑
HPから
HPから
その理由は紛れもなく梅雨。葡萄が房を形成、成熟へ向かおうとする6月から7月、日本列島は毎年、梅雨の洗礼を受けるのである。降った雨は当然のことながら地表から跳ね上がる。立ち木の栽培方式だと跳ね上がった雨露は葡萄に何らかの病気をもたらす。そこで先人たちは葡萄の木を棚に仕立てて、枝や葉っぱを地表から離したのだ。棚栽培の場合、面での栽培なので品質の向上ばかりでなく、商品品質の平均化も図ることが出来る。
ワイン原料ならまだしも生食用の場合、日本人は味ばかりでなく外見にもこだわる。だから病害虫による傷物は商品価値を確実に落とす。価格にストレートに跳ね返る訳だから、生産者が棚栽培をするのは、いわば当たり前。個々には栽培面積が狭いので、付加価値の高い生食用でないと採算が合わないのである。ワイン原料用なら品質に拘らない立ち木栽培でもいい。しかし価格が安いワイン原料用の葡萄栽培ではメシが食っていけないのだ。
「赤玉ポートワイン」宣伝ポスター と サントリー創始者・鳥井信治郎氏
ワインには赤と白がある。その違いは原料ばかりでなく製造工程に違いがあるのだ。白ワインは原料葡萄を破砕、皮や種を取り除いた果汁だけを発酵させる。これに対して赤は皮や種ごと圧搾して発酵させるのだ。このため皮や種に含まれるタンニンが含有されるので赤ワイン独特の、あの渋味が味わえるのである。渋味もなく、まろやかな味わいの白に対して、独特な渋味が≪コク≫を感ずる赤。それぞれの好みだが、葡萄の産地で生まれ、赤ワイン製法の密造酒で≪鍛えられた≫せいか、どちらかというと赤の方が好き。赤ワインの原料がベリーAなど赤系の葡萄であることは言うまでもない。
サントリーワイナリー・HPより
≪通≫の人たちは料理によっても白、赤を飲み分ける。例えば、肉料理と魚料理がそれだ。繊細な味が特徴の和食にも言える。ワインに限らず、日本酒や洋酒など幅広いお酒にも言えることだろう。和食のようにシンプルな料理と脂っこい中国料理やロシア料理ではアルコールの度数とも相関関係を持つ。わが国で日本酒が古くから飲まれて来たのも、その食文化によるものである。見学させて頂いたサントリー登美の丘ワイナリーのセラー(貯蔵庫)では無数といってもいい瓶詰めされた5年、10年、20年もののワインが熟成を待っていた。子供の頃、盗み酒をした自家製の密造斗瓶とは風味も品格も異なるのだろう。
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