ビルの林の花粉症

都会

 「わたしゃあねえ、先日、病院関係の会議に出席するため、久しぶりに東京に行ったんです。そこで改めてびっくりしたのは、マスクを掛けて街ゆく人がなんと多いことか。インフルエンザではなく、花粉症なんですねえ。その数は半端じゃあないんです」




 ロータリークラブの例会での会食中、隣り合わせた仲間の話である。この人は山梨市にある、いわば地域中核病院の理事長で、自らもドクターだ。




 東京は巨大なビルの林。もちろん、公園や街路樹などがあるから、スギ花粉など花粉症を惹き起こす花粉の飛散源がないわけではない。しかし、山梨のように四方を山で囲まれ、その中に点在する森や林。東京と田舎の飛散源の量は比べものにならないはずだ。花粉症を持ち出した、このドクターの話を補足するように、別の仲間がこんな話をしてくれた。


スギ2


 「花粉の飛散は、単なる発生量だけではないと思うんですよ。確かに東京と山梨の発生量を比較すれば、山梨の方が圧倒的に多いはずだ。問題は蓄積度の問題じゃあないんでしょうかねえ」




 「蓄積度?」


 「そう。山梨などの田舎の場合、土などの自然が飛散した花粉を吸収してくれる。しかし、東京のような都市、つまり、ビルの林の中では花粉を消化しないんです」


ビル


 この話、私のように、ど素人でも、分かるような気がする。確かに巨大なビルの林の東京はその一つ一つがコンクリートの塊。網の目のように張り巡らされた道路という道路もどこまでもアスファルトの舗装である。自然の土がないのだから、飛んできた花粉だって行き場がなく、たまる一方だろう。それが沢山の車や人によってかき回されて、また舞い上がる。その繰り返しだ。




 私たちの地域の山や林では、もう少し経つと青い空を黄色くするほど風に煽られてスギ花粉が飛散する。こんな話を聞くと、花粉症でお悩みの方だと即倒するかもしれないが、これホント。いわば、季節の風物詩みたいなもので、私なんか、これと言ってびっくりもしない。それ自体が地域の人たちに免疫を施しているのかもしれない。


スギ


 私たちは子供の頃、この杉林の中で遊んだ。小さなスギの実を使ってスギ鉄砲あそびをするのである。花粉症などという言葉もなかった。それとも知らずに漆の木を使ってチャンバラごっこもした。でもかぶれることもなかった。免疫力も日常の生活や、遊びの中で備わっていたのだろう。今でも漆の枝でチャンバラごっこが出来るかって?まったく自信がない。恐らく、体中、かぶれで腫れ上がるだろう。




 スギ花粉をひとつとっても、その飛散量は、昔よりずっと多くなったという。人間が山を荒れ放題にしたツケだ。かつては、スギ山はヒノキ山と共に宝の山だった。ところが安い外材が入って来るようになって、その宝の山も持ち腐れ。下草刈りや間伐などをしないから、成長を妨げる。子孫を残そうとする本能からスギは余計に実を付けようとするのだそうだ。山を大事にしなくなった日本人が、こんな所でも、ツケを背負わされている?



木




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お邪魔します。
広葉樹を伐採して杉を植え、高くて売れなくなるとほったらかしとは酷い話ですね。杉ばかりの山の沢には魚が住み難く、生態系まで変えてしまった上に、花粉でも迷惑をかけているとは。
しかし、アスファルトとコンクリートジャングルが、花粉症をより煽っているというのは皮肉な話です。

テンテンさん

 時代が違いますから、よく覚えていませんが「おい、おい、杉の子おきなされ・・・」なんて歌がありましたね。つまり、国策で杉を植えた時期があったのでしょう。ちょっと言い過ぎかもしれませんが、それが無用の長物に・・・。
 時代の変化とはそんなものかもしれません。ただ言えるのは、当時の為政者は絶対に反省すべきでしょうね。反省しても後の祭りでしょうがね・・・。これからにも言える事かも知れませんが、グロウバルで時や社会が変化する時代、的確に未来を掴むことなど至難の業かもしれませんね。
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プロフィール

やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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