草との戦い

雑草

子供は知らぬ間に大きくなる、という言葉と一緒にしたら不謹慎、と叱られるだろうが、草だって同じ。あっという間に大きくなって、百姓どもを手こずらせるのである。草だって、生きなければならないし、子孫だって増やさなければならないから、当たり前といえば当たり前。


それにしてもすごい。20日間のハワイ、アラスカの旅を終えて帰ったら、畑ばかりでなく、家の回りも、どこもかしこも草だらけ。これを予期していなかったわけではなかったが、うんざりである。旅行に出掛ける前、このことを想定して、きれいにしていったのに、草どもは容赦なかった。身の丈と言ったら大げさだが、膝まではある。


草だけならまだいい。草の先っぽには何百だか何千だか分からないほどの種の穂を付けているのである。この種が来年、全部芽を出し、草になると考えたらゾッとする。だから、その草の種をいっぱいはらんだ穂を女房に摘み取るように命じておいて草との戦である。

草かじり

立ち鉋で端からかじり取っていくのだが、敵もさるもの。しっかりと根を張っているから、こちらは汗だく。流れる汗が目に沁み、着ているシャツは汗を搾るほど。一通り採り終わったと思つたらもうその次が。通りかかった近所の人は、慣れない私の姿を見かねたのか「私が除草剤を撒いてあげますよ」と、言ってくれた。確かに今の農家は草なんかにビクともしない。世間では篤農家と言われる専業農家ですらである。むしろ、桃や葡萄、サクランボなどの果樹園に草をはやしたままにし、果樹の保水に役立てるのだという。


百姓の長男でありながら、≪会社人間≫で過ごした40数年。学生時代も含めれば50年近く百姓から離れていた自分が今となってみれば恨めしい。バカではないか、と言われるかも知れないが、除草剤とか草生栽培という言葉がピーンと来ないのである。「草をはやしたら百姓の恥」とまでも言わないまでも、それを良しとしなかつた子供の頃、何とはなしに覚えた百姓の感覚が今でも心の隅に残っているのである。


幸か不幸か、私の家は、かつて大地主で、数町歩の農地があった。ところが会社人間で家や畑のことなど見向きもしない息子に業を煮やしたのか、不安を感じたのか、親父は家屋敷だけ残してそのほとんどを処分してしまったのである。よかった。しかし残った家屋敷はまだ1町歩。なまくらの身体になってしまった私にそれを耕す能力があるはずがない。ピオーネや巨峰が植えてある5反歩ほどのぶどう園は隣村の人に作ってもらっている。


だから私の仕事といえば残された、ただの畑と庭やおつぼきなど、いわゆる家屋敷の管理である。畑ではジャガイモ、サトイモ、サツマイモ、なす、キユウリ、トマト、かぼちゃ、インゲン、果ては生姜、ニンニク、アスパラ、ふき、茗荷に至るまで四季の野菜を何でも作る。人から見れば趣味に毛が生えたようなもので、生産性とは全く程遠い。


仲間たちは借りた農地での家庭菜園作りを楽しそうに話す。しかし私は草ぼうぼうにしていてはみっともないので草っかじりをし、そこに何かを作っているのである。人手が足りないから、子供をも動員、野良で朝飯を食って学校に行った子供の頃を思い出した。
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やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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