FC2ブログ

加齢と記憶

箸


 「お母さん、夕べ、俺、何を食べたっけ?お前はみんな覚えているか?



 「藪から棒に何を仰っているんですか。お父さん、正月早々から頭がおかしくなったんじゃあないの?第一、夕べの食事は私が作ったんだから覚えているに決まってるじゃない



 「そうだよなあ~・・・」




 そうは言ったものの、私には夕べの食卓の全てが思い出せないのである。家にいればのことだが、一年365日、晩酌は欠かさない。その晩酌もビールと日本酒だから、これだけは思い起こさなくても分かる。しかも、最近では、その量も≪原則的≫には決めているので、自分が飲んだ量まで分かっている。


酒


 さてその次だ。酒のつまみにはマグロの刺身があって・・・。その次がもう出て来ない。テーブルの真ん中にあったはずの鍋の具に至っては、全部言えないのだ。一晩、寝たとは言え、わずか12~3時間前のこと、しかも、たらふく自分の胃袋に収めた物ばかりなのだ。
かみさんが言うように、こんなことを言ったり、考えたりすること自体、いかにも唐突。


鍋  


 「俺も認知症の前兆かなあ~」




 ちょっぴり不安になった。こんなことを考えたことはなかったから、それが何時頃から始まったかは分からない。考えるきっかけは、おふくろ。おふくろは大正5年1月生まれ。94歳になった。足腰が悪く、今は病院に入院中だ。一方で認知症が進んできた。暑さ寒さも完璧なエアコンでガードされ、食事はもちろん、寝起きに至るまで至れり尽くせり。これと言って心配事もないから加齢も手伝って認知症が進行するのも無理もない。




 かみさんは、ほぼ1日おきに、私も1週間か10日おきには病院に顔を見せる。その度に子供のように嬉しそうな顔をする。それがいじらしく、私には逆にいたたまれない思いすらするのである。そんなおふくろは確実に昨日のことはみんな忘れている。うかうかしていると長男であるはずの私の顔さえ忘れかねない。



手


 やはり、おふくろを案じて、しばしば見舞いに来てくれる二人の弟達夫婦のことなどすぐに忘れてしまうのだ。「わざわざ東京や埼玉から来てくれるんだから忘れちゃっちゃあダメじゃない」。そんなことを言ったってしょうがない。ただハラハラさせられるのはせっかく来てくれる近所の人達や知人、つまり、お他人様に対してだ。「どなたさんでしたっけねえ?」とやってしまうのである。息子達の顔すら忘れかねないのだから無理もない。




 ただ不思議なことに私の女房、つまり長男の嫁のことだけは忘れないのである。病院に行く頻度が多いだけではないような気がするのだ。ろくでもない息子より嫁の方がよっぽど頼りになるし、よっぽど世話になっていると思っているからだろう。女房と接している所を見ると認知症がウソのようにも見える。どこかに嫁に対する姑の緊張感があるのかも。




 ところで夕べのメシ。同年代の友に、女房にしたと同じような問いをしてみたら、しばらく考えたあと「俺も夕べ何を食べたか、みんな言えねえよ」。赤信号ではないが、みんながそうなら怖くない・・・。でも黄信号が点灯していることだけは間違いない。




ブログランキングに参加中です。  
 ↓この下の「山梨情報」をクリック いただけると励みになります。
にほんブログ村 地域生活(都道府県)ブログ 山梨情報へ

新バナー  ← 「甲信越情報」 こちらも応援よろしくお願いします


ありがとうございました!


スポンサーサイト



comment

管理者にだけメッセージを送る

ランキング参加中です!
人気ブログランキング【ブログの殿堂】
おきてがみ
プロフィール

やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

最新記事
カテゴリ
最新コメント
FC2カウンター
ブログ成分解析
ブログランキングならblogram
検索フォーム
月別アーカイブ
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

全国からアクセスありがとう!

ジオターゲティング
最新トラックバック
アルバム
リンク
忍者ツール
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
FC2ブログジャンキー

「アクセス数が全然伸びない…」そんな悩みをブログジャンキーが解決します!