死期の宣告

  お寺


 私達の地域を治めていた市長が逝った。現職も現職。傍から見ればまったくの急逝だった。享年60歳。昨年暮れの28日、月曜日の朝のことだった。体調の急変に気付いた家族が救急車を呼んだ時には、心肺停止の状態だったという。「どうして、こんなことに・・・」。市長になる前から懇意にさせていただいていたものだから、言いようのないショックを覚えた。訃報が地元テレビのニュース速報で流れても、にわかに信じることが出来なかった。七日正月が済むのを待って昨日、葬儀がしめやかに執り行われた。





 死因は肝細胞癌。亡くなった翌々日、急遽開かれた後援会の幹部会で後援会長は「私も知らなかった」と前置きした上で、癌が市長の体を蝕んでいた経過を説明「本人にしてみれば壮絶な死だった」と話した。家族の話などを総合しながらの後援会長の話によれば、亡くなるちょうど3ヶ月ぐらい前、かかりつけの医師から「長くもっても、あと3ヶ月・・・」と死期の宣告を受けていたという。


葬儀3  


 土、日を挟んで金曜日まで、いつもと同じように登庁、土曜日、日曜日も市の関連行事に顔を出し、亡くなる前夜は、隣接する甲州市の元市長の通夜に参列していた。もちろん、市の幹部達も市長が癌の宣告を受け、しかも死期まで伝えられていることなど知るよしも無かった。でも、このところ体が痩せ、顔色が優れないので、幹部達は体調を気遣って休養を促していたという。


 


 山梨県議会議員を4期務め、市長になって8年。この間、隣接する2町村との合併も成し遂げた。「職員を鍛え直し、みんなでいい市を作る」。これが口癖だった。職員には厳しかった。その姿勢は市長として、また市民から見ても当然だが、片や職員からはボヤキも聞こえた。使われる立場からすれば、誰だって厳しいより、安易な方がいいに決まっている。それに反対勢力の中傷も加わるのだから、心中は穏やかとは言えなかっただろう。しかし、それに対する愚痴はもちろん、宣告を受けた癌についても知らぬ顔を通した。


葬儀


 もっと早い時点で処置するすべはなかったのか。そんなことを言っても後の祭り。癌の性格から、それなりの理由があったのだろう。それよりもなによりも癌に蝕まれていく自分、その死期すら知りながら、それを誰にもいえずに公務と向き合う市長。どう考えても、その心中は察するに余りあるし、痛々しくもある。


葬儀2


 市長とは、首長とは、政治家とは、それほど孤独なのか。私だってサラリーマン、その成れの果ても経験した。おおよその見当はつく。経営トップが孤独に陥り易いことを。政治家だって同じだろう。企業のトップと違って政治家には必ず大きな敵がいる。その数は最大、半分弱か、それより少ないかは別に、いつもどこかで密かに牙を剥いている。




 考えようによれば、政治家の方が何倍もプレッシャーが大きい。政治家にとって病気、特に癌は致命傷と言われる。国会議員にしても、その地位が高くなればなるほど、うわさの流布には神経質になり、その病状を知られまいと、医者など関係者に、かん口令を敷く。この市長さんも政治家の道を歩み出す前は、国会議員の秘書。そんなことまで勉強したのだろうか。そう考えると、また痛々しい。心からご冥福を祈りたい。




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考えさせられました

深く考えさせられました。

亡くなった全ての方のためにも、残された私たちがしなければならないことを考えて、今一度、大切に生きなければなりませんね。

なおさん

 おっしゃる通りだと思います。どんな人間にとっても人生は一度だけ。その人生を大切にしなければならないことは確かでしょうし、それが失われた時、残された人達は何をしなければならないのか。その人、その人によって違うのでしょうが、ただひとつ言えるのは人の道を踏み外してはいけないと思うのです。
 そうして人間は生かされ、また、没して行くのでしょうね。人間死んでしまったら何もならない、と私は思っています。そのためには生きている時に何をするか、何をしたかだと思います。他人(ひと)にご迷惑をかけず、元気で、明るく生きることが出来れば幸せだと思っています。
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やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
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