波浮の港

大島


 「森繁久弥って字がうまかったんだなあ」




 伊豆大島の波浮港の一画に設けられた歌碑「波浮の港」の前で仲間の一人がつぶやくように言った。



 「磯の鵜の鳥ゃあ 日暮れにゃ帰る 波浮の港は 夕焼け小焼け・・・」



 そう。野口雨情、中山晋平のコンビで作られた唱歌「波浮の港」。日本人なら誰でも一度は口ずさんだことがある歌だ。何匹かの鵜があしらわれた、その歌碑は折からの雨に打たれて、黒く佇んでいた。歌碑の揮毫者は森繁久弥である。


海で


 伊豆大島を訪ねた私達を真っ先に案内してくれた所は、この波浮港だった。港には大小の漁船がいっぱい係留されていた。海がしけているため漁に出ることが出来ないのだろう。「それにしても漁船ばかりだなあ。連絡船は来ないの?」。そう思っていたら、その疑問に答えるように案内役の仲間がこう言った。




 「歌のイメージにもあるように、確かにかつては連絡船が入る港でした。しかし今は連絡船は入って来ません。波浮港は漁港になったんです。連絡船は島の残る2つの港・元町港と岡田港に着くのです」

 
大島の海



 現に山梨の私達が熱海港から連絡船に乗り、着いた先は岡田港だった。もちろん帰りも同じ。私達は伊豆大島といえば三原山と共にこの波浮港を連想する。それほど大島の玄関口としてのイメージが強いのだ。山梨からこの大島に嫁いで来て40年、私達・かつてのユネスコの仲間たち17人を迎えてくれた島の肝っ玉母ちゃんが最初に案内してくれたのもそのためだろう。入り江に囲まれた港は、そんなイメージをかすかに残しながらも、ひっそりとした漁港のたたずまいをみせていた。




 ひっそりしていたのは波浮の港ばかりではなかった。島の西側、三原山の山麓にある空の港・大島空港はもっとひっそりしていた。それもそのはず。東京・羽田からの便が一日一往復しか就航していないのだという。飛行機が一機も泊まっていないので、滑走路が見えなければ、空港の存在に気付かないかもしれない。空港ビルを案内して頂いたのだが、見学組みの私達を除いてお客さんは人っ子一人いない。


大島空港  


 受付カウンターにも人影はなく、管制塔にも管制官の姿は見えなかった。エスカレーターで上がって2階から窓越しに見える広い駐車場には10数台の乗用車が。朝の便で東京に向かったお客さんの車だろう。それとも空港職員の車か。閑散とした大島空港構内は異様な雰囲気を呈していた。ビルの2階で営業していた喫茶ルームが際立って不自然にさえ写った。





 この空港は1964年6月に開港した第三種空港。2002年、開港時の滑走路1,200mを1,800mに延長したものの肝心の就航は減便。わずかなお客さんを乗せて大島―羽田間を飛ぶYS11機を頭に浮かべてみた。一方、頭の中でオーバーラップしたのが先頃開港した茨城空港。現在の就航便は韓国からの1往復だけだという。大島空港と重ね合わせて、なぜか不吉な予感がした。




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Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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