寒山寺

寒山寺 


 月落烏啼霜満天 「月は西に落ちて、カラスが啼き、霜が満天下に降りている」

 江楓漁火對愁眠 「川辺の楓が漁火に映え、旅人も旅愁を帯びた眠りに」

 姑蘇城外寒山寺 「姑蘇城(蘇州城)の外にある寒山寺から」


 夜半鐘聲到客船 「夜中の鐘の音が(作者の張継が)旅宿している船に響いてきた」

楓橋夜泊



 唐の時代中期の詩人・張継「楓橋夜泊」である。漢文の教科書にも出てくるからか日本人には親しみ深い詩。床の間の掛け軸にも好んで用いられる。高校時代、小難しい漢文の授業となると居眠りでもしているのが関の山だったが、なぜかこの詩だけは覚えた。


寒山寺2


 詩に歌われている寒山寺は、中国は江蘇省蘇州市の西郊外にあって、「楓橋夜泊」の詩碑はその境内にある。訪中は今度で三度目だが、一度目の時、北京、西安、杭州、上海などと共に、ここを訪ねた。29年前。まだ30代の頃で、言ってみれば、それ程の関心もなく、そこを通り抜けた程度の訪問だった。


寒山寺3


 「今度はじっくり、この詩の古里を訪ねてみたい」。今回の中国行きの大きな狙いの一つでもあった。私達夫婦の案内役を買って出てくれた日本の中国現地法人元社長ご夫妻と中国人氏に、あえてお願いして、その寒山寺を訪ねた。「あれ? こんなお寺だったっけ・・・」。観光客目当ての商店街整備など周囲の環境がガラリと変わってしまったからか、それとも29年前の記憶がざっぱくだったためか、なんとなく別のお寺に来たような気がした。


寒山寺6


 事実、お堂なども一部が改修されたり、大きな鐘も別の所にデンと居座っていた。お目当ての詩碑も境内のあちこちに模刻碑(レプリカ)が設けられ、本体はお堂の回廊のような所に移動、木枠のガラスケースに入って建っていた。外での雨ざらしによる風化を防ぐためだろう。



本物

ガラスケースに入っている「楓橋夜泊」の詩碑


 寒山寺のあるこの辺りは湖沼が多く、その昔、水路の運河が発達した地域。船旅が盛んで、空海も船でこの地を訪れたと言われている。「夜半鐘到客船」。夜半にこの寒山寺からの鐘の音が運河をゆく客船にも聞こえたという鐘はどこにあるのだろう。探してみたが見つからなかった。寒山寺は唐の時代からの長い歴史の中で、何度も消失。鐘も日本人に持ち去られた歴史があるのだそうだ。それを悔いた明治の元勲・伊藤博文公が25㌧の鐘を寺に贈ったという逸話も。ともあれ、この寒山寺の鐘の音を聞くと「10年若返る」という、ありがたい鐘なのだ。


寒山寺の鐘  

寒山寺4    寒山寺5


 境内の一画に設けられた工房のような売店では「楓橋夜泊」の掛け軸が。日本人と見たのだろう、中年の中国人女性が私達をその工房へ迎え入れた。そこでは「ご住職さん」といわれる僧が掛け軸に健筆を振るっていた。おのぼりさんらしい中国人グループを追い出すように外に出した、その女性はもっともらしい講釈付きで売り込みに余念がない。29年前の時は拓本が主流だった。日本人観光客に飛ぶように売れていた。しかし拓本はすっかり影を潜めた。時代の変化かもしれない。そんな掛け軸を好む人たちが減ったためか、住宅様式の変化で、掛け軸そのものが不要になったせいか。29年ぶりの寒山寺には日本人の影も少なかった。

寒山寺7


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Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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