限界集落

 やっぱり長野は涼しかった。上田市。東信に位置した人口11万のこじんまりした街だ。在来線と長野新幹線が重なった上田駅を中心に市街地を形成しているが、元はと言えば真田幸村が築いた城下町。すぐお隣は島崎藤村のあの「小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ・・・」小諸市だ。落ち着いた街並みと、いかにものんびりした自然がいい。そこを流れる千曲川が風情を添えている。


千曲川



 山梨から車でざっと3時間。ドライブ気分でやって来た。長野大学を会場に二日間の日程で開かれた中部東ブロックユネスコ研究大会に参加するためだ。長野、山梨、神奈川、静岡4県のユネスコ協会の代表が集まってユネスコ活動全般を研究討議するのである。日本ユネスコ協会連盟が主催、四つの県の各地にあるユネスコ協会が回りばんこにホスト役になって毎年1回、開いているもので、今年は上田ユネスコ協会が当番。いわゆる主管協会である。約120人が集まった。ユネスコ活動を共にする人達の交流広場でもある。


ユネスコ



 大会の基調テーマは「自然と農・そして食」~地域から考える 環境といのち~。初日は研究討議のベースになる基調講演やシンポジュウム。二日目はそれを踏まえた討議や各地の単位協会の活動報告と問題提起によるデスカッションである。基調講演では長野大学の教授が「限界集落と地域再生」をテーマに話し、シンポジュウムでは長野を中心に26店舗を展開するスーパーの会長や食の応援団を自称する主婦、会社方式で大規模な農場経営をする若い農業従事者がパネラーに。コーディネーターは長野大学環境ツーリズム学部の准教授が務めた。「環境ツーリズム」。耳慣れない言葉だが、最近、注目を集めている。




 失われつつある「食の旬」、アンバランスな子ども達の食生活や好き嫌い、農業環境の変化がもたらす協働社会・地域社会の崩れ、食の流通の変化。シンポジュウムでは、パネラーがそれぞれの立場で熱く語った。それよりも何よりも心にグサッと来たのは基調講演のテーマになった「限界集落」という言葉。講師は農林業の衰退が進む山村が見せる農村の準限界集落化、さらに限界集落への移行の現状を説明した上で、その再生への取り組みの大切さを説いた。


ユネスコ2


 日本列島のあっちこっちで進む「限界集落化」は、地域の伝統文化の衰退や棚田など山村の原風景の喪失などといった感傷的な事柄だけにとどまらない。食文化を支える農業そのものの衰退、さらには「山」の荒廃がもたえあす保水力の低下にも結びつき、下流域の都市住民や漁業関係者の生活まで脅かして行くのだ。私のように山梨の片田舎に住み、その「現実」を実感している者にとっては単なる講演として聞き流すことは出来なかった。




 毎日、朝になれば陽が登り、夕方になれば西の空に沈む。何事もないように毎日が過ぎて行くのだが、ふと周りを見渡せば、軒並みと言っていいほど農業後継者はいない。もちろん我が家も同じだ。このままでは5年、10年先には、耕作放棄地がどんどん生まれることは間違いない。そんな危惧を地域の数少ない若者達と話している。基調講演の演題になった「限界集落」まではともかく、嫌~な予感がする。「限界集落」。全く嫌な言葉である。




ブログランキングに参加中です。  
 ↓この下の「
甲信越情報」をクリック いただけると励みになります。
新バナー

にほんブログ村 地域生活(都道府県)ブログ 山梨情報へ  ← 「山梨情報」 こちらも応援よろしくお願いします


ありがとうございました!
スポンサーサイト

comment

管理者にだけメッセージを送る

No title

 浮浪者のいた時代、みな一生懸命働いていた。
みな貧しかった。でも浮浪者に施しをするやさし
があった。
 不労者のでた時代、楽して儲けようという人が
増えた。今、貧富の差がでてきた。
 働きたくとも、仕事がない。当社でも新入社員の
数がぐっと減った。
 限界集落、生き方を考え直す時のように思います。
とはいえ、ゆたかな生活になれている若者に目を向
けさせるには、魅力がなければならないだろう。
 自然環境は、誰もが認めている。経済的なことはど
うか。政治の力が大きい。そこに若者の知恵、労働が
入れば、限界集落が再生するように思う。
 地球にやさしいとは、他人(ひと)にやさしいことのよ
うに思います。
 そんな社会を目指すやまびこさん、心より応援もうし
あげます。

恐れ入ります

 本当におっしゃる通りですよね。貧しかった時代は特に、みんなが真面目に、しかも一生懸命働くことを当たり前にしました。でも、その一方で、いつの世もそれから逃げたり、人を騙して生きようとする人間はいるものです。
 この世の中、本当に働こう、自らその糧を生み出そうとする心さえあれば、仕事はあります。就職先がないと言い、それを社会のせいにしますが、よく考えればそれは方便。人手がないところは確実にあります。それが証拠に、いわゆる3Kと言われる、または言う分野の仕事は外国人労働力に委ねていますね。こうした格差は、国や政治だけが作り出しているのではなく、実は自分たちが作り出しているのではないでしょうか。不労者、ホームレスはその典型です。それどころか働こうともしない、何をかいわんやです。
ランキング参加中です!
人気ブログランキング【ブログの殿堂】
おきてがみ
プロフィール

やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

最新記事
カテゴリ
最新コメント
FC2カウンター
ブログ成分解析
ブログランキングならblogram
検索フォーム
月別アーカイブ
Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

全国からアクセスありがとう!

ジオターゲティング
最新トラックバック
アルバム
リンク
忍者ツール
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
FC2ブログジャンキー

「アクセス数が全然伸びない…」そんな悩みをブログジャンキーが解決します!