つるべ落とし

柿


 「こんな時間に夕飯を食べるなんて考えられないわね。この時間、ついこの間まで、お父さん、畑にいたわよねえ…」


 「そうだよなあ~・・・」


 防災無線から、毎日6時に鳴らされるチャイム「花かげ」のメロディーが。居間の薄型テレビからは民放の夕方のニュースが流れていた。いつものように晩酌をする私に、かみさんはそんなことを言いながらビールを注いだ。




 秋の陽はつるべ落とし、と言う。暑い、暑いと言ってみんながうんざりしていた、ついこの間から比べると少なくても2時間は日が短くなった。これからまだ短くなるのだろう。


秋



 「お父さん、こんなに日が短くなると、何か損をしたような気分になるわねえ。この時期の旅行は絶対、損よねえ」


 「そうだよなあ~・・・」


 「お父さん、私の言うこと、聞いているの?」


 かみさんは一人でしゃべって、一人で怒っている。



 庭先の柿は、まだ食べるには早いが、黄色く色付き、畑のリンゴ(ふじ)も赤みを増した。沢山ある甲州百目(柿)も枯露柿づくりの時期を待つ。収穫を終えた巨峰やピオーネの葡萄棚は日に日に黄色くなり、枯葉へと一直線。朝晩は寒くなって、我が家ではもう炬燵を。視覚的にも感覚的にも、否応なく秋の深まりを実感させられるのだ。

 
枯露柿



 そんな中で今を盛りに咲く庭先のアサガオだけが、いかにもミスマッチ。無粋な私には何と言うアサガオなのか分からないのだが、時々やって来るモノ知り?の仲間によれば「琉球アサガオというのだそうだ。窓越しに長さ10m、高さ3mぐらいに仕立てた≪緑のカーテン≫のあっちこっちで次から次へと花を付ける。直径15cmから20センチもある紫色に近いブルーの大輪。アサガオ(朝顔)と言いながら昼間も咲いているのだ。時間帯によって赤くもなる。



アサガオ


 「秋の陽は釣瓶(つるべ)落とし」。先人達はうまいことを言ったものだ。詳しいことは、いつもこのブログにお出で頂き、季節風土記にめっぽう詳しい山形にお住いのmatsuyamaさんにお任せすることにするが、昼と夜の時間が等しい「秋分の日」を境に昼の時間がどんどん短くなる。まるで釣瓶のようにストーンと落ちるのである。




 もっとも、釣瓶などと言うものを今のお若い方々は、ご存じないだろう。井戸から水を汲み上げる道具のこと。ロープの先に付けた木造りの桶を滑車で引き揚げ、水を汲み上げる仕組みで、空になった、いわゆる釣瓶はストーンと井戸に落ちる。その様を秋の陽に例えたものだ。


釣瓶_convert_20111016162427


 私は山梨市の片田舎に生まれ育ったものだから、子供の頃は、この釣瓶との生活だった。顔を洗うのも、家事一切の水は釣瓶を使って汲み上げる井戸水であった。時には釣瓶にスイカを括り付けて冷やして食べたりもした。降雨で堀の水が濁れば、風呂の水も釣瓶で汲み上げて井戸の水を使った。釣瓶は常に人々の生活の中心にあったのである。




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やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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