珍味のザザムシ

「あれ、なあーに?」。諏訪湖畔のホテルの12階の部屋から湖を眺めていたハワイの従兄弟は、岸に近いところ一面に浮かんでいる青い藻のような物を指差して言った。私に定かなことが分かるはずがないが、藻であることは間違いない。


諏訪湖


 たまたまだが、丁度その時、部屋のテレビは麻生太郎新首相が自ら閣僚名簿を発表していた。麻生首相は環境大臣のところで「今年は日本に台風が一度も上陸していない。こんな年は珍しい」と、最近あちこちで顔をのぞかせる気象異変に触れた。諏訪湖に大量に発生している藻も、この気象異変のせいだろう。



 もう、かなり昔のことになるが、この湖が真っ赤に染まって大騒ぎしたことがある。調査の結果、原因は湖畔のホテルや旅館から垂れ流された雑廃水がプランクトンを異常繁殖させたものと分かり、地元関係者は躍起になって、その対策に取り組み、綺麗な湖水を取り戻した。



 「諏訪湖で異変が起きたり、水が汚れたら、天竜川のザザムシ危ない」。食いしん坊の私は直感的にそう思った。「天竜下れば・・・」と、歌われる、あの「天竜下り」で有名な天竜川の水源地は、この諏訪湖である。霧が峰高原や車山高原など周囲の山々から集めた諏訪湖の水は、下流に行って観光客に天竜下りを楽しませるのである。

天竜川


 その一方で、上流では知る人ぞ知るザザムシを育てるのである。ザザムシはいわゆる川虫で、川底の石の下に張り付いている小さいながらもグロテスクな虫だ。と言っても、実物を見たことはないからはっきりしたことは分からないが、佃煮に加工したザザムシを見れば2~3センチの小さなものだ。



 地元の人たちは、この虫を取って、佃煮に加工し、瓶詰めにして名物のザザムシとして売り出すのである。このザザムシはハチの子や岩茸とともに信州・長野県の名産品の一つである。このザザムシとの出会いは20数年前の事。やり、諏訪湖畔のホテルにお世話になったとき、親しくなった女将が「これは皆さんにはお出ししないんですよ」と言いながら小物の器にスプーン一杯ぐらいのザザムシを出してくれたのが最初。



 いかにも珍重そうに出されたせいもあってか、それは旨かった。「旨い。女将、もっと出してよ」と言ったら「これ、高価なものなんですよ」と、ニコニコしながら言った、あの女将の顔を今でも覚えている。もちろん、お土産としていくつかの瓶詰めを買って帰った。



 珍味の講釈付きで、女房や娘に食べさせたのは言うまでもない。ところが、女房と娘は瓶の蓋を開けるなり「これなあーに」と、目をそむけるどころか、跳ね上がった。「これ、ムカデの子?」と言うのである。確かにザザムシは川虫だから、ムカデのように何本もの足を持っている。やっぱりグロテスクな虫で、しけじけ見たら到底食べる気にはならないのも無理はない。



 「これはたんぱく質など、栄養が豊富で、高級な珍味だぞ」と説明したが、もう、後の祭り。諏訪湖の下流、天竜川の珍味も見てくれだけでソッポを向かれてしまったのである。



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Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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