旬とコミュニケーション(再)

スモモ



 「これ、撥ね出し物だけど、美味しいから食べてくれますか」



 近所の人が、時にはサクランボ、時には桃、スモモといった具合に、段ボール箱や果物のもぎ箱に入れて持って来てくれる。箱への並べ方は大雑把だ。



 「何時も済みませんね」


 お礼を言うと

  「これ、形が悪かったり、過熟気味になってしまって出荷出来ないんですよ」



 いかにも美味しそうだ。食べてみてもうまい。当たり前である。木で熟れた物を、そのまま持って来てくれたからだ。桃でも、スモモでも同じだが、輸送やセリ、店頭での陳列など消費者の口に入るまでの時間を考慮して、熟れる前のものを出荷するのである。出荷の過程で、すぐ過熟になってしまうトマトなどはその典型で、真ん中の尖った所がちょっと赤くなった段階で出荷してしまう。





 桃やスモモに限らず、旬の果物や野菜をあっちこっちから頂く。こちらも、ナスやキユウリ、ジャガイモ、サトイモ、落花生など家の畑で採れたものをお届けする。果樹農家の中には、こうした野菜を自分で作らない人が多いのである。果樹作りで忙しく、手が回らないから、種類が多く、手間のかかる野菜なんか作っている暇がないというのである。


野菜



 百姓もどきというか百姓見習いの私が作ったものだから、お世辞にも立派なものではないが、無農薬で、採りたての新鮮野菜であることだけは間違いない。




 「お百姓などしたことがない人が、こんなに立派なものをお作りになって。大したもんですねえ」



 お世辞なのかなんだか分からないが、喜ばれるとうれしいものだ。田舎にはいつも、こんなコミュニケーションがあったり、旬というものの実感がある。




 小学校から高校まで、つまり子供の頃を除いてそのほとんどを甲府や東京で過ごした。土のないサラリーマン生活である。ざっと50年近く、野菜や果物はほとんどを買って食べた。子供の頃、実家では桃や葡萄を作っていたので、それを買って食べることにはちょっぴり抵抗があったが、食卓を賄う女房は甲府、つまり非農家の生まれだから、一向に気にしなかった。




 八百屋さんや果物屋さんに行けば、その店頭には一年中何でも並んでいて、季節感なんてものはない。自分ばかりではない。日本人はというものを忘れさせられてしまったのではないか。ハウス栽培という名の施設園芸の普及とその技術の高度化によるものである。あらゆる野菜や果物が一年中食べられるのだ。

筍


 竹の子を「筍」とも書く。文字通り旬の野菜である。これだけはハウスで作ってもらいたくないものだ。ともかく、会社勤めをリタイア、土のある生活に戻って、特に自分の家で作った野菜のうまさを実感した。物事にかなり鈍感な女房でさえ「お父さん、やつぱり、買ったものと家で作ったものは味が違うね」と言うのだから間違いないだろう。




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No title

すべて自分で作るのが最高ですができる人はなかなかいない

その通りですね

 自分たちが食べる野菜を自分たちで作る、ということは今や贅沢になりました。我が家は春夏秋冬、食卓にのる野菜は,全てと言っていいほど自前ですが、そのための苗や種,肥料、農機具代など経費的に考えるとスーパーから買ってくる方がずっと安いのです。
 ですからこの辺りの果樹農家は、野菜など作らない人たちが目立ちます。桃や葡萄、サクランボなどに集中する方が効率的と考えているからです。
 ただ自分で地食った野菜の方が美味しく,安全であることはみんな知っています。

No title

山梨市の果樹農家の方は、畑の傍らで 野菜を作っている方も多いです。自分の家で食べる分ということなのでしょうか。 大きい畑を管理されることは大変なことですよね。 最近さくらんぼ農家の方と交流する機会がもてましたが、本当に子どものように大事に育てているんだなと感じます。小さい自家菜園で野菜を作っている私は、自分たちが食べるだけの量なので、楽しくやっています。 初めは失敗もたくさんありましたが、何年か同じ物を作っていると、野菜によって手のかけ方が違うんだなと。子どもと一緒です。小さい頃、子どもを叱ってばかりを繰り返してきた私は、今子育てのやり直し中です。なんでも やらなければわからないと思うし、出来ないと思います。肥料は必要か、水は足りているか、病気になっていないか…野菜の声、子どもの声を聞きながら 育てていきたいと思えるようになりました。

生き物は正直

 動物も植物も,生きているものは、おしなべて正直です。手をかけてやれば,必ずそれ応えてくれるし、その逆だと不良(品)の道を歩みます。肥料を与えなかったり、手抜きして雑草を取らなかったら菜園そのものが体をなしません。
 ユリコさんが仰る通り子育てと同じかも知れませんね。物作りも人作りも愛情がなければダメですよねえ…。
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プロフィール

やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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