フォーマルナイト
女性はイブニングドレス、男性もフォーマルスーツに実を整えてやって来る。カジュアルウエアでのエクスカーションとうって変わってディナーを含めた夜の時間は、乗客達は気分も雰囲気も異にするのである。女房も“それなりに“お洒落してフォーマルな世界に。私? 根っからの田舎者だからわざとらしく着替えるのは嫌。“失礼にならない程度”で済ます。
クルーズでは「フォーマルナイト」の習慣がある。今度の地中海クルーズで、お世話になった「コスタ パシフィカ号」のケースでは8日間の期間中、2回。レストランでの食事、免税店での買い物、シアターでのショー、カジノでの遊び、ラウンジやバーでの語らい…。乗客達は思いっきりお洒落して船上での夜を楽しむのだ。
船が訪問先の港に着き、エクスカーションに出掛けてしまう日中とは違って船の中は華やいだ雰囲気になる。ざっと3、500人の乗客が“街”に出て来るのだから免税店が並ぶ街路も、どこもかしこも混雑するに決まっている。ベッドメイクや洗濯、厨房など船の裏方さんを入れれば、この船の乗客乗員は5、000人近い。
もちろん、この裏方さん達は、レストランやバー、ラウンジ、カジノのデーラーなど管理的な立場にある者以外は表には出てこない。“街”はお客達の舞台であることは言うまでもない。男子はタキシードに蝶ネクタイ。女性はワンピースのイブニングドレス。その二人が仲むつまじく腕を組み、“街”を歩く。欧米人は体が大きく全体にスマートだから“さま”になるのである。
そんな見方をしていること自体、気劣りしている証拠。私たちばかりではない、ある年齢以上の日本人には少なからずある欧米人に対するコンプレックスであり、“位負け”か。とはいえ、日本人だって負けてはいない。私たちのツアーグループのご婦人の中には和服を見事に着こなして登場。堂々と振る舞って見せた。一緒にいる者としても嬉しくなった。
欧米人のイブニングドレスと違って和服はスーツケースの中でガサ張る。その努力に敬意を表す一方で、日本人女性がみんなそんな気持ちになったら日本の着物文化をアピール、文化交流の絶好のチャンス、などと真面目くさって考えてもみた。
「お前達、夫婦はどうしたって?」
そう、私たち田舎者夫婦の出発前一週間前の会話。
「お父さん、フォーマルナイトの服装、何にしたらいいの」
「勝手にしろよ。そんなもの、何でもいいんだよ。荷物が多くなるばかりじゃないか」
「お父さんは、そんなこと言うけど、女性はそうも、いかないのよ。全く野暮天だから」
フォーマルナイトには、街路のちょっとしたスペースやラウンジの階段付近に臨時の写真スタジオが。フォーマルスーツに身を包んだご夫婦や恋人達は、そこで思い思いのポーズで記念写真に収まるのだ。写真屋さんも手慣れたもの。翌日、展示コーナーに並べられたそのポーズ、出来映えを見るとつい手が出てしまうのである。(次回に続く)
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