チラシとボーナス

チラシ



 「お父さん、今日の新聞、こんなに沢山、チラシが入っているわよ」


 「そうか?明日はボーナスサンディーだものなあ・・・」


 「みんな、ボーナスが出たんですねえ。でも、うちは関係ないよねえ」


 女房はおろか、私だって女房がポストから持って来た新聞の折込チラシを見るまで世の中がボーナスシーズンを迎えていることなど眼中になかった。年金生活といったらわびしくなるから、そうは言いたくないのだが、そんな生活になってぼつぼつ12年。ボーナスという言葉も頭の中から消えていた。




 いつものことだが、女房は新聞の中身より、そこに折り込まれるチラシの方が興味があるらしい。茶の間に広げて、楽しそうに見ている。家電のチラシもあれば、衣類や食品、おもちゃのチラシもある。三つ折の、どでかいものもある。


チラシ2


 「お父さん、こんなに大きいチラシもあるよ。それにしても、みんな安いわね」


 その後に、こんなこともつぶやいた。


 「それにしても、こんなに安売り競争をしていいのかしらねえ・・・。テレビで言っていたけど、デフレが進んでいるんだよね・・・」




 我が女房にしては、思わぬことを言う。毎朝、新聞の中身より先に丹念にチラシに目を通している女房と違って、私はチラシなんかあまり見たことはない。特別これといって欲しいものがあるわけでもないし、毎日食べる物だって女房任せだから、チラシの中身に関心もなければ、興味もない。あるとすれば、今はまっているパソコンくらいのものだ。



チラシ3



 楽しそうにチラシを見る女房を見て、思わずデジカメを向けたら、普段は物事に敏感ではない女房「お父さん、私なんか写さないでよ。今朝はまだお化粧、していないんだから・・・」。咄嗟にブログのカット写真に使われると思ったのだろう。



 「バカっ。お前を撮るんじゃあないんだよ。チラシだよ。チラシ・・・」



 カメラを向けると咄嗟にポーズをとろうとしたり、何よりもお化粧や身だしなみを考える。女の本能のようなものか。「この歳になっても我が女房、女であることに違いないのか」。内心、おかしくなった。




 チラシからボーナスを連想して、今も現役で頑張っている、かつての職場の後輩達の顔を思い浮かべた。「みんなボーナスもどんどんカットされているんだろうな」。この不況下にあって、どの企業だって業績はよくないはずだ。女房が「沢山・・・」というチラシの量だって、ひと頃と比べれば、格段に少ない。それを折り込んでいる新聞自体だって、そう言ってはクライアントに失礼だが、ろくな広告は入っていない。新聞社も自社広告で穴埋めしている。この二つを見ただけでも経済界や友のボーナスの中身まで透けて見える。




 私達が現役を退いた時もバブルがはじけて不況のトンネルに入っていた。でも地方への波及は遅く、ボーナスもそこそこもらえた。しかし、今は何時抜けるかも分からない真っ暗なトンネルの中。正直言って現役の後輩達に同情したくなる。ここは我慢しかないよ。




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振り込め詐欺にご用心

ATM2


 「お母さん、振り込め詐欺になんか引っかかるなよな」


 「私なんか、どんな電話がかかってきたって、騙されるようなへまはしませんよ」


 「バカ言え、そういうヤツがすぐ引っかかるんだよ。娘やおふくろでもヤツらに仕掛けられたら一発さ」



 地域防災無線で今日も繰り返される振り込め詐欺の被害情報と注意を呼びかけるアナウンスに、女房と交わした会話である。女房は最後にはこうだ。



 「お父さん、大丈夫、大丈夫。うちには何百万ものお金をポンと振り込むほどのお金、ないもん」


 これには一本とられた。バカな夫婦のこんなやり取りはともかく、≪振り込め詐欺に注意≫のアナウンスはこのところ毎日である。




 「山梨市役所と日下部警察署から振り込め詐欺に注意のお知らせをいたします。昨日、山梨市内の70歳代の女性が振り込め詐欺の被害に遭いました。山梨市の職員を名乗る男から電話があり 『 後ほど社会保険庁からも連絡があると思うが、お宅は社会保険料の未払いがある。連絡があり次第お金を振り込んでください 』 と言われ、この女性はATMから振り込んでしまいました。市役所はこのような電話はいたしません。もしこんな電話があっても絶対に振込みをせず、市役所か警察にご連絡、ご相談ください」



ATM4



 防災無線については前にもこのブログで書いたが、こうした注意情報は各地に設けられた地域基地局から市内全域に一斉に流れる仕組みである。振り込め詐欺の手口は、保険料の未払いや子ども、孫の交通事故を装ったものなどさまざま。市役所や県庁、警察などを言葉の上で巧みに絡ませて騙すもので、ターゲットはお年寄りや主婦。1万数千世帯ぐらいの山梨市内で毎日、誰かどうか被害になっている勘定だ。





 犯人は東京なのか大阪なのか分からないが、日本のどこかで電話を使って大量の仕掛けをしているのだろう。私はこうした騙しの電話に出っくわしたことはないが、言葉は極めて巧みなのだろう。皆がみんな「私は絶対、引っかからない」と言いながら、巧みな言葉に騙されてしまうのである。



ATM3


 被害の連続にたまりかねたのか今日はこんなアナウンスも流された。


 「市老人クラブ連合会は明後日、地区公民館で、悪徳商法予防講習会を開きます。お年寄りや主婦の皆さんのご出席を・・・」



 市役所や警察が老人クラブとタイアップして地域ごとに振り込め詐欺予防の出前講座を計画したのだ。毎日のように出る被害から類推すれば、ものすごい数の騙し電話がかかっていることは容易に想像できる。



 「私だけは絶対騙されない」。そんなあなただって引っかかるかも。普段、亭主の言葉なんかに敏感に反応しない女房も、娘のことでも引き合いに出されれば・・・。石川五右衛門ではないが「世に盗人の種は尽きまじ」とはよく言ったものだ。悪いヤツは今日もどこかで暗躍している。





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長い夜

冬景色4  


 寒い。朝、布団から離れるのが億劫になるばかりか、畑に出るのも億劫になる。この時季、特に差し迫った畑仕事はないのだが、なんにもないわけではない。肥料掛けもあるし、植木の剪定だってしておかなければならない。剪定で出来たクズを畑で焼却処分するのも一仕事だ。




 「お父さん、サツマイモ、持って来ましたよ」


サツマイモ2


 ニヤニヤしながら言うのだが、家のかみさんの連想力は素晴らしい。亭主が畑で精出す剪定クズの焼却もかみさんにかかったら「焚き火」。格好の焼き芋の場だ。銀紙に包んだり、濡れ新聞に包んだりして火の中に投げ込むのである。焼き芋もいいが、「少しくらいは仕事の手伝いをしろよ」と言いたいのだが、まあそれもいい。かみさんのささやかな楽しみなのだ。かみさん流の「焚き火」云々は別に、農作業の合間での焼却作業は正直言って暖を取るのにはいい。つい、かみさんの焼き芋作りに同調してしまうのである。冷え切った体が温まる。



冬景色3


 私は若い頃からなぜか帽子嫌い。夏の暑い時期でもよほどのことがない限りかむらない。しかし、冬場の寒い時期、帽子が体の防寒にいいことに気付いた。特に毛糸の帽子を深めにかぶるのだ。温かい。毛糸だから圧迫感もない。麻雀仲間の同級生M氏がいつもこの毛糸の帽子をかむっているのが頷ける。髪の毛が薄い人にはうってつけなのだろう。


冬景色2  


 冬の夕暮れはいかにも寒々しい。しかも日没が早く、4時半を過ぎれば薄暗くなり、5時といえば真っ暗。「夏場だったら暑さを避けて、この時間から畑に出るのだが・・・」。昼間の時間が短いと、なにか損をしたような気にもなる。日没が早くなると勢い、夕飯も早くなる。


冬景色


 サラリーマン時代は、もちろん、日没と夕飯は関係なかった。5時、6時はまだまだ仕事の真っ最中。ましてや風呂に入って晩酌など考えもつかなかった。第一、かみさんと向き合って夕飯など食ったことなどなかった。

冬景色5


 職場をリタイアして10年を過ぎた。そんな生活が当たり前になった。太陽のサイクルでの生活は、いかにものんびりしている。でも何か物足りない。特に日が短いこの時季は、やたらに夜が長く感ずるのだ。本を読むのもいいが、歳のせいか目が疲れる。そう考えると、パソコンを覚えてよかった。夜の時間つぶしにはうってつけなのである。



 「お父さん、炬燵でおやりになったら・・・」


 晩酌を済ませて机に向かう私に、かみさんは、いつもそう言う。でも必ず机に向かう。その方が頭も身体もシャキッとするのである。



 「いつまで続くのかしらねえ。第一、そんなことしていて肩が凝らないのかしら・・・」


 かみさんはそんなことも言うが、どうしてどうして。子どもの頃のように嫌々ながらする宿題と違って好きでやることというのは恐ろしいもの。肩も凝らなければ、目だって疲れない。むしろ、かみさんが言うこのパソコン遊びがなかったら、こんな長い夜をどうしたらいいの、と考えてしまいもするのだ。




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増える家族葬

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 また友が逝った。中学時代の同級生だった。同い年の友の死はつらい。自分と重ね合わせてしまうからかも知れない。肉親との別れとは、また違った複雑な気持ちになるのである。




 山梨県には高普及率の県紙・サンニチ(山梨日日新聞)があって、その紙面の一角には「おくやみ欄」が。どんな忙しい時でも毎朝、必ず目を通す。その欄は大きく膨らむ時も、小さいこともある。病を持つと暑さ、寒さが体に敏感に跳ね返る。夏の暑い時期や、これから寒さが増す時期になると、この「おくやみ欄」が膨らむことも確かだ。ショックに感ずるのは自分と同世代の«登場»が目立つことである。


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 「おくやみ欄」は故人となられた方の職業や年齢、一連の葬儀の場所、喪主の名前などがコンパクトにまとめられている。喪主に限らず、息子さんや娘さんのお名前もあるので、故人との関係も分かる。病名はご遺族に配慮してか、掲載されない。この人の訃報はこの「おくやみ欄」には載らなかった。告知をお断りして「極内輪だけで故人を送ってやろう」。奥様や息子さんなど、ご家族の思いが働いたのだろう。事実、弔問客も極めて少なかった。「家族葬」と言って、そんなタイプの葬儀がだんだん増えているのだという。




 斎場は富士山の麓・富士吉田市下吉田にあった。私たち甲府盆地に住む者たちにとっては御坂山塊を隔てた富士山麓地方・「郡内」と呼ばれる地域の一角。御坂トンネルを越えてからも、いい道路が出来、1時間あれば行けるようになった。従来、富士五湖の一つ・河口湖を経由しなければ行くことが出来なかった富士吉田市や忍野村、その先にある山中湖村も、«直線コース»で行くことが出来るのである。道路網の整備は時間距離を短くしている。




 死因は膀胱癌。訃報を知ったのは、友が後に住むことになる山中湖村に嫁いでいて、家族ぐるみでお付き合いをしていた、やはり中学時代の同級生からであった。「施主は内輪の葬儀にしたいらしいけど、故人は生前、あなたの話をよくしていたので、お知らせしたの」。そんな計らいがなければ、«最期の儀式»への立会もなかったに違いない。事実、私たち二人を除けば、同級生はゼロ。故人の親戚の姿も見えず、どうやら奥様のご両親やご兄弟たちと、ほんの一部の地元関係者に過ぎなかったよう。




 甲府盆地と「郡内」と呼ばれる富士山麓地方では、同じ山梨県であっても、様々な点で風習や習慣が異なる。お葬式も、この地方では「香典袋」(「ご霊前」)は使わず、現金丸出しの伝票処理。香典返しの品も、その金額を問わずに手ぬぐい、またはタオル一枚。その代わり、お祝い事は「ハデ」。七五三から始まって成人式、結婚式、厄年、さらに各種の受賞に至るまで、誰もが競うように豪華にするのだという。

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 この男は中学を卒業後、県立の工業高校に進み、いつの間にか東京でIT企業を立ち上げ、オーナー社長として、あれよ、あれよという間に従業員800人もの会社に育て上げた。しかし一族の後継者に恵まれず、会社を身売り。晩年は山中湖村の別荘を作り替えて自宅とする一方、オーストラリアに別荘を持ち、夏と冬の住まいを交互に使い分けていた。そんな恵まれた生活が、皮肉にも古い友人や親しい友を減らして行ったように見えてならない。




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何でも真似する孫娘

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 「チビちゃん、その顔、どうしたの?」


 爺に見せようと得意げな顔つきで、ニコニコしながら私の前に現れた孫娘。その顔は口の周りが真っ赤。ママの口紅を持ち出しての仕業であることは一目瞭然。まるでピエロだ。面白いと思う一方で、その無邪気さが何とも可愛かった。4歳になったばかりのことであった。




 それから半年。孫娘は再びママの口紅を差していた。今度は«ピエロ»ではない。差し方が様になっているばかりか、顔にはお化粧が…。

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 「お前、チビちゃんに可愛くお化粧してやったじゃあないか」


 「違うわよ。私がしてあげたんじゃあないのよ。チビちゃんが自分でしたの…」


 女房によると、孫娘はママのポーチをいつの間にか持ち出し、洗面所の鏡を見ながら、口紅を差し、ほっぺ(頬)に化粧をしていたという。むろん、洗面所は大人用に作ってあるので背の低い子供に鏡が見えるはずがない。そこで、子供用の椅子を持って来ての«作業»だったと言う。女房もびっくりするように話した。そっと仕草を見ていたという




 日ごろのママの化粧する姿を見ていての真似であることは間違いないが、男の子なら、そんなことは絶対にしないだろう。真似事にせよ、そこに不思議な幼児の«女ごころ»を垣間見た思いがした。動物的な本能なのだろうか。びっくりすると同時に可愛らしくもなった。何でも大人の真似をする。


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 「サイトウさん」、「私、失敗しないので…」。テレビに出て来るセリフも、いつの間にか覚えて得意気に口にするのである。子供は大人の真似をして成長して行く。大人だってそれが言えるのかも知れない。「臨書」と言って書家の卵は、先輩や先人の書を見習って「書」を身に着け、やがて自分の字を書くようになる。内面的には、子供たちは全て、大人の真似や教えによって大きくなり、やがて«自分»を確立して行く。とても「確立」まではいかないが、自分だって同じだ。




 化粧ばかりではない。最近では着るもの・洋服まで好みを言うようになった。家に居る時も着飾って見せるし、外に行く時も自分のお気に入りの洋服を着る。子供とはとても思えない、おしゃれな一面も覗かせるのだ。


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 少子化は勢い子供への投資を高めていることは間違いない。教育への投資に限らずフアッションへの投資も促している。おおもちゃ、洋服、履物…。デパートやスーパーに入れば、必ずどこかに子供コーナーがあって、子供たちを惹きつけるのだ。子供が欲しがらない訳がない。俗称「ガッチャン」と言うのだそうだが、ミニの玩具を詰め込んだ機械を置く店も。




 私は女房によく言う。「孫の言うなりに買い与えたらダメだぞ」。そんな自分が孫娘にせがまれると「ウン、ウン…」と«要求»に答えてしまう。「お爺ちゃんだって、そうじゃない」。女房は「自分だけ«いい子»になって」と言わんばかりにニヤニヤ。その昔から「年寄子供は三文安」という。年寄に育てられた子供は、えてして良くない、と言う意味だが、正にその通りかも知れない。現に孫に甘い爺婆に娘が苦い顔をする。それが本当の親かも知れない。




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おきてがみ
プロフィール

やまびこ

Author:やまびこ
 悠々自適とは行きませんが、職場を離れた後は農業見習いで頑張っています。傍ら、人権擁護委員の活動やロータリー、ユネスコの活動などボランティアも。農業は見習いとはいえ、なす、キュウリ、トマト、ジャガイモ、何でもOK。見よう見まね、植木の剪定も。でも高い所が怖くなりました。
 ブログは身近に見たもの、感じたものをエッセイ風に綴っています。

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